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公開日 2016/07/27 10:00

ASUSのUSB-DAC最上位機「Essence III」レビュー。様々な使い方に対応するユーティリティモデル

【特別企画】世界的ブランドの本格オーディオ
土方久明
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PCやタブレットなど、デジタル機器においてASUSというブランドが世界有数のシェアを誇ることは疑う余地がない。同社の幅広いラインアップにはサウンドに関連したジャンルも含まれており、そのクオリティはまさに世界で支持されるものだ。そして、そのノウハウをオーディオ製品に落とし込んだUSB DACは、技術的バックボーンに支えられた紛れも無いピュアオーディオ・サウンドを実現している。高度なテクノロジーによりもたらされるASUSのサウンドはどのようなものか、最上位モデルであるEssence IIIから探りたい。

世界的に高い評価を獲得する作りこまれたオーディオ製品

読者の皆さんはASUS(エイスース)という会社をご存知だろうか?同社はマザーボードと言われているパソコンのメイン基板で世界第1位、ノートPCで世界第2位の出荷数を誇る、コンピューターの世界では知らぬ者がいない総合エレクトロニクスメーカーである。

近年ASUS社は、その技術力を生かしスマートフォンやPC用モニターなど数多くのコンシューマー製品を発売しているが、実はオーディオ製品もそのひとつ。今回ご紹介するEssence IIIに代表されるUSB DACや、デスクトップ用PCに接続して高音質再生をサポートするサウンドカードも好評を博している。

●ASUSが展開するサウンドカード


ASUS「Essence STX II 7.1」¥OPEN(予想実売価格24,980円前後)高品位DAC内蔵ゲーマー向けサウンドカード。*7.1ch出力カードが付属

ASUS「STRIX RAID DLX」¥OPEN(予想実売価格21,980円前後)ハイレゾ対応サウンドカード。*コントロールボックスが付属
サウンドカードとは、外部接続のUSB DACなどとは異なり、PC本体に組み込むことで、PCそのもののアナログ音声出力のクオリティを向上させることができるパーツだ。ヘッドフォンリスニングやアクティブスピーカーを接続したデスクトップ・オーディオを求めるユーザーにとっては、最もシンプルなシステムを構築できるメリットがある。音質面においても、サウンドカードに搭載されるDAC部などはPC標準のものに比べ遥かに高品位で、ASUSならではの優れたサウンドを実現できる。(編集部)


本機はシリーズ最上位モデルとして、ヨーロッパにおける過去1年間の優秀な製品に贈られるEISAアワードを受賞するなど、高い評価を受けているUSB DACだ。まず目を引くのは、美しいガンメタリックの筐体であろう。幅228mm×高さ71mm×奥行き322mmのシャーシは質感が高く、まるでイギリスのオーディオ製品のような佇まい。しかも叩いてもほとんど共振を感じない。

そしてASUSと言えば、やはり基板だろう。天板を外して内部を確認すると、アナログ、デジタルおよび電源回路のための別個のボードが設置され、電源部も金属製のパネルによってセパレートされている。DACチップには、アナログ・デバイセズ社「AD1955」を搭載。再生可能フォーマットは、PCMは最大192kHz/24bit、DSDは5.6MHzまで対応する。

入力端子はUSB B端子の他、光TOSとRCA同軸デジタル、AES/EBUなどを備え、出力端子はRCAに加えてXLRも搭載される。ヘッドフォン部もバランス、アンバランスそれぞれ独立した回路設計とオペアンプが搭載され、6.3mm標準ステレオジャックの他にminiXLR(3ピンLR独立)が装備されるなど力が入っている。デザインから内部構成までピュアオーディオ製品としてしっかりと作りこまれている印象だ。


Essence IIIの背面部。入力端子にはUSB(Bタイプ)や光TOS、RCA同軸デジタル、AES/EBUなど豊富なデジタル入力を備えており、さまざまな機器と接続してのシステム構築が可能となっている
さまざまな音源と好相性を示す、ヌケが良くスピード感のある音色

まず自宅のハイファイシステムと接続し、DAC部の音質を確認する。64bit Windows10搭載のノートPCと、プレーヤーソフトには話題のRoonを使用した。

本機は、ヌケが良くスピード感がある音色、というキャラクターを持っている。女性ジャズ・ヴォーカル、ダイアナ・クラール『ウォール・フラワー』(FLAC 48kHz/24bit)」は、いつも使用するレファレンスDACと比べても、シャープにヴォーカルが定位する。バスドラムのキレの良さも印象的だ。

続いてクラシック、沢口音楽工房『シューベルト:弦楽四重奏曲第14番』(192kHz/24bit・FLAC)では、各楽器に情報量があり、弦の響きにもスピード感がある。本機はアニソンや打ち込み系音源とも相性が良さそうである。

更に、ヘッドフォン、アクティブスピーカー、TVにも繋いで使い勝手も探ったが(下記別枠参照)、性能、進化、コストパフォーマンス、どれをとっても、厳しいコンピューターの世界で勝ち抜いてきたASUSが放つUSB DACのポテンシャルは予想以上に高かった。入力端子が多いプリアンプとしてなど、さまざまな用途で末永く使える製品と言えそうだ。

●さまざまなシーンでASUSサウンドを楽しむ

1.ヘッドフォンリスニング


バランス出力専用に新日本無線のフラッグシップオペアンプ「MUSES 02」を2基搭載するなど、Essence IIIのヘッドフォン部は強力。今回はそれぞれにキャラクターの違うヘッドフォンをいくつか組み合わせたが、どのヘッドフォンでもDAC部同様のハイスピードでキレが良い音色を聴くことができた。今井麻美「朝焼けのスターマイン」(FLAC 96kHz/24bit)は躍動感のあるヴォーカルがしっかり脳内定位し、バスドラムもにじみが少なく好印象である。

2.コンパクトなスピーカーシステム


アンプを内蔵するアクティブスピーカーと組み合わせれば、シンプルながら本格的なデスクトップ・オーディオシステムを構築できる。本機はヘッドフォン部とは独立したボリュームを備え、信号ケーブルの距離を稼げるバランス接続が可能で、アクティブスピーカーとの親和性が高い。そして何より、その音は鮮度が高く迫力があり驚かされた。今井麻美を聴くと、ヴォーカル、バックミュージック、空気感さえも忠実に再現してくる。このようなシンプルなシステムから優れたサウンドが得られるのは本機のアドバンテージだ。

3.TV周りのステレオ再生システム


本機の光TOS入力を利用してテレビと接続し、アクティブスピーカーから音を出してみた。当然だがニュース番組ひとつとってもセリフの明瞭度が変わってくる。2chのステレオ再生ながら、映画などの臨場感もかなりのものが得られる。本機はデジタル、アナログ両方の入力端子を備えるため、AVセンターとして利用できるのも良い。音量調節やソース切り替えが可能なワイヤレスリモコンも付属するので、使い勝手も良好だ。Essence IIIの優れたDAC部を生かすための、極めて有効な使い方と言えるだろう。


■Specifications

●S/N:117dB ●THD+N:<0.0005%(-105dB) ●周波数特性:10Hz〜48kHz(-3dB、192kHz/24bit入力) ●I/V変換用オペアンプ:AD827SQ×2 ●LPF用オペアンプ:AD827SQ×2 ●搭載チップセット:C-Media 6632A High-Performance Sound Processor (最大192kHz/24bit) ●最大対応サンプリングレート:USB→192kHz/24bit(PCM)、5.6MHz(DSD)、S/PDIF→192kHz/24bit ●入力端子:USB(Bタイプ)×1、光TOS×1、RCA同軸デジタル×1、AES/EBU×1 ●出力端子:RCA×2、XLR×2、6.3mmステレオ標準×1、miniXLR×2 ●外形寸法:228W×71H×322Dmm ●取り扱い:テックウインド(株)
本記事は、『ネットオーディオ 23号』からの転載です。『ネットオーディオ』の詳細はこちら

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