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AEX2026受賞:ラックスマン 末吉達哉氏

【インタビュー】ラックスマン、創業100周年モデルの受賞。期待を超える歩みをさらに進める

公開日 2026/01/07 06:30 徳田ゆかり
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オーディオ銘機賞2026受賞インタビュー
ラックスマン

 国内オーディオマーケットに展開される数々の製品の中で、卓越した性能、革新的な内容を持ち、かつオーディオマインドに溢れる真の銘機を選定するアワード「オーディオ銘機賞2026」において、ラックスマンの純A級プリメインアンプ「L‑100 CENTENNIAL」が金賞を、SACD/CDプレーヤー「D‑100 CENTENNIAL」が特別大賞を受賞した。100周年を迎えた同社、その記念モデルでもある受賞モデルを携えての昨今の取り組みとこれからについて、代表取締役社長の末吉達哉氏が語る。 

ラックスマン株式会社
代表取締役社長 末吉達哉氏

 

原点に立ち返り大きな足跡を刻んだ“CENTENNIAL”モデル

 ―― 「オーディオ銘機賞2026」において、創業100周年記念モデルである プリメインアンプのL-100 CENTENNIAL が金賞、SACD/CDプレーヤーのD-100 CENTENNIAL が特別大賞を受賞されました。誠におめでとうございます。受賞に際しての率直なお気持ちをお聞かせください。

オーディオ銘機賞2026 金賞受賞のプリメインアンプ L-100 CENTENNIAL
 

末吉 大変栄誉ある賞を頂戴しまして、誠にありがとうございます。L-100 CENTENNIALD-100 CENTENNIALはラックスマンの100周年という節目を飾る記念モデルであり、いずれも金賞受賞の候補となり得る仕上がりとするべく、強い意気込みをもって開発した製品群です。こうして高いご評価を賜り、審査委員の皆様、お客様、そして長年にわたりパートナーとして当社を支えてくださった取引先様に、心より感謝申し上げます。ラックスマンの100周年をともに祝っていただいたように感じ、ありがたく受け止めております。

―― L-100 CENTENNIALD-100 CENTENNIALについて、あらためて企画の背景やコンセプトをお聞かせください。

オーディオ銘機賞2026 金賞受賞のSACD/CDプレーヤー D-100 CENTENNIAL

 

末吉 100周年に際して、当初は新機軸の製品を投入し、皆様を驚かせたいという思いもありました。しかし重要な節目のモデルに対するお客様の期待のお声をいただくにつれ、ご期待に真正面から応えることこそ100周年にふさわしいと、あらためて原点に立ち返ることにしたのです。

L-100 CENTENNIAL については、多くのお客様のご要望にお応えしてA級プリメインアンプとしました。温かみや柔らかさを備えたA級アンプらしい音質が、昨今のお客様により求められていると感じています。そしてラックスマン独自の帰還回路 LIFESLuxman Integrated Feedback Engine System)の最新版である1.1を採用し、歪みを一層低減し音の階調表現を向上させることができ、低域のより高い表現力と、高域のより滑らかで伸びやかな音質が実現できました。 

D-100 CENTENNIALについては、SACD/CDプレーヤーのDシリーズの新たな最上位モデルであり、こちらもLIFES1.1を採用しています。DACにローム製の最新のフラグシップデバイスを採用し、電源部も強化して、記念モデルに相応しい仕上がりとしました。両モデルとも、音質面で大きな進化を遂げ、お客様のご期待を上回る製品に仕上がったと自負しています。ラックスマンならではの感性豊かな表現力を、多くの方々に味わっていただきたいと考えております。

―― これらが発売されてからの手応えはいかがでしょうか。

末吉 おかげさまでイベントなどでも高い評価を頂戴しています。L-100 CENTENNIAL は、A級アンプならではの骨太で力強い中低域の表現力が、しなやかで優しい音として特に好評をいただいており、ラックスマンでしか得られない音と、我々も自信をもっております。そして今回の受賞では、80万円台という価格帯でこれだけの品質を実現した点も高くご評価をいただけたと伺っていますが、非常にありがたく思っております。販売も好調に推移しています。

 

手の届く価格帯で、ブランドの思いを届ける

―― ミドルクラス大賞を受賞されたCD プレーヤー D-03Rについて、開発背景やコンセプトをお聞かせください。

オーディオ銘機賞2026 ミドルクラス大賞受賞のCDプレーヤー D-03R


末吉 D-03R は、本来であれば 2024年末に発売する予定でしたが、諸事情により発売が大幅に遅れました。昨年ミドルクラス大賞を受賞したプリメインアンプL-505Z の対となる製品として準備を進めていたモデルで、本来は同時期に発売したかった製品でもあります。ディスクドライブはCD再生に特化したシングルレーザーの専用ドライブを搭載しており、DACチップはこれまで採用していたバーブラウン製に代わって、ローム製のチップをデュアルモノ構成で搭載しています。これも100周年記念モデルとして位置付けられる製品です。

―― 100周年記念モデルについては、すべて出揃いましたでしょうか。

末吉 昨年発売したヘッドホンアンプのP‑100 CENTENNIAL、そして今回の受賞モデルであるL‑100 CENTENNIALD‑100 CENTENNIAL。それから、それぞれ限定50台の発売となった真空管プリアンプのCL‑38uC Limited、真空管パワーアンプのMQ‑88uC Limitedがあります。100周年記念イヤーは 20266月まで続きますので、さらなる記念モデルも予定しております。ぜひご期待いただければと思います。 

―― 100周年記念に伺ったインタビューで、自社工場である横浜事業所の設立をお聞きしました。今回の受賞モデルにおいて、横浜事業所はどのような役割を果たしたのでしょうか。

末吉 横浜事業所では、主にフラグシップシリーズの生産をしておりますが、生産工程でのさまざまな課題を吸い上げ、その情報を設計へ速やかにフィードバックすることが可能となっています。その結果、今回のD-100 CENTENNIALの生産においても大幅な改良が施され、作業効率の向上に寄与することができました。

当社では、横浜事業所以外に協力工場などで生産を行っています。L-100 CENTENNIAL は協力工場で生産していますが、いずれの工場であっても横浜事業所を拠点にノウハウが共有され、生かされる仕組みとなっています。工場の間では定期的なミーティングが実施され、改善が必要な点があれば本社の製品部門へ報告されます。そして企画会議で共有され、次の製品づくりに生かされているのです。

横浜事業所はラックスマンの社員が携わる自社工場ですから、協力工場よりも一層円滑な意見交換が可能です。協力工場も長年支えてくださっている大切なパートナーですが、自社工場が存在することで、より率直な意見や実作業上の課題が上がりやすくなり、改善のスピードが向上しました。またオーディオ製品をつくる上では熟練の技術が必要とされますが、それらの継承も大きな課題として受け止め取り組んでいきたいと思います。

 

各地のイベントでエンドユーザーとの触れ合いを重視

―― 国内外のお客様とのコミュニケーションはどのように行われていますか。

末吉 ラックスマンがお客様と直接触れ合う機会は、インターナショナルオーディオショウや各地の販売店様が開催するイベントの場であり、我々が語る言葉が直接お客様に届き、お客様のご要望も直に伺うことができます。この機会を重視し、今後も積極的に参加させていただきます。また国内のみならず、海外で開催されるさまざまなオーディオショウも活況ですが、こちらも同様に大切な機会だと考えています。

先日も、当社スタッフがスペインの代理店で勉強会や試聴会を実施し、現地のお客様のご自宅でセッティングを行うなど、密度の高いコミュニケーションを図りました。そうした活動によって「これほど良い音は初めてだ」という評価をいただくことも多く、大変意義を感じています。2026年には海外向けの CENTENNIAL モデルの展開も予定しており、こちらも期待しています。

―― 昨今のオーディオ市場では価格の高いものと極端に安いものとで2極化し、中間の商品が少ない状況がアワードでも常に問題視されています。海外ブランドをはじめ、オーディオ製品の高価はなお上昇傾向にありますが、その点について御社のお考えはいかがでしょうか。

末吉 おっしゃるとおり、円安の影響や部品関係の値上げなどやむを得ない事情が多々あり、製品価格が高騰しています。ラックスマンも同様の状況下にありますが、少しでも多くのお客様が趣味のオーディオ製品として購入対象に挙げられる現実的な価格が実現できるよう努力してまいります。100周年の記念モデルはこの思いが結実した製品です。

一方で、昨今はラグジュアリークラスの魅力あるスピーカー製品も多数存在していますので、このマーケットに対応するアンプの開発も視野に入れておきたいと思っています。

いずれにしても、お客様の様々なご要望を形にするためには、日々の努力を積み重ねるしかありません。

 

 “人生のロマンとなる存在感”を備え、新たな歩みへ

―― ラックスマンは100周年を迎えられましたが、その手応えと、これからについてどのようにお考えでしょうか。

末吉 ブランドを築き、成長させ、維持していくことは容易ではありません。 100周年に際し、私たちも様々な地域で多くのお客様のお声を伺いましたが、 ラックスマンのブランドイメージがこれだけお客様に浸透しているのは、長い歴史の賜物であるとあらためて実感いたしました。ラックスマンにご縁をいただいた方々には、 様々な人生がありブランドや音楽に対する想いがあると思います。 その価値観や想いに共感し、その期待を超える製品を提供し続けることがとても大切です。

私が薫陶を受けた4代目社長の早川斉氏が残した、「趣味のオーディオ製品は音楽をつうじて、自己の幻想や想像力を演出する共演者であり、洗練された感性の期待に応えるものでなければならない。また、 使う人にとって人生のロマンたり得る存在感も必要である」という言葉を大切に、お客様が喜び、働く仲間やパートナー企業の方々も喜ぶ良い仕事をして、100年を超えるブランドにさらなる磨きをかけていきたいと思います。

そして、100周年はあくまでも通過点であると考えます。ラックスマンブランドに寄せられる期待を裏切らず、さらにその期待を超える製品を提示し続けることが最も重要です。お客様に背を向けられた瞬間、我々は存続することができません。趣味のオーディオとして、魅力的な製品を誠実に作り続ける。その姿勢を今後も守っていきたいと考えています。

―― ブランドの長年の重みとともに、これからに向けた勢いを感じ、ますます期待しております。ありがとうございました。

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