冬はスキー、夏はトレッキングが盛んなニセコ

初のニセコ開催!CAVIN大阪屋主催のオーディオショウをレポート

公開日 2025/08/25 06:45 編集部:筑井真奈
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北海道のニセコで、8月2日(土)と3日(日)の2日間、「ニセコオーディオフェア」が初めて開催された。札幌から電車を乗り継ぎ3時間、ニセコでのCAVIN大阪屋の新挑戦をレポートしよう。

ニセコで初開催されたオーディオフェア

なにより気になるのが「なぜニセコなの?」という点である。森田洋之社長にもインタビューで語っていただいたが、CAVIN大阪屋は「北海道全域、どこまでも納品にいきます!」という強い意志をもっており、ここ数年、「ニセコからの依頼が増えている」という実感があるそうだ。

ニセコといえば、多くのひとにとっては「スキーリゾート」の印象が強いだろう。札幌から西へ約110km、羊蹄山とアンヌプリという2つの山の麓に位置する。スキーヤー、スノーボーダーからは「世界一のパウダースノー」と称賛されており、国内/国外を問わず冬は観光客で溢れる。夏場は冬に比べると多少穏やかではあるが、トレッキングや川下りなど、大自然と触れ合えるサマーアクティビティもさかん。

なお北海道の取材ということで避暑を期待して行ったのだが、近年の猛暑はニセコにも襲来しており、滞在期間中は連日30度超えと「腹立たしいほどに涼しくない」。とはいえ夜は心地よく、また湿度が低いので過ごしやすい気候ではあった。ニセコ住民に聞いても、「こんなに暑いなんて……」と少々お困りの様子が伺えた。

ニセコは雪に惚れ込んだ海外からの移住者も多い。駅の看板やカフェメニューなども英語メインで記載されており、筆者が訪れたカフェのスタッフいわく「住民の15%程度が外国人」とのこと。「ニセコへの中国からの投資が熱い」という報道を見かけることもあるが、街中を見ている限りどちらかと言えば欧米系の方が多い印象を受けた。

さて前置きが長くなったが、ニセコオーディオフェアである。イベントを担当する高木さんによると、「北海道の各地のお客さまの元へ納品に伺いますが、近年ニセコへの納品事例が増えています」とのこと。イベントとしては初だが、ニセコには過去何度も足を運んでいるそうだ。

イベントの企画を担当した高木さん

これまで旭川や釧路、苫小牧、小樽と各地でイベントを開催してきたが、開催にあたっては、都市としての人口規模もさることながら、「どれだけ熱心なお客さまがいらっしゃるか」が非常に重要だという。

ニセコという場所を選定したのも高木さん。「ニセコは正直初めての試みなので、どうなるか全くわかりません。ただ、新しい試みには大きな意義があると考えていますし、この挑戦に賛同いただいた7社のメーカー/商社さんに参加いただきました」

イベントの会場となったニセコ町民ホール

出展したのはディーアンドエムホールディングス(デノン、マランツ、B&W)、オーディオテクニカ、TAD、テクニクス、デンソーテン(エクリプス)、オルトフォンジャパン、ティアック(ティアック、エソテリック)の7社。それぞれ主力製品を中心にデモンストレーションを行っていた。

ディーアンドエムホールディングスはB&W「702 S3 Signature」をメインに、デノンのアナログプレーヤー「DP-3000NE」やマランツの「CD50n」などをデモ。また小型システムの「MODEL 1」とDALIのブックシェルフという組み合わせは若い女性も大きな関心を示しており、オーディオファンの裾野の広がりも感じさせる。

デノン・マランツ・B&Wのブースの様子。メインスピーカーは「702 S3 Signature」

マランツ&DALIのコンパクトシステムも注目

テクニクスは歴代の “SL-1200シリーズ” 等を一挙に展示、Hi-FiとDJ向け、双方で強力なファン抱えるアナログプレーヤーをアピールした。また昔の広告写真やテクニクスがスポンサーとなった箱根のライブイベントの写真なども見せながら、ブランドの歴史を振り返りつつ、「SL-1300G」などの最新のアナログプレーヤーによるサウンドも披露。

最新のアナログサウンドを披露するテクニクスブース

歴代のテクニクスSL-1200シリーズが並ぶのはニセコ初!

TADは「TAD-GE1」と「TAD-ME1TX」の2種類の最新スピーカーをデモ。ユニットからキャビネットまで全て「メイド・イン・ジャパン」で揃う日本ブランドの誇りを聴かせる。

エレクトロニクスは “Evolutionシリーズ” を組み合わせ。TADのエレクトロニクスの金属シャーシは、砂を固めて型を作り、アルミを流し込む方式で作られているそうで、「砂型は毎回使っては壊し、使っては壊しと、1点1点手作業で作っているのです」とこだわりの製造方法についても解説してくれた。

ブックシェルフ&フロア型スピーカーの2種類の聴き比べができるTADブース

ティアックは、ティアック500番台×クリプシュ「Cornwall」という組み合わせと、エソテリック×タンノイ「Stirling III LZ Special Edition」という2つのデモブースを作成。

テープレコーダーの時代からオーディオ製品を作り続けてきた名門ブランドの背景、そしてハイエンドブランドとして世界にファンを広げるエソテリックとそれぞれの強みをアピール。エソテリックのプリメインアンプ「F-01」「F-02」用の強化電源にも手応えありの模様。

クリプシュ「Cornwall」&ティアック500番シリーズの再生システム

タンノイ「Stirling III LZ Special Edition」&エソテリックの再生システム

オーディオテクニカは、アナログプレーヤーからヘッドホンまで、同社の総合力を聴かせる。アクリル製のアナログプレーヤーや “サウンドバーガー” のヒットも記憶に新しいところだが、北海道エリアではお手頃価格の「AT-LP8X」などが人気とのこと。

オーディオテクニカはヘッドホンやアナログプレーヤーなどを紹介

デンソーテンは同社を象徴する卵形スピーカーについて、大中小の3モデルを用意し聴き比べできる環境を用意。担当スタッフは「一見どれも似たユニットに見えるかもしれませんが、実はサイズやエッジの部分など、スピーカーサイズに合わせて最適なものを新たに開発しています」と力を込める。

中型サイズの「TD508MK4」が昨年発売になった最新モデルとなるが、高解像度かつ浸透力高く、切れ味のよいサウンドで会場を満たしていた。

イクリプスの卵型スピーカー、小さい方から「TD307MK」「TD508MK4」「TD510MK2」を聴き比べ

オルトフォンジャパンは、「今年ミュンヘンで発表された最新カートリッジ “MCXシリーズ” が絶好調です」と笑顔。一番安い「MC10 X」で5万円程度、そこから20、30、40と4モデルが用意されているが、とくに上位グレードモデルの引きが強いそう。「社運をかけたプロジェクト」と話していただけに、しっかり市場から受け入れられたことに自信を見せる。デモでは、100万円超ハイエンドグレードの「MC Diamond」の透明感あるサウンドにもため息が漏れる。

大好評の最新MCカートリッジ、オルトフォン “MCXシリーズ”

正直に言えば、集客という点では少々課題も感じられた。同じ日程で花火大会があったり、隣町・倶知安で「ジャガイモ祭り」が開催されたりと、スケジュール的な問題もあったかもしれない。FacebookやInstagramのようなSNSや、街の掲示板の活用などイベントをさらに周知するための取り組みは考える必要があるだろう。

だが、その分お客さんの声に合わせてさまざまな聴き比べを実施したり、込み入った質問を丁寧にサポートできたりと、小回りの効いたオーディオショウとなっていた。2日間続けて来場し、全機種の音をじっくり体験する熱意あるお客さんもいて、ニセコのオーディオ熱の高さも感じさせてくれた。

お客さんの関心の手応えを得ながら、次回に向けた課題も見えてくる。初ニセコイベントであった。

 

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