公開日 2019/06/26 06:00

クルマから出るのが惜しくなる。ボルボ「V60」の上質なB&Wサウンドを体感

文句なしの音場再現性


この「Bowers & Willkinsプレミアムサウンド・オーディオシステム」は、出力1,100Wのデジタルアンプと新構造のサブウーファーを含む15個のスピーカーを搭載し、車内のどの座席でも極上のサウンドを体感できようにしたのが最大のポイントだ。

「Bowers & Willkinsプレミアムサウンド・オーディオシステム」のスピーカー配置イメージ

スピーカーはインテリアに自然に溶け込むようデザインされている

パワフルな重低音を生み出すエアベンチレーテッド・サブウーファーはカーゴルームにインストールされ、カーゴルームを犠牲にしない配慮も施された。サウンドエクスペリエンスとして、「Studio」「Stage」「Concert」の3つの音響空間を再現するオーディオモードが用意され、特にConcertではスウェーデンのイェーテボリ・コンサートホールのベストシート「席番号577」の音響を再現したというこだわりようだ。

コンサートホールの音響イメージを再現

運転席に座って真っ先に目に飛び込んでくるのがダッシュボード中央に配置されたトゥイーター内蔵のセンタースピーカーだ。これはBowers & Wilkinsのホーム用スピーカーに倣った “トゥイーター・オン・トップ” の技術を採用したもので、さすがにダイヤモンド・トゥイーターとまではいかなったが、十分な存在感を醸し出している。

ダッシュボード中央にBowers & Wilkinsらしいトゥイーターを設置

ステンレス製のスピーカーグリルやBowers & Wilkinsのロゴマークも高級感たっぷりで、Bowers & Wilkinsのトレードマークでもあるイエローのスピーカーコーンがメッシュグリルから透けて見える演出も素晴らしい。

ドアスピーカーではロゴマーク付きのグリルを通して、イエローカラーのスピーカーコーンが見える

音場再現は文句なし、車内から出るのが惜しくなる

そして、このシステムが再生するサウンドは期待に十分応えるものだった。肘掛けのコンソール内にあるCDドライブにCDを読み込ませると、グレースノートのデータから曲名やジャケット写真を自動表示。これだけでも聴く側の心をくすぐるに十分だ。ディスプレイ下にあるコントロールダイヤルや、ステアリングの操作スイッチの質感が今ひとつな感じはあるが、使い勝手は直感的で使いやすい。

まず聴いたのは女性ジャズボーカル。センタースピーカーとミッドレンジスピーカーのおかげか、ボーカルがしっかりと前方に定位する。ステージ感もダッシュボード上に広がっており、音場としての再現性は文句なしの素晴らしさだ。

声に透明感があり、ボリュームを上げていっても声がうわずるようなことは一切なく、気持ちよくどこまでも抜けていくような印象だ。解像感も高く、演奏する楽器の一つひとつが立体的に浮かび上がる感じ。

続いてサウンドエクスペリエンスを使ってオーディオモートを注目のイェーテボリ・コンサートホールのベストシート「席番号577」を選び、ブラスセッションを聴いてみた。

驚くのがその包まれ感で、ブラスが発した音が自然な残響音を伴って降り注いでくる。特に短いキレのあるフレーズの演奏では余韻までもじっくりと聴かせてくれ、そのまま聴き込んでいると車内から出るのがつい惜しくなってしまう。SUVのXC90で聴いた時も音作りに感動をおぼえたものだったが、V60でもその流れは十分引き継がれていることを実感した。

このBowers & Wilkinsは2018年モデルでは全車にオプションで選択できたが、2019年モデルではInscriptionのみにオプション設定となったのは残念。そのオプション価格も32万円と決して安くはないが、その質の高いサウンドを聴いてみれば多くの人が納得できると確信した次第だ。


(会田 肇)

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