価格は「802 D3」が340万円/ペアから

B&W「800 D3シリーズ」価格やスペックなど正式発表 - コンティニュアム・コーン採用など“ほぼ全て”刷新

公開日 2015/10/09 12:00 編集部:小澤貴信
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
コンピューター解析を活用して各部の共振や変形を徹底排除

トゥイーターハウジング、マーランヘッド、エンクロージャー、エンクロージャーを補強するマトリクス(エンクロージャー内部の格子状パネルによる補強構造)、台座、ミッドレンジを保持するシャーシ…。これら部位がコンピューターシュミレーションによって解析され、機械的な共振の抑制が徹底されたことも800 D3シリーズの特徴だ。従来モデルも各コンポーネントが十分な強度を誇っていたが、コンピューターによる解析によって音楽再生時の変形・共振を洗い出し、これらを飛躍的に排除したとのこと。

新旧のヘッド部。新たにアルミニウム素材が採用され、共振対策も徹底された。左から「802 Diamons」「802 D3」「803 D3」

ヘッド部はその内部補強の形状から「タービンヘッド」と呼ばれ、ハウジングの素材をインパクト成型の樹脂からアルミニウムへと変更。トゥイーターのハウジングは、無垢のアルミブロックを切削してつくり出された。ミッドレンジを保持するシャーシは剛性を高める最適な形状を採用するとともに、逆共振する素材を付加することでキャンセルするT.M.D.(Tuned-Mass Damper)技術を用いることで、共振を排除した。

新旧のヘッド部、トゥイーター・ハウジング部について、再生時の変異の度合いを示したコンピューター・シュミレーション

特にトゥイーター・ハウジングとミッドレンジ・シャーシについては、新旧パーツをハンマーで叩くパフォーマンスを澤田氏が行った。すると従来パーツは「キーン」と明らかに“鳴く”音がしたのに対して、新パーツは「コツ」と乾いた音がして“鳴き”がなかった。

筐体のマトリクスについては、解析の結果「木材を厚くして、数を減らせば、さらに優れた剛性を実現できる」という結論に到達。MDFだけで十分な強度が得られる805 D3を除いて、新しいマトリクスではMDFではなく厚い高品質合板が使用された。また要所には金属パーツを用い、ヘッド部などを強固に保持。またウーファーの取り付け部はマトリクスに直接組み込まれ、ドライブユニットが剛性の高い部分に最適に結合されるよう配慮された。

新旧モデルのエンクロージャー構造の比較。いずれの写真も左側が旧モデル、右側が800 D3シリーズのもの

澤田氏は前述のT.M.D.について強調した。これは共振点を割り出して、逆に作用するものを貼り付けることで共振を抑える、共振制御の最も新しい方法だという。共振を抑えるためにむやみに制動材を使うと鼻をつまんだような音になってしまうのだが、T.M.D.は共振している1点だけをコンピューター解析で割り出して対処するため、こうした弊害がないと澤田氏は説明していた。また「共振点を割り出して逆作用する点を割り出すプログラム」というものが、実はビルの耐震構造を計算するソフトを応用したものであることも明かしてくれた。

また、従来は台座にネットワーク回路が収められていたが、800 D3シリーズではスピーカー背部の分厚いアルミ板に取り付けられる仕様となった。

次ページ「これだけの基礎研究を重ねられるスピーカーメーカーはB&Wだけ」

前へ 1 2 3 4 5 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE