公開日 2025/04/16 12:03

あなたは「Sマーク」を知っていますか? 認知度は36.4%で5年連続上昇、店頭での普及率は約70%

「Sマーク」の普及・促進を担う電気製品認証協議会が2024年度の活動を報告
編集部:竹内 純
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海外製品を中心にSマークのない製品が数多く見受けられる

電気製品の安全・安心の証となる「Sマーク」の2024年度の認知度は36.4%、店頭での普及率は70.7%となった。認知度は対前年比で3.5ポイントのアップとなり5年連続で上昇、一方、店頭普及率は同1.4ポイントのダウンとなり、新規進出の海外メーカーの台頭などが要因として考えられる。

Sマーク

電気製品の安全を確保するとともに、より安全・安心な電気製品を消費者に届けるため、第三者認証制度「Sマーク」の定着と普及・促進を行う電気製品認証協議会(SCEA)は、「Sマーク広報関係者懇談会」を開催。まずSマークの普及・広報・調査等を担う広報専門部会の2024年度の活動について、三浦佳子部会長が説明を行った。

SCEAではSマークの認知度調査を、2020年度よりWEBアンケート形式で毎年実施している。2020年度25.3%、2021年度28.0%、2022年度31.0%、2023年度32.9%、そして2024年度は36.4%と、前年より3.5ポイントアップした(回答数5,870件、202411月〜20251月実施)。

三浦氏は「過去5年間、少しずつだが認知度が上がってきている。製品事故が報道でも取り上げられ、NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)では製品事故の再現映像とともにリリースを出して注意を喚起している」と事故情報がよりオープンになり、決して対岸の火事ではないとの認識が広まりつつあるとして、「Sマークの認知度をもっと高めていきたい」と訴えた。

三浦佳子 広報専門部会長

Sマークをどのようにして知ったのかについては、「調査結果からはやはり、製品自体にSマークが表示されていることで気づいたケースが圧倒的に多い。このため、できればもう少し見やすい位置にSマークを付けていただくことも今後大事になってくるのではないか」と啓発に対する家電メーカーの取り組みにも期待を寄せた。

Sマーク付き電気製品が店頭ではどれくらい普及しているのかという実態調査も長年にわたり実施している。2024年度は、従来から調査を行う日本百貨店協会、日本チェーンストア協会、日本DIY協会、日本通信販売協会、全国電機商業組合連合会、愛知県電機商業組合で9,524件、2020年度より新たに調査をスタートした価格.com、ネット販売大手3社(アマゾン、ヤフー、楽天)で計4,949件、合計14,473件について11月に調査を行った。

対象製品は17品目(炊飯器、ポット、アイロン、オーブントースター、コーヒーメーカー、電気カーペット、電気ストーブ、ヘアードライヤー、掃除機、冷蔵庫、洗濯機、ルームエアコン、空気清浄機、フードプロセッサー、電子レンジ、テレビ、CD/BD/DVDレコーダー)で、店頭普及率は70.7%(前年度72.1%)となった。

ネットを含めた総平均では69.0%(同69.4%)とやや下がり、価格.com 71.8%(同69.0%)、ネット販売大手3社平均は59.9%(同59.8%)となる。品目別で普及率が高かったのは、電子レンジ(97.7%)、テレビ(95.2%)、洗濯機(93.0%)。反対に低かったのは、掃除機(33.8%)、フードプロセッサー(37.8%)、CD/BD/DVDレコーダー(47.3%)。

三浦氏は「昨年と比較して1.4ポイントの減少となった。大手メーカーがほとんどSマークをつけていただいているのに対し、海外製品を中心にSマークのない製品が数多く見受けられ、積極的には取得はされていない。今後、売り場と連動し、Sマークの付いているものはより安全・安心であることを訴えていくような活動も大切になる」との考えを示した。

一般消費者に向けては、SNSYouTubeを活用した広報活動に注力。次代を担う子供たちへのアプローチとして、全国小学校家庭科教育研究会に対し、Sマークの広報資料等を副読本として活用してもらう取り組みを行っている。

「一般消費者の間ではネット通販で家電を買う方が非常に増えている。ネットで購入した家電の事故も増えていて、特に輸入品の場合には事後の解決ができないケースも多く見受けられる。経産省でも抜き打ちのネットパトロールを一昨年から始めているが、なかなか目が行き届いていない」と新たな課題を指摘。

「キャンペーンやセミナーをはじめ、地道な取り組みをひとつひとつ積み重ねていくことで、『Sマークが付いている商品を買えば安全・安心だね』という消費者の声がもっと高まっていくように、広報活動にさらに力を入れていきたい」と力を込めた。

 

急速な普及に伴い事故も増えるポータブル電源をSマーク追加基準へ

Sマーク認証に関する様々な事項を担う基本問題専門部会の活動については、小野亮部会長が説明を行った。「Sマークの製品認証は、基本的には電気用品安全法(電安法)に基づいて行っている。電安法の整備がなかなか追いつかないなか、Sマークは比較的小回りが利くため、電安法を先取りして追加基準や運用基準を独自に設けている」と語る。

小野亮 基本問題専門部会長

追加基準としてはこれまで12件を制定。その後、電安法で技術基準化された6件が取り下げられ、現在は6件。2024年度は新たに、『ポータブル電源に係るSマーク追加基準』が加えられた。

家電量販店でも専用の売り場が定着するなど、急速に需要が高まるポータブル電源だが、電安法においては規制対象外だ。しかし、事故が増加傾向にあることなどを鑑みて、経産省では20242月、安全対策を盛り込んだ「ポータブル電源の安全性要求事項(中間とりまとめ)」を公開した。

「ポータブル電源にいろいろな事故情報が出ているが、JIS等の規格化には時間がかかることから、未然に防止するため、規格化を待たずに関係者に使用していただく目的で公開されたもの。Sマークでは国の意向を考慮するかたちで、いち早く追加基準として取り上げた」と説明する。

電安法の技術基準において、Sマークでは取り扱いを明確にした運用基準も定めており、現在は6項目を制定。202410月に、『IoTガイドラインのSマーク適用に関する運用基準(改訂)』を取り入れている。

Sマーク認証製品が認証時と同等の性能をきちんと維持しているかを確認するために、SCEAでは市場で販売されているSマーク認証製品を買上げて行う調査を2009年度より毎年実施している。2024年度も不適合は認められず、過去7年間は不適合が出ていない。20244月〜12月にSマーク認証製品での製品事故、Sマークの不正使用も認められなかった。

同期間にNITEから公表された電気製品リコール40件のうち、Sマーク認証品は3件が認められたが、すでにリコールにより対処され、根本原因の究明がメーカーと進められている。

電気製品の販売に際し、様々な課題が顕在化している「ネット販売」については、「ネット販売事業者に法令遵守をもっと意識してもらうために、4年前から積極的に取り組みを進めている。大手ネット販売事業者が加盟するオンラインマーケットプレイス協議会(JOMC)とは、意見交換会を設けて意思疎通を図っている」と説明する。

懇談会冒頭であいさつをした横山明彦 会長 

技術基準の性能規定化においても、SCEAでは電気用品調査委員会の事故事例調査部会での事故事例の分析に基づく新たな基準作りに参画している。2023年度に発足したリチウムイオン蓄電池搭載機器分科会にも参加、2025年度から電気用品調査委員会の各部会が再編成されたが、設立された3つの部会のメンバーとなっている。

 

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