公開日 2025/04/16 06:40

アップルとAnker、“音が良い”USB-Cケーブルはどっち? AirPods Maxの有線接続で検証

それはもちろん…
風間雄介
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ついにというべきか、アップル「AirPods Max」(第2世代モデル)が、USB-C接続による有線でのロスレス再生に対応した。

AirPods MaxとiPhoneをUSB-Cケーブルで接続!

その概要、音質、使い勝手については、山本敦氏によるレポートで紹介されているので、ここでは概要を記す程度にとどめる。

AirPods Max(第2世代モデル)を使い、USB-C接続によるロスレス再生を楽しむには、まずAirPods Maxのファームウェアを最新にしておくことに加え、iOS 18.4、iPadOS 18.4、macOS Sequoia 15.4以上が必要になる。

準備が整ったら、あとはかんたん。デバイスとAirPods MaxをUSB-Cケーブルで接続すると、特に設定を行わなくてもUSB-Cによる音声伝送が行える。

USB-Cでのロスレスオーディオの説明
 
iPhoneの場合、USB-Cケーブルで接続している際は、USBオーディオが優先される。ただしユニークなのは、単なるUSB-DAC内蔵ヘッドホンとして動作するわけではなく、Bluetooth接続も同時に行われることだ。

USBケーブルでの接続時にはデバイスの自動切り替えが起きず便利

ところで、USB-Cケーブルで接続していると、iPhoneとiPad、Macを同時に使っている場合でも、いわゆるデバイス間の音声の自動切り替えが起きない。これが地味だが使いやすいのだ。

iPhoneやiPad、MacとAirPodsの自動切り替えは、ふだんは非常に便利な機能だ。だから基本的にはオンにしている。ただ、たまに意図していない切り替えが起こることもあり、デバイスをつなぎ直さないときもある。これがちょっとしたストレスだ。USB-Cケーブルを接続すれば、こういった意図せざる切替えが起きず、そのデバイスの音声が優先されるので安心だ。

もちろん、ほかのデバイスから手動でBluetoothの接続をAirPods Maxに切り替えると、USB-Cケーブルからの音声入力は停止し、切り替えたデバイスからのBluetooth音声が再生される。

一点注意したいのは、筆者の私物のiPhone 16 Pro Max(iOS 18.4)との接続時には、USBオーディオ接続時とBluetooth接続時の音量差が非常に大きいということ。具体的にはBluetooth接続の音の方が大きい。USBオーディオ接続で音声を再生しながらケーブルを抜くと、自動的にBluetooth接続に切り替わるが、このときに音量がドーンと大きくなる。

USB-C端子からケーブルを抜くと、Bluetooth接続へ自動的に切り替わる
 
Macでの接続時には、同じようにUSBケーブルを抜いてもこの現象は起きず、同じボリュームのままであったため、iOSとの接続時にのみ起きるバグではないかと思われる。いずれ改修されるだろう。

音の雰囲気は変わらないが、ロスレス伝送ではもちろん音質が向上する

さてUSBオーディオ接続時は、最大48kHz/24ビットのロスレス音声が伝送される。山本敦氏がレポートしていたとおり、Bluetooth接続のAAC接続時と比べても、音の印象はあまり変わらない。

ワイヤードでのロスレス伝送とAACではデータ量が全く違うので、もっとわかりやすい違いがあってもおかしくないと思う一方、Bluetooth接続時と音の方向性があまりに変わってしまうと、体験の一貫性が損なわれる。こういったことから、あえて同じように感じられるようチューニングしているのかもしれない。

USBオーディオの音を聴いているか、Bluetoothの音を聴いているかは、デバイスの音声の出力先を開くと控えめに表示される
 
ただし、全く同じかというと、もちろんそんなことはない。一聴してわかるのは、ノイズフロアが下がり、S/Nが良くなることだ。またUSB-C接続によって情報量が高まったことももちろん知覚できる。Silk Sonic「Leave the Door Open」を聴くと、USB-C接続では滑らかに感じられた各楽器の音色が、Bluetooth接続では描写が甘く感じる。全体的にすこし解像感が下がってしまう。

当たり前のことだが、逆にBluetoothでのリスニングからUSB-C接続に切り替えると、明らかに音質が良くなる。そのあたりに転がっているUSB-Cケーブルをつなぐだけで、AirPods Maxの音が一段階グレードアップすることになる。AirPods Maxをお持ちの方は嬉しいアップグレードだろう。

USB-Cケーブルを変えたら音は変わるか? 実験してみた

…と、ここまでは山本敦氏のレポートと同じようなことしか書いていないので、ここからは少し踏み込んで、デバイスとAirPods Maxを接続するUSB-Cケーブルを変えると音は変わるのかという、当サイトならではの実験をしてみた。

ハイファイオーディオになじみの無い方は、「USB-Cケーブルで音が変わるわけないだろ」と思われることだろう。逆にハイファイオーディオファンは、良くなるか悪くなるかは別として、「何をしても音は(大なり小なり)変わる」という感覚を持っている方が多い。

筆者はもちろん後者の立場だが、今回の実験で音の違いが知覚できるかどうか、やってみるまではあまり自信がなかった。

だが、手持ちの、決してオーディオグレードとはいえないUSB-Cケーブルで聴き比べてみても、はっきりとわかるレベルで音の違いが表れた。

まずはアップル純正のUSB-Cケーブルで、先ほどと同じSilk Sonic「Leave the Door Open」を再生。再生音を記憶してから、AnkerのThunderbolt 3ケーブルにつなぎ替えたら、全体的に音が太く、力強く変化した。けっこうな違いなので、確認のため、もう一度アップル製ケーブルに差し替えてみると、変化に確信を得た。アップル純正ケーブルの音は繊細なのだが、少し迫力に欠ける印象。力強さはAnkerの方が優る。

他のケーブルも試してみようと、UGREENのケーブルに交換した。音質傾向はアップル純正に似ているが、ダイナミックレンジは純正より少し広く感じる。純正とANKERの中間のようなキャラクターだろうか。

AirPods Maxに付属した純正ケーブル(手前)のほか、AnkerとUGREENでも聴いてみた。ケーブルごとのキャラクターの違いは、予想以上にはっきりと聴き取れた

今回はこの3モデルしか試していないが、ケーブルごとに音の個性が表れることがはっきりわかった。USB-Cが一般化してきたいま、複数のケーブルが家にあるという状況は多いはず。ぜひケーブルを抜き差しして実験し、ケーブルごとの音の違いを確かめてみてほしい。

長尺でオーディオグレードのUSB-Cケーブルはまだあまり多くないが、ゾノトーンなどが販売している。オーディオグレードケーブルは通常のUSB-Cケーブルよりはるかに高価だが、線材やその巻き方、シールド、シースなど随所に工夫が施されている。通常のUSB-Cケーブルで物足りない方は、こういったハイファイオーディオの世界に足を伸ばしてみるのもおすすめだ。

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