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幅広い真空管に対応

<HIGH END>OCTAVE、高能率SPやヘッドホンにフォーカスしたA級真空管アンプ

山之内 正
2017年05月20日
HIGH END 2017において、ドイツを代表する真空管アンプメーカーのOCTAVE(オクターブ)は、シングルエンド・クラスA動作の「V16 SINGLE ENDED」を発表した。

OCTAVE「V16 SINGLE ENDED」

ブースの様子

横幅を22cmのハーフサイズに抑えながら高さと奥行きはそれぞれ33cmあり、オーディオ機器としては珍しいディメンションの筐体が目を引く。

操作パネルには入力セレクターとボリュームのほか、ヘッドホン出力を搭載。その装備から想像できる通り、本機は高能率スピーカーとヘッドホンにターゲットを絞って理想的なシングルエンド・クラスA動作を実現したプリメインアンプなのだ。背面パネルにはスピーカー出力が付いており、チャンネル当たり8W(4Ω)の出力を実現している。

ヘッドホン出力端子を前面左側に装備

背面部。スピーカー出力はチャンネル当たり8W(4Ω)
 
出力管はKT120が標準だが、KT150、KT88、6550、EL34と幅広い真空管に対応。クラスA動作の短所である周波数特性の改善を図るため、低域側は出力トランスを新規に開発して十分な出力特性を確保、高域側はドライバー段の工夫と帰還量の最適化によって特性を補償し、最終的に10Hzから100kHzまで帯域を拡張することに成功したという。

ヘッドホンアンプとして十分な性能を確保するためには残留ノイズを抑えることが必須だが、それについても電源トランスと出力トランスを物理的に離すなどの対策によって極限までハムを抑えることに成功。残留ノイズは50Hzで15〜20μVと、ほぼ無視できる数値を実現している。

A級アンプ特有の発熱については、接続するスピーカーまたはヘッドホンの負荷に応じてA級動作モードを100%から30%まで設定することで温度上昇を抑える工夫を凝らした。無信号時に自動的に30%に抑え、信号を検知すると自動的に100%に戻すエコモードも選べる。

発熱上昇を抑える工夫も凝らした

ブースではヘッドホンとスピーカーどちらでも試聴できる環境を用意し、V16 SEの特徴をアピールした。ヘッドホンでジャズやヴォーカル、オーケストラの各音源を聴いてみたが、S/Nの良さはトランジスターアンプと遜色ないレベルで、事実上残留ノイズはまったく気にならない。低域は開放的だが押し出し感があり、レンジの広さも確保している。最大の魅力は旋律楽器の澄んだなめらかな音色にあり、シングルエンド回路ならではの良質な音色に感嘆させられた。

スピーカー再生でも家庭のリスニング環境なら音圧感に不満はなく、純度の高さと密度の高さは格別なものがある。出力管1本で構成するシングルエンドのメリットに加え、歪の少なさや音色の美しさには出力トランスの性能が大きく寄与していると想像できる。

最先端技術を駆使して真空管アンプの長所を引き出す設計思想はオクターブならではのもので、今回もその手法が大きな成果を引き出している。

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