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公開日 2026/05/26 21:18
大容量イマーシブコンテンツの伝送に活用

<NHK技研公開>地デジやBSの伝送技術が高度化。8K 360度映像のリアルタイム伝送も視野に

ファイルウェブ編集部

NHK放送技術研究所(NHK技研)が各種研究成果を一般に披露する「技研公開2026」が、5月28日(木)から5月31日(日)の4日間にわたり開催される。


28日からの一般公開に先立ち、プレス向け見学会が実施。その中から本稿では、放送コンテンツを伝送する技術の高度化に関する展示をレポートする。


地デジの次世代伝送技術はすでに実用段階


NHK技研では、4K放送や8K放送を地デジで伝送するための各種技術研究を長年行っている。今回はその成果のひとつとして「地上放送システムの維持・発展に向けた伝送技術」と題し、地デジでより大容量な伝送をできるようにする次世代STL/TTL伝送技術などを紹介している。


STL/TTLとは、それぞれ「Studio to Transmitter Link」「Transmitter to Transmitter Link」の略で、 前者は放送局から送信所、後者は送信所と送信所間を結ぶ、放送局専用の固定無線回線のこと。


従来は6 - 13GHzのマイクロ波帯1チャンネルにつき1プログラムのみを伝送しているが、これに対し、1チャンネルで複数プログラムを伝送できる次世代技術がすでに実用段階にあるという。



次世代STL/TTL伝送技術の放送局専用実機展示


さらに将来に向けて、信号構造が異なる現行方式と次世代方式の放送波を、同一チャンネル内で非同期に電力多重する非同期多重の研究も進められている。


これが実現すると、現行方式/次世代方式の放送波を同じチャンネルで送信し、受信側で次世代方式の放送波だけを抽出することが可能になる。つまり、次世代放送技術の導入時に新しいチャンネルを用意する必要がなく、既存のチャンネル内でスムーズな技術移行が実施できるという訳だ。


今後はまず次世代STL/TTLについて、設備整備の要求仕様を反映しながら2027年ごろまでに技術基準策定、制度化、標準化を進める。それに並行して、非同期多重技術の実証実験を進めていくという。



 現行STL/TTL装置の設備更新で移行を目指す


 


BS用衛星での大容量イマーシブコンテンツ伝送も


上記のような地デジに関する技術だけでなく、BSデジタルに関する技術を応用した大容量データ伝送の技術も研究中。放送衛星の「BSAT-4a」を用いた21GHz帯放送衛星による伝送だ。


現在、BS4KおよびBS8K放送は放送衛星BSAT-4aを利用し、12GHz帯での伝送を行っている。そしてこのBSAT-4には、衛星放送に割り当てられている21GHz帯中継器も搭載されている。21GHz帯中継器は約300MHzのチャンネル帯域幅で伝送できるため、この帯域での伝送を実用化すれば、容量が大きいイマーシブコンテンツも視聴者に提供できるようになるという。


会場では、電力差を付けた2つの信号を1チャンネルで伝送するLDM方式を利用した自由視点ARコンテンツの伝送デモを披露。この伝送方式では、電力割り当ての大きい階層(UL Upper Layer) と、電力割り当ての小さい階層(LL Lower Layer)との2信号に振り分けて映像及び音声オブジェクトを伝送するため、激しい降雨で電波が減衰した場合でも、UL信号に割り当てたオブジェクトで構成するコンテンツで視聴を継続できるメリットがある。







 LDM受信装置を利用した自由視点ARコンテンツの伝送デモ


今後は衛星放送に適するLDM伝送方式の研究開発を進めて、イマーシブコンテンツの提供に適した衛星放送の伝送技術を2030年ごろまでに確立するとのことだった。


8K 360度映像をリアルタイム伝送


8K 360度映像をリアルタイムに伝送するための、効率的な圧縮・符号化システムの研究も紹介された。


同システムでは、360度映像をひずみが少なく圧縮しやすいキューブマップ(GCMP Generalized Cubemap)形式にフォーマット変換。それを、最新の映像符号化方式であるVVC(Versatile Video Coding)で符号化する。



映像を分割して配置するキューブマップ形式により、大幅に伝送容量を削減できるという


こうして伝送した360度映像を、タッチパネルディスプレイや半球スクリーンに表示すれば、特別なデバイスがなくとも複数人で没入感のある体験を共有できると説明している。今後実証実験を進め、2030年ごろまでに高解像度360度映像符号化技術の確立を目指すとのことだ。



 360度映像の表示デモ

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