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公開日 2026/02/18 12:00
Presented by Qobuz

『続・太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!』#4 - ユッコ・ミラー『Bloomin’』リリース記念インタビュー!

西野正和

『続・太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!』第4回


ユッコ・ミラー インタビュー
〜メジャーデビュー10周年を飾るアルバムは、ハイレゾで一発録りの空気感を感じてほしい!



ユッコ・ミラー 『Bloomin’』96kHz/24bit


 


2019年ごろ、ハイレゾ・レビューの候補アルバムを探しているとき、吹きっぷりの良い女性サックス奏者のアルバム『Kind of Pink』に出会いました。ピンク色の髪だけでなく、その豪快なプレイに驚いたのを覚えています。その後の彼女はミュージシャンとしてはもちろん、チャンネル登録者数は約22万人超えのYouTuberとしても大活躍中です。


メジャーデビュー10周年アルバムが完成したとのこと、その魅力をハイレゾ視点から深堀りすべく、ユッコ・ミラーさんにインタビューさせていただきました。





 


■ユッコ・ミラーのサックス・サウンドの魅力は、どこから?


───ユッコさんの吹くサックスは、ワイルドで豪快なサウンドが魅力だと感じています。ユッコさんのYouTubeでは、J-FUSIONの名曲『IT'S MAGIC/T-SQUARE』をエモーショナルにプレイされていますし、1300万回再生超えの『名探偵コナン メインテーマ』も切れ味鋭く表現力豊かで、どれも素敵でした。


他の方の “コナンのテーマを吹いてみた動画” でよく耳にするのは、抑揚がなく単調に吹いたBGMのようなサックス演奏です。一方でユッコさんのコナンは、サックスのプレイにカッコ良さを感じます。このカッコ良さを多くの視聴者さんが感じているからこそ、あの再生回数だと思います。コナンのテーマをサックスでカッコ良く吹くコツみたいなものはあるのでしょうか?


ユッコ:実は私もわからなくて(笑)。私は逆にBGMっぽく吹けないんですよ。コナンもそうですけど、J-POPなどをサックスで吹くと、一般的にBGMっぽく単調な演奏になりやすいと思います。


もちろん、BGMっぽいサックスのほうが好みで、それこそがサックス演奏だという方もいるんじゃないですかね。私みたいに、ちょっと個性が強いサックスは、「そうじゃないんだよな」って言われてしまうかも(笑)


誰かのサックスを真似しよう、目指そうとすると、もしかしたら逆にBGMっぽい吹き方になってしまうのかもしれません。私は、誰かのサックスを真似しようとはしていないんです。もちろんサックス奏者で好きな人はいっぱいますけど、その人と同じ音を出したい、誰かに近づきたいたいみたいなのは一切なくて。


正直、これを言ったら本当に偉そうだと思われそうですけど、私は自分の音が一番好きなんです。だから私は自分になりたい。自分をどんどん磨いていきたいっていうのがあるんです。多分それが、私が吹くとBGMっぽいサックスにならないところじゃないかなって思います。


 


■演奏の空気感を残したくて、全員がせーので演奏する一発録音!


───今回の『Bloomin’』では、プロデュース的なことはユッコさん自身がやられているのでしょうか? アルバム制作について詳しく教えてください。


ユッコ:アルバムのプロデューサーは中村ヒロキさんなのですが、曲作りは自由にやらせてもらえましたし、アルバムの曲調や構成など全部自分でやっていますので、セルフ・プロデュースに近いスタイルです。


今回のアルバムは、全曲が私の作曲したオリジナル曲です。アレンジも、1曲目と 3曲目だけ中村ヒロキさんですが、基本的に私が全部やっています。作曲してアレンジした曲のデモを私が打ち込みで作っておき、事前に曲の設計図を用意してからレコーディングに挑みました。


レコーディングのミュージシャンは、最近ずっと私のライブでのレギュラーメンバーたちです。


全曲、全員がせーので演奏する一発録りです。その時の空気感を残したいので、先にオケを作っておいてサックスを後から録音するのではなく、一発録りでレコーディングしています。ただし、和太鼓だけは録音環境の問題で、せーのではなく後から録りました。


音程やリズムを録音データ上で修正するといったことはやっていません。例えば、1曲目はサックスとトランペットのユニゾンなのですが、2つの楽器がピッタリと合っているよりもライブ感を重視しているので、せーので演奏したそのままを録音しています。


 


■エンジニアはキングレコードの吉越晋治氏を起用


ユッコ:エンジニアは吉越晋治さんです。このアルバムは3日で録りました。初期の頃からずっと吉越さんなので、私のこともわかってくれていますし、何も言わなくてもイイ感じの音で録ってくれます。


ミックスでは、例えばソロの頭に鈴の音を入れてくださいといった、そういう細かいお願いはしましたけれど、音作りなどは全て吉越さんにお任せしています。サックスの音色を調整してほしいといった要望は特に何もなく、気に入ったサウンドのミックスに仕上げてくれました。


マスタリングも吉越さんで、毎回自分で立ち会うようにしています。例えば曲間を何秒にするかとか、そういう細かいリクエストが中心です。特に音質的に何かしてほしいといったリクエストはしていません。吉越さんを信頼していますし、「これどうですか?」と聴かせてくれたサウンドが素敵なので、一発OKという感じです。


 


■愛器は、高校2年生の時に初めて買ってもらったサックス!


───『Bloomin’』は、以前のアルバムよりパワフルなサックスの音色に感じたのですが?


ユッコ:今回のアルバムは全曲をメタルのマウスピースで吹いているので、それが影響しているのかもしれないですね。アルバムによって色々と違うのですけど、メタルマウスピースではなくラバーのマウスピースで吹いているアルバムもあったので、その時の柔らかな音色に比べると今回はパワフルに感じるのかもしれないです。


レコーディングでサックスの音色に関しては、私はそんなに気にしないでお任せするタイプです。例えばライブだと、サックスの高音域が凄く出ていてキンキン聞こえる場合だと、高音域をちょっと下げてくださいとか、そういうリクエストはありますけど。


アルトサックスは全部同じセッティングで演奏しています。今使っているアルトは、ヤマハのYAS-62のパープルロゴの旧型モデルなんですけど、実は私が高校2年生の時に初めて親に買ってもらったサックスなんです。そのサックスを3年前くらいに久しぶりに吹いてみたら、「あ、めっちゃいいじゃん、これ」と思って。それで使い出したんです。


このYAS-62は、もう思い入れがめちゃくちゃあるサックスで、高校3年生まで使っていました。その後は、別のサックスや、セルマーのマーク6を使ったり、ヴィンテージのものを使ったり、いろんなメーカーのものを使ってきたんですけど、このYAS-62で原点に戻ったという感じです。


最初に使っていたこのサックスを吹いた時に、高校生の時の自分の思いが蘇ってきて、「あー、あの時の私って、こういう風に思っていたよな」とか、「プロになりたいから、必死で練習して頑張ってたな」とか。


そういう強い思い入れから、もうこの楽器をメインに使っていこうって2年前くらいに決めて、それからずっとこれを使っています。私にとっては、どんなヴィンテージの何百万円もするサックスより、このサックスの方がいいんですよ。


ソプラノ・サックスは、高一の時にソプラノしかパートが余ってなくて、ソプラノを1年間吹いていたんですよ。なのでソプラノという楽器自体にも思い入れがあります。


このアルバムのレコーディングで使ったソプラノサックスは、去年(2025年)の10月に購入しました。それまでもソプラノは持ってはいたんですけど、あんまり気に入ってなくて。これは知り合いの持っていたソプラノだったんですけど、吹かせてもらったらすごく良かったので、お願いして譲ってもらい購入しました。今回のアルバムでは、このソプラノも大活躍しています。


 


■2曲だけ異なるドラム・セットなど、細かな音の違いまでをハイレゾで!


─── ハイレゾで『Bloomin’』を聴く人に向けて、メッセージをぜひ。


ユッコ:和太鼓セッションの2曲だけ、違うドラム・セットを使用して叩いてもらっています。3曲目「3-3-7」と8曲目の「AKUJYO」です。ハイレゾで聴かれる皆さんなら、そういったドラム・セットの違いといった微妙な音色まで楽しんでいただけるのではないでしょうか?


このアルバムは、自分がやりたいのを詰め込みました。そんな楽曲たちを、細かな音までハイレゾで聴いていただけると嬉しいです。


 


筆者プロフィール


西野正和(にしの まさかず)
オーディオ・メーカー株式会社レクスト代表。YouTubeの “レクスト/REQST” チャンネルでは、オーディオセミナーやライブ比較試聴イベントを配信中。3冊のオーディオ関連書籍『ミュージシャンも納得!リスニングオーディオ攻略本』、『音の名匠が愛する とっておきの名盤たち』、『すぐできる!新・最高音質セッティング術』(リットーミュージック刊)の著者。世界トップ・ベーシストたちのケーブルを手掛けるなど、オーディオだけでなく音楽制作現場にも深く関わり、制作側と再生側の両面より最高の音楽再現を追及する。





 

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