公開日 2024/12/10 11:36

LUMINの香港オフィスを訪問!「ネットワークオーディオの入り口であり続けたい」

製品の修理も社内で対応する
ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
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ネットワークオーディオの市場を牽引してきたLUMIN(ルーミン)は、香港に拠点をもつオーディオブランドである。今年8月に開催された香港ショウに合わせ、7年ぶりに同社のオフィスを訪問してした。

香港北部にあるLUMINのオフィスを7年ぶりに訪問!

LUMINは、映像のセットトップボックスなどを展開するpixel magic社が擁するハイエンドオーディオ専業ブランドである。ネットワークオーディオの黎明期である2012年に創業され、DSDフォーマットへのいちはやい対応やストリーミングサービスとの連携、優秀な操作アプリのインターフェイスの提供で話題を集めてきた。

LUMINのオフィスは、香港北部の大学駅の近く、ベンチャーやテック企業が集まるサイエンス・パークと呼ばれるエリアにある。駅名の通り近くに工学系・医学系に強い香港科技大学があり、産学連携で技術とビジネスをインキュベートする環境が用意されている。

先端テック系の企業があつまるサイエンス・パークと呼ばれるエリアにオフィスを構える。近くには大学もあり、産学連携での最新技術開発が積極的に行われている

同社はコロナ禍直前の2019年に、同じサイエンスパーク内の新ビルの13Fにオフィスを移転。香港湾を臨む開放的なオフィスで、開発チーム、リペア部門はもちろん試聴室も新たに設けている。

社長のネルソンさん、開発担当のリーさんらに話を聞いた。LUMINのネットワークオーディオに対する考え方は、あくまで「お求めやすい価格で多機能な製品を提供し、ネットワークオーディオに関心のあるお客さんの入り口になること」だという。

左から社長のネルソンさん、開発担当のリーさん、マーケティングのアンガスさん

dCSやaurenderのようなスーパー・ハイエンドを志向しているわけではない。だが、roonなど新しい技術には積極的に採用していく。TIDALやQobuzはすでに対応済みだが、台湾発のストリーミングサービスKKBOXとの連携も進めている。またQobuzアプリからLUMINプレーヤーにアクセスできる「Qobuz connect」にも対応予定としている(Spotify ConnectやTIDAL Connectに近いもの)。

Amazon Musicについても「引き続き準備中です」とのこと。LUMINがAmazon Musicに対応すれば、必然的に同じソリューションを利用しているラックスマンやエソテリックのネットワークプレーヤーも対応されるはず。

ちなみに「Amazon、TIDAL、Qobuzの音質についてはどれが良いと思いますか?」という質問に対して、マーケティング担当のアンガスさんは少し考えてから、「そのなかではQobuzがよい、という声はよく聞きます。ですが、それを決めるのは私たちではなく、利用しているお客さんが選んでくれれば良いと思っています」とコメント。「私たちの役割は、できる限りさまざまな再生方式に対応できる場を作ることだと考えています」と言葉を続けた。

LUMINのオフィス内を案内してもらった。「昨日までオーディオショウだったから散らかっていて申し訳ないけど…」と試聴室に案内してもらう。スピーカーは7年前と同じVIVID AUDIO。基本的な開発ならびに音質チューニングはこの部屋で行っているという。

LUMINの試聴室。メインスピーカーはVIVID AUDIO

最新モデル「P1 mini」の開発初号機も置かれていた。プリアンプ機能を内蔵し、アナログ入力を持つことでオーディオセンターとしても活用できるモデルだ。エソテリックやラックスマンの機器も置かれており、ネットワークやDACの性能テストをするのに活用されているそうだ。

右上はP1 miniの開発初号機。エソテリック、ラックスマンの製品も見える

P1 miniの内部基板。アナログ・デジタルそれぞれの回路で音質を追求している

スタッフは全部で20人ほど。LUMINだけでなくpixel magic製品についても兼任しているが、ハードウェア担当、ソフトウェア担当、アプリ担当と別れてそれぞれ責任を持って開発を担っている。

LUMINの開発オフィス。ソフトウェア、ハードウェアそれぞれ専任スタッフが取り組んでいる

社長であるネルソンさんの部屋には、現在開発中だという新製品の「フロントパネル」が置かれていた。「これはまだ秘密です!!」とのことできちんとした写真では紹介できずに恐縮たが、今までにない新しいデザインにも挑戦しているようだ。

開発中の新製品の外観。いままでとまったく違うデザインに期待!

さらに奥にはリペア専門のスタッフが3人。過去のモデルのスペアパーツもなるべくとっておき、できる限り修理対応できるようにしているという。ちなみに修理で最も多いパターンは?と聞くと、「コネクタを無理やり入れようとした物理的な破損」が多いとのこと。コネクタの抜き差しは丁寧に行うように心がけていきたい。

修理の専門スタッフも常駐。過去の製品もなるべく修理できるようパーツを揃えている

倉庫もかねており、「P1 mini」のドイツ向けダンボールが山積みになっているほか、エントリークラスのネットワークプレーヤー「D3」、サーバー兼ハブの「L2」も積み上がっている。製造はここから少し北上した深センの提携工場で行っており、高度なアルミの切削技術で筐体も仕上げてくれているとのこと。

アンガスさんは、「ときどきLUMINのコンペティターはどこですか?と聞かれることがありますが、正直にいえば私たちにとってオーディオブランドはコンペティターではなく、この市場を広げていくための仲間だと思っています」とコメント。「むしろライバルという意味ではカメラやらスマートフォン、時計などです。音楽を聴くことの楽しさ、その趣味の奥行きを伝えていくことが私たちの役割だと考えています」と力強い。

ネットワークオーディオのパイオニア、さらなる進化にも期待したい。

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