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JEITA漆間会長が記者会見。電子情報産業は「AV機器は減少傾向」「OT分野で日本の独自性の確立を目指す」
一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)は、本日12月16日に「電子情報産業の世界生産見通し」を発表。これにともない、JEITAの会長である漆間 啓氏(三菱電機株式会社代表執行役 執行役社長 CEO)による記者会見を開催した。
漆間氏によると、半導体、電子部品、ソリューションサービス、サーバー・ストレージが軒並み全て好調で、それぞれ世界生産額において過去最高を更新。2025年には前年比11%増の4.12兆ドルと初の4兆ドルを突破、2026年にはさらに10%増の4.51兆ドルを見込む。
生成AI、AIoT、自動運転、スマートファクトリーなど、先端技術のさらなる普及、高性能サーバー・ストレージと半導体の伸長が背景にあり、AIとデータ駆動型社会への展開が鮮明になっているとする。
一方で日系企業の世界生産額については、2025年について前年度比2%増の41.8兆円、2026年については3%増の43.1兆円を見込む。日系企業においても手堅い成長を見せてはいるが、急速な世界市場の発展には遅れをとっていることが数字上でも明らかになっている。
DVDなどのAV機器は減少傾向にあるものの、Windows 10のサポート終了に伴う更新需要によるパソコンが堅調に推移したほか、半導体や電子部品などが全体を下支えしたと分析する。
国際情勢の不透明さを増す中で、経済安全保障の重要性がますます高まっているとしており、「データセンターと電力は国家の戦力資源であり、その確保ができなければデジタル競争力を維持できない」という認識を強調。データセンターは “戦略資源” であると同時に “基盤インフラ” であり、日本国内に確保して磐石な体制を確保することが必要であると訴える。
電力面についても、「2030年に電力の需要が2倍に増える」とさらなる需要拡大が見込まれることから、ワットビット連携の推進、再生可能エネルギーの効率的な活用、省エネ半導体の開発、光電融合による高速低消費電力通信の提案を行い、電力不足がサプライチェーンのボトルネックにならないよう産学官の連携が不可欠と語った。
さらに、JEITAとしては “製造業が日本の強みであり続けるために”、単なるデジタル化では不十分で、産学官によるデータのさらなる活用に向けた働きかけをおこなっていくと表明。
特にOT(Operational Technology)分野での活用に期待を寄せており、製造現場のデータとAIを組み合わせることで付加価値を高め、日本の生産性を高めていくことが必要だと訴える。また今年6月には「デジタルエコシステム官民協議会」を発足、官民一体でデータ活用の推進を行う環境整備にも力を入れる。
「Innovation for All」を掲げて今年10月に開催されたCEATECには、約10万人が来場したと報告。「未来を創造し共感を産む社会実装につなげるイノベーションの実験の場」として、新産業の萌芽を産むとともに、政策形成の視座や新たな連携の機会を提供できたと総括する。
質疑応答において、世界的なメモリ不足が懸念される中で日本企業が取り組むべき領域として、GAFAMによる大規模言語モデルへの投資に日本が追従するのは難しいとした上で、日本企業の強みである「OT領域」へのさらなる強化について言及。フィジカルAIの開発、特化型AIやソリューションの確立などへの注力が生産性向上と付加価値創出の源泉となるとの考えを示した。
パワー半導体については、日本が世界で戦えるキーとなる半導体であるとともに、先端半導体を国内で製造するラピタスの取り組みや熊本工場が始動したTSMCの動きについて触れ、「日本国内での高度な製品の調達の可能性」に期待を寄せた。
また日中関係の悪化に伴う国内産業への影響については、政治の状況の中で問題が起きていることは事実としながらも、「産業界はこれまでも中国と日本との関係を築き上げてきた」ことを指摘、「影響がないわけではないが、理解しながら今までの関係をしっかり維持していくことに邁進したい」と表明した。

JEITA新会長に三菱電機社長の漆間 啓氏が就任。「ソフトウェア開発力が課題解決の鍵」
2025/06/11


































