トーレンスの特別モデルやロングアームの饗宴に大注目!アナログオーディオフェアを徹底レポート
5月30日(土)と5月31日(日)の2日間、損保会館(東京・秋葉原)にて「アナログオーディオフェア2026」が開催された。国内最大級といえるレコード関連機器と真空管アンプの祭典の様子をご紹介する。
初夏の陽気の中、アナログ愛好家の熱は沸騰寸前
2日間とも好天に恵まれた本イベント。少し汗ばむ気温ではあったものの、時折吹く風が心地よく、絶好のお出かけ日和であった。そのためか早い時間から、開場を心待ちにする愛好家が長蛇の列をなしていた。
聞こえる会話は、講演イベントや新製品の話題が中心で、火傷しそうなほどの愛好家の熱を感じさせた。そんな熱気を運営側も感じ取ったのか定刻よりも早く開場。静かに、でありながら真空管のように熱いイベントが幕を開けた。
サエクとイケダによるロングアームの饗宴
サエクとイケダのブースでは、ラックスマンのアナログプレーヤー2台を用いて、 サエクはWE-712、 イケダはIT-407 SSというロングアームの饗宴が行われていた。
WE-712は、ダブルナイフエッジ方式のトーンアームWE-709のロングヴァージョン。オプションで販売しているSAB-PD191-WE-712に取り付けられていた。
ブースでは、オーディオ評論家の故・潮 晴男さんと麻倉怜士さんが設立した高音質レーベル「UAレコード」のイベントも実施。ヴォーカリストの情家みえさんと共に、最新作である45回転レコード「Bonheur(ボヌール)」を、2本のトーンアームを使いながら訴求していた。
麻倉さんと情家さんは別場所で販売も実施。麻倉さん自ら手売りをし、希望者には、その場で情家さんがサインをしていた。
真空管の魅力を伝えるエアータイト
国産真空管アンプの雄であるエアータイトは、昨年登場した新製品をアピールしていた。
フォノイコライザーのATE-5は、MM入力に絞った設計。入力は1系統(アンバランスRCA)のみと潔く、フロントパネルには電源ボタンのみというシンプルな意匠である。
ATM-2 PLUSは、KT88プッシュプルにより70Wの出力をギャランティするパワーアンプ。エアータイト製アンプらしく、フロントパネルには固定バイアス調整用のメーターが備えられている。
送り出しには、トランスローターのZET-3 TMDを使用。駆動ベルトをプラッターに接触しない独自の機構(Transrotor Magnetic Drive)により、モーターの振動を極限にまで低減しているという。
会場ではジャンルを問わず、様々なレコードを演奏。幅広い楽曲に対応する懐の深さを予感させた。
ゾノトーンは新ケーブルインシュレーター参考出品
PDNとゾノトーン、オーロラサウンドのブースは終日満員御礼。常に立ち見が出るほどの盛況ぶりであった。
PDNはトーレンスのダイレクトドライブ機TD404DDをアピール。上下両面にシリコン制振パッドを配置したアルミニウム製プラッターを、光学センサーを用いて制御するオリジナルモーターで駆動する意欲機だ。
オーロラサウンドはEL34プッシュプル構成の出力段をもつプリメインアンプHFSA-02で美音を披露。パラダイムの大型機を鳴らし切る高いドライブ力を魅せた。
ゾノトーンは同社初のケーブルインシュレーターを参考出品。1848年、岩手県水沢で創業した南部鉄器工房「及富」とのコラボレーションで誕生したもので、重量があり同社の太いスピーカーケーブルをしっかりと支えていた。
レガのコンパクトプレーヤーに注目
完実電気とDSオーディオのブースはアナログプレーヤーとレコードの魅力を伝えていた。
レガのPlaner 6 RSは、上位モデルPlanar 8のエッセンスを注入したモデル。RB880トーンアーム、Nd9MMフォノカートリッジが付属するので、初めてのアナログプレーヤーに好適だ。
また、同社の最上位となるフォノイコライザーを参考出品。負荷インピーダンス、静電容量の設定ができるほか、2段階のゲイン設定が可能。出力端子はアンバランスRCAのほかバランスXLRも備えている。
バキューム式レコードクリーナーで知られるパーフェクションは、仮想アースPFT-ES1を訴求。フィルター回路を備えており、特にデジタル機器との接続に効果があると謳う。
DSオーディオは真空管フォノイコライザーTB50をフィーチャー。フラグシップモデルTB100と同様、バッファー回路には双三極真空管ECC82が用いられている。真空管ソケットの下部にはイルミネーション用のLEDが配置されている。
Tecnologia e Cuoreから早くも新製品が登場
三菱電機でダイヤトーンを手掛けてきた佐藤 岳氏が定年退職後、起業したオーディオメーカーTecnologia e Cuoreは現在開発中というDS-TC62Bを会場でお披露目。デモンストレーションを行った。
DS-TC62Bは、その名のとおり6インチ(16.5cm)の2ウェイ・バスレフ型スピーカー。ウーファー、トゥイーターともに振動板に、樹脂製でありながらアルミを超える伝達速度を誇るというNCV-Rコーンを採用する。エンクロージュアはロシアン・バーチ製だ。
当日は、オーディオ評論家の山本浩司氏を迎えて、様々な音楽を披露。先日、95歳で亡くなったソニー・ロリンズは、その豪放なサックスをストレートに再現した。
同じブースではフォステクスが新型フルレンジユニットFE163A-VBをお披露目。既に発売しているFE83A-VB、FE103A-VBの16.5cm版で、磁気回路にはアルニコマグネットが用いられている。
また小型のホーントゥイーターT96Aがmk2となって復活する予定。ホーン部分がブラックとなるなど、細かな変更が与えられているようだ。
アナログ関連グッズが目白押し!
リーズナブルな価格のフォノカートリッジで人気を集める中電のブースでは、同社カートリッジの即売会が行われていた。
MG-36BPH+HC001(ヘッドシェル付き)は、同社最高峰のMMカートリッジ。針先の形状はラインコンタクト、カンチレバー―にはボロンが用いられている。
ブースにはアナログプレーヤーとヘッドホンが置かれ、様々なカートリッジの聴き比べができた。買う前に確かめられるのは嬉しい配慮だ。
アナログレコード愛好家の助けとなるアイテムを数多くリリースするナガオカも出展。会場で即売会を行っていた。
レコードクリーナーや内袋のほか、フォノカートリッジも訴求。同社ラインアップを揃えるほか、比較ができるスペック表も置かれていた。
トーンアームで知られるグランツは、フルラインアップを展示。なかでもプレミアムモデルであるMH-124SUS IIとKATANA ver.2に注目が集まっていた。
レコード愛好家である薬師寺純平氏が立ち上げたブランドPurifairから、アナログプレーヤーの回転数が簡単にチェックできるPF-RPM-01が登場。
EPアダプターをセンタースピンドルにセットし、本機をセットするだけという簡単セットアップが嬉しい。ストロボ発行モードは50Hzと60Hzに切り替え可能だ。
ダイヤモンドカンチレバー搭載フォノカートリッジ比較試聴に興味津々
土曜日の12時30分からは、小原由夫氏を迎えて季刊アナログ編集部によるイベント「ダイヤモンドカンチレバーのカートリッジを聴く」が行われた。高額カートリッジによる競演とあって、用意した70席は開場と同時に埋まり、立ち見客が出るほどの盛況ぶり。
イベントでは7種類のカートリッジを比較試聴。各カートリッジともに、共通ソースをかけた後、小原氏がカートリッジに適したソースを掛ける形でイベントは進んだ。
試聴は基本的に価格順で行われた。トップバッターはイケダのAkiko。オーディオファイルなら誰もが知るドナルド・フェイゲンのI.G.Yでキレのよいサウンドを披露した。
続いてオルトフォンからMC Verismo。オルトフォンらしい落ち着きのある暖色系のトーンでありながら、マイケル・ジャクソンのリズムを切れ味よく聴かせた。
続いて同じくオルトフォンのMC Diamond。ここから100万円を超えてくる。MC Verismoよりもさらにオルトフォンのトーンが濃くなり、アンドリス・ネルソンス指揮、ウィーンフィルによるマーラーを荘厳にして華やかに聴かせた。
4機種目はフェーズメーション。クリスチャン・マクブライド・ビッグ・バンド『Without Further Ado, Vol.1』の4曲目、Mornin’は、ビッグバンドジャズ黄金時代の雰囲気を彷彿させるスウィング感で会場を魅了した。
そしてここで本イベントの最高価格であるアナログ・リラックスのEX2000が登場。ボディ材に「ストラディバリウス」でも使われているという北イタリア南チロル地方最高級スプルースを用いていることから、チョン・キョンファのヴァイオリンを聴くことに。その艶やかな音色に、会場から思わずため息が聞こえた。
日本を代表するカートリッジの設計技術者である松平吉男氏のブランド「マイソニック」のSignature Diamondが登場。それまでのカンチレバーと異なり、ダイヤモンドの中をくり抜いた中空構造のカンチレバーが用いられている。
カンターテ・ドミノをかけると、音が出た瞬間に場の空気が清浄化されたかのよう。それは初回盤の力なのか、それともマイソニックに依るものなのか……。
最後はマイソニックのOEMであるテクダス/TDC01 Dia。Signature Diamondとはボディ構造が異なる。マブチ・ユウコのリアリティに圧倒。言い古された言葉であるが、こんな音が未だあったとは……という表現がピッタリで、その場にいた誰もが言葉を失った。
アナログの底力を思い知らされた豪華な競演イベント。終始、席を立つ人がいなかったことが印象に残った。
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