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鈴木裕 的 iFI-Audio「Pro iCAN」活用術。工夫次第で何通りもの音を手に入れられる!

公開日 2016/08/01 12:51 鈴木 裕
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真空管を採用したフルバランス回路による「3つの音」を持ったバッファーアンプ部
 
入力から出力までは、ホット/コールド/グラウンドというフルバランス回路を採用している点も注目だ。音量は左右それぞれのホット/コールドの計4chでコントロールすることになるが、そこには定評ある日本アルプス社製の6トラックによるボリュームを搭載。リモコンによる操作も可能だ。

そしてPro iCAN最大の特徴とのなるのが、バッファーアンプ部である。「Solid-State」と「Tube」の2系統、そして「Tube+」と名づけられたによる合計3つの音を楽しめる。しかも、この3つのモードは電源スイッチを入れたまま切り換えることが可能だ。

L/Rのホット/コールドをコントロールするボリュームには、定評あるアルプス社製を採用

Pro iCANは真空管を採用したフルバランス回路で構成されていることも大きな特徴。それぞれのパーツも時間をかけて吟味された

まず、「Solid-State」のモードを説明してみよう。MOS-FETバッファを備えたバイポーラーのA級パワーステージを採用(ただし、低インピーダンスのヘッドフォンを大音量で使用する際はAB級動作となる)したこのモード時の基本的な音は、高域の倍音成分は入力されたままで、シュアで剛性感の高い音を基調とする。そのため、例えば真空管を使った倍音領域の存在感の高いパワーアンプとの組み合せ等で生きてくる。

「Tube」のモードではGE製の「5670」を2本使用する。この「5670」という真空管は、もともとはウェスタン・エレクトリック社の「WE396A」をルーツに持つそうだ。ちなみに真空管モードにスイッチを切り換えるとトランジスターの回路はオフになる。この時の音の傾向としては高域の倍音が増え、全体的に音の感触が若干ソフトになり、微少領域の再現性も向上。これは実に真空管アンプらしい音といっていいだろう。

Pro iCANの大きな特徴となる「Solid-State」「Tube」「Tube+」のからなる3つの動作モード。フロントパネルのスイッチで簡単に切り換えることが可能だ

そして3つめの「Tube+」のモードでは、回路全体のループゲインを減少させ、ネガティブフィードバックを最少にしているという。これによって「真空管が持つ自然倍音とトランジェント性能の間でのトレードオフの傾向」を「真空管」のモードの時と変えている。実際に聴いてみると、より高域の倍音が増えて、真空管らしさをより強めにした音と言っていい。

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