公開日 2021/05/12 06:41

呼び覚ませ俺たちのリズムエモーション!8cmシングル比較試聴でTWO-MIX25周年BESTの進化を体感!

[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【特別企画】


CD盤ももちろん、全曲リマスタリングが施され、90年代の最新サウンドが、現代の技術で2020年-21年の最新サウンドへと進化している

まずリマスタリング実施の意図としては、ひとつには「当時と現状との擦り合わせ」が挙げられる。再発やベストへの収録、配信開始などのタイミングでは、その楽曲が発売された当時と音作りのトレンドやニーズが変わっていることも多々ある。そんなことも加味した上での「改めての最終調整」としてのリマスタリングというわけだ。

加えて、当時よりも進歩した技術や機材、潤沢な予算でマスタリングをやり直すことでの音質向上というのも、その意図であり、効果そのもの。ミュージシャンからの「当時は新人で予算がなくて納得できるサウンドに仕上げられてなかった初期作のマスタリングをやり直せしたぜ!」みたいな発言を見聞きしたことのある方もいらっしゃるだろう。例えばそういうことだ。

まとめるとリマスタリングとは、
「音の仕上げをいま改めて現在の技術や感覚でやり直すことで、いま聴いても新鮮なサウンドに仕上げ直す」
ものといったものになる。

当時と最新と情熱と技術が融合したリマスタリング!

そして本作『TWO-MIX 25th Anniversary ALL TIME BEST』におけるリマスタリングについては、実際にそれを行ったTWO-MIXの永野椎菜さん、そしてマスタリングエンジニアの矢内康公さんがそれについて語る映像が前後編構成でYouTube公開されている。



ここではその中から特にポイントになりそうな箇所をいくつかピックアップ。整理補足して書き起こしておく。

ーーーーー

矢内氏「誰かの手でリマスタリングされて変わるんだったら僕の手で変えたい。初めてです、このリマスタリングは自分にやらせてくださいって、自分から上司に願い出たのは。普段は仕事を受ける側なので」

矢内氏「最初に音の方向性を決めようということで、僕の方で仮にリマスタリングしてみたサンプルを永野さんに何曲かお送りしたじゃないですか?実はあそこまでに二ヶ月かかってます」

永野氏「そのサンプルの時点でかなり時間をかけて音を変えてきているのがわかった。臨場感から何から違ってたし、当時の僕がやりたかったこと、鳴らしたかった音が聴こえてきた。だからすぐ『この方向性のままでお任せします』とリターンした」

矢内氏「縦にも横にも隙間なく、空間をぜんぶ使おうと思って。それでサイドの楽器とかは相当上げてます。あとオリジナルのマスタリングは、ボーカルはそんなに前に出していなくて、歌中心のポップスというよりはバンド的な、歌だけじゃなくて全体のアンサンブルを重視したバランスだと思うんです。でも僕としてはもう少し歌を聴きたいというのがあって、今回は意識的にボーカルを少し前に出しています」

永野氏「当時は高山みなみさんの考え方として、ボーカルもひとつ音色、楽器だと。高山さんもクリエイター志向で、最初は『自分は歌いたくない』って言ってたくらいだから。でも高山さんの声質ってボーカルの音量を下げてもオケに負けないんですよ。だから安心して下げられたっていうのもある」

矢内氏「音の数も音の出入りも多くて、それらの音がすべて同じ帯域で鳴ってるとお互いがマスキングされてしまう。そこでそれぞれの音の高さやレベルを変えるなどして、なるべくぜんぶの音が聴こえるような処理をしています」

矢内氏「リマスタリングに向けて改めて聴き直したら、『こんなに低音入ってるんだ!』って驚きました。TWO-MIXのサウンドって高域キラキラのイメージがあったんですけどロー、ボトムもしっかりしていた」

永野氏「僕らはリズムを最初に組んでそのグルーヴを感じながら曲全体を作っていくから、そのリズムの土台がいちばん厚くなっている。だからトータルで聴いても薄っぺらにならない」

矢内氏「TWO-MIXのサウンドは、普通のベースラインよりもっと下の帯域のローまで出ている。大きなスピーカーやカナル型イヤホンなら聴こえるんですけど、普通のスピーカーでは再生できないほど低い帯域まで鳴ってるんです。だから僕は最初、これは意図せずに入っちゃって余分な低音なのかなと思って、ローカット処理をしてそれを削ってたんですね。でもそれを永野さんに聴いてもらったら一発目で「ロー上げて」って言われて。あ、これは意図せず入っちゃってるローじゃなくて意図して鳴らしてるローなんだなと」

ーーーーー

まとめると……
僕らの記憶に刻まれた当時のサウンド!当時から永野氏が思い描いていた理想!ファン心理とエンジニア視点を兼ね備える男の情熱と技術!
そのハイブリッドが今回のリマスタリングサウンドだ!…たぶん!

次ページリマスタリングの効果を実感!8cmシングルと比較試聴

前へ 1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 BRAVIAが空飛ぶ時代? 動画コンテンツの楽しみ方に押し寄せた大きな変化を指摘するソニーショップ店長。超大画面はさらに身近に
2 ネットワークオーディオに、新たな扉を開く。オーディオ銘機賞の栄えある“金賞”、エソテリック「Grandioso N1」の実力に迫る
3 Nothing、最大40%オフのウィンターセール開催
4 LG、世界初のDolby Atmos FlexConnect対応サウンドバー「H7」。オーディオシステム「LG Sound Suite」をCESで発表へ
5 「ゴジラAR ゴジラ VS 東京ドーム」を体験。目の前に実物大で現れる“圧倒的ゴジラ”の臨場感
6 衝撃のハイコスパ、サンシャインの純マグネシウム製3重構造インシュレーター「T-SPENCER」を試す
7 AVIOT、“業界最小クラス”のANC完全ワイヤレス「TE-Q3R」。LDAC、立体音響にも対応
8 ソニー「WH-1000XM5」に“2.5.1”アップデート。Quick AccessがApple Music/YouTube Musicに対応
9 「HDR10+ ADVANCED」が正式発表。全体的な輝度向上、ローカルトーンマッピングなど新機能も
10 クリプトン、左右独立バイアンプ機構のハイレゾ対応アクティブスピーカー「KS-55HG」新色 “RED”
12/19 11:02 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX