公開日 2019/06/21 17:00

Campfire Audioの“新星”を速攻レビュー! 「IO」「POLARIS II」「ANDROMEDA」三者三様の魅力を実感

【特別企画】注目DAPと組み合わせて実力チェック

まずはドナルド・フェイゲンの『The Nightfly』から「I.G.Y. (What a Beautiful World)」を聴く。この曲は「音が良い」ことで有名で、多くのエンジニアが試聴に使っているという。それも納得で、音の輪郭が明瞭で楽器の存在感が際立っている。定位も明確で左右の音のバランスもピッタリと揃う。音作りのプロでなくとも分かるほど、音が論理的に整理されているのだ。ゆえに、実力の乏しいイヤホンで聴くと粗が目立つ。再生機の実力を判断するリトマス試験紙のような曲なのである。どちらに転ぶか心配しながら再生したところ、一聴して杞憂は吹き飛んだ。

中高域が高解像度かつ滑らかで、高い表現力を発揮してくれる。イントロのシンセサイザーは音が煌びやかながら、潤いを帯びている。途中から入るギターのバッキングはキレ味鋭く、弦を弾く音も分離が良い。

新iPod Touchと組み合わせて試聴。中高域の再現、表現力が秀逸なイヤホンだ

滑らかさをより実感したのが、伸びやかなボーカルだ。コーラスが入ると一気に音に厚みが増すのだが、クレッシェンドがナチュラルで気分も一気に盛り上がる。低域は必要以上に主張しない印象だが、存在感は充分。ドラムパートなどリズムセッションもメリハリがあり、グルーブ感が心地よかった。音のプロをもうならせるという整理されたサウンドを、本機でも堪能できた。

続いては、ビル・エヴァンスのアルバム『Waltz for Debby』から、「Waltz for Debby (Take 2)」を聴いた。こちらも中〜高域の表現力が素晴らしい。ピアノは伸びがありつつも繊細なタッチまで的確に表現。抑揚まで手に取るように分かる。ドラムはスネアをこするブラシの音、シンバルの音も細部まで聴き取れる。ベースの箱鳴りも濁らない。

もう1曲、Aimerのアルバム『Penny Rain』からバラード曲「Ref:rain」を聴く。Aimerの歌声は密度が濃く滑らかで、音の芯が太く、しっとりとした曲の世界観を上手に表現している。中高域の表現力がないイヤホンだと音が軽くなり、この湿度感は出せないだろう。

IOは中高域の表現力の高さが魅力だ。特にボーカルやピアノ、ギターなどメロディラインを構成する音の力強さや滑らかさは秀逸で、電車や街中の雑踏など外音が気になる場面でも、曲の持ち味を最大限に引き出してくれるはずだ。

力強い低域で表現力の幅が拡がった「POLARIS II」

「POLARIS II」は、前述の通り2017年秋発売の同名イヤホン「POLARIS」の第2世代モデル。予想実売価格は59,600円前後で、従来モデルの67,800円前後から価格が見直され、より手に取りやすくなった。

従来モデルから音質チューニングを変更したという「POLARIS II」

製品名の「POLARIS」とは北極星のこと。ボディはアルミニウム製で、カラーはブルー。前モデルではフェイスプレートに耐久性の優れるセラミックコートを施したブラックのアルミプレートを採用していたが、本機ではプレートを変更してブルーカラーで統一。それに伴い音質も再調整されている。

前モデルはフェイスプレート側がブラック、内側がブルーのツートンカラーだったが、本モデルではブルーカラーで統一された

ドライバー構成は、中〜高域用のバランスド・アーマチュア型1基と低域用のφ9.2mmダイナミック型を組み合わせたハイブリッドとなる。ダイナミック型をスピーカーでいうチャンバー(空気室)に置くことで、本来の特性を引き出すという「Polarity Tuned Chamber」も前作同様に採用する。

ブラッシュアップされた点は、IOと同じく耐久性に優れるMMCX端子の搭載と、「New Smokey Jacket Silver Plated Litz Cable」の付属。ケーブルはもともと、ハイブリッドドライバーのサウンドと相性が良いとのことで純銅導体を撚っている「Black Litz Wire Earphone Cable」が付いていたが、今回新リケーブルに変更された。本機もまた、本体に合わせたブルーの半円形キャリングポーチが付属する。

筐体に合わせたブルーの半円形キャリングポーチが付属

POLARIS IIと組み合わせたDAPは、中国HiBy Musicブランドから今年3月に発売され、人気を博している「HiBy R6Pro」(予想実売価格89,900円前後)だ。AndroidをカスタマイズしたOSを搭載し、サンプリング変換をバイパスしてビットパーフェクト再生を実現するという「DTAアーキテクチャ」を採用。DACチップには、ESS Technologyの「ES9028Q2M」を2基、オペアンプに新日本無線の「MUSES8920」を4基搭載するなど、これでもかというほど贅沢な仕様となっている。聴いた曲はハイレゾ音源が中心だ。

本機でも最初にドナルド・フェイゲンの「I.G.Y. (What a Beautiful World)」を再生する。IO同様の高解像度かつ滑らかな中高域に、POLARIS IIでは力強い低域が加わり、音域も表現力の幅も拡がったようだ。ベースの旋律は彫りが深く、リズミカル。厚みのある低域のおかげでメロディラインがより引き立っている。

次ページ編み方が違う新ケーブル採用の「ANDROMEDA」。マイナーチェンジで音質変化は…?

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