公開日 2021/10/26 06:30

オーディオテクニカ「ATH-M50xBT2」レビュー。定番モニターを“忠実に”ワイヤレス化、機能性もさらに洗練

【特別企画】長く愛されるベースモデルも振り返る

まず音質に関わる面で大きいのは、高音質Bluetoothコーデック「LDAC」への対応。SBC/AAC/aptXといったコーデックと比べると、96kHz/24bitのハイレゾ伝送に対応するのはもちろん、伝送ビットレートが高められているという基礎的な有利によって、あらゆる場面での高音質化を見込めるスペックだ。

そのように伝送されてくるデータを、AKM製DAC&ヘッドホンアンプチップ「AK4331」でDA変換&増幅し、ATH-M50xと同じ45mm大口径ドライバーに送り込んでいる。AK4331の電源回路には高品質な薄膜高分子積層コンデンサーを採用して、ノイズや歪みを抑える配慮もされている。

一方、機能性の面で大きいのはマイク部の強化。従来モデルでは特に言及がなかったところだが、今回は小型高性能MEMSマイク2基による「ビームフォーミングマイク」を搭載。口元に向けて集音範囲を狭めることで、周囲が騒がしい環境でも聞き取りやすい声を通話相手に届けることができるとしている。

通話性能も強化。ベースモデルゆずりの音質に加え、ワイヤレスモデルならではの使い勝手を高めている

他にも自分の声も耳元に返すことで通話時のしゃべりやすさを高める「サイドトーン」機能も搭載。リモート会議の増加など、現在の状況で求められるところを的確に強めてきた。

その他の細かな改善や変更も多数。充電端子はmicroBからUSB-Cに変更。音声アシスタントの呼び出しはハウジングのタッチセンサーだったところがそれ用の物理ボタンに変更。そのボタンは通話時にはミュートスイッチとしても機能する。ボタン追加とマイク配置の最適化を優先したためだろう、左ハウジングにまとめられたボタンの配置は全体的に再調整されている。

左ハウジングのボタン周りは、従来モデル(右)との分かりやすい違いの一つ。USB端子も、普及が進んだUSB-Cに更新されている

接続周りでは、Bluetooth接続において、2台の機器へ接続しておけるマルチポイント機能にも対応。連続再生は最大40時間から最大50時間に向上している。

ほかには、専用アプリ「Connect」に対応。イコライザー設定やBluetoothコーデックの切り替え、左右の音量バランスの調整などカスタマイズが行える。新搭載の「低遅延モード」は、SBCはもちろんAACコーデック接続時の音ズレを軽減することができる機能だ。

専用アプリ「Connect」から、イコライザー編集やコーデックの切り替えなども可能だ

ワイヤレスの使い勝手はそのまま、音質は有線モデルにいっそう肉薄!

サウンドの印象は、当然ながら基本的には、前述した “ATH-M50xの音” にほぼ重なるものだ。しかも、従来モデルATH-M50xBTよりもさらに、ワイヤレス接続時であっても、ベースモデルのサウンドに肉薄するものとなっている。

例えばATH-M50xBTでは、ケーブルを用いた有線接続で聴くと、ベースモデルと比べて音像が緩やかに膨らむ印象があった。しかしATH-M50xBT2ではその膨らみが抑えられ、大柄ながらもスマートな、よりATH-M50xらしい音像に。そして、LDAC対応スマートフォンと組み合わせてのワイヤレス接続でも、ほとんど変わらない印象でリスニングができる。

続いて、先ほど名前を挙げたビリー・アイリッシュ/YOASOBIの曲を聴いて、具体的な印象を述べていこう。

次ページATH-M50xユーザーが関わった2曲を聴き比べる

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