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公開日 2025/03/31 06:35
AKGの36スピーカーを搭載!

これぞアメリカン・ドリーム!キャデラック・エスカレード、AKGと目指す究極のラグジュアリー・オーディオ

栗原祥光

アメリカの富と豊かさの象徴


快適さとラグジュアリーを突き詰めたショーファードリブン。各社様々な装備や仕立てで、極上の世界観を作り出している。その中でキャデラック・エスカレードは音にこだわったようだ。AKG Studio Referenceサラウンドサウンドシステムをご紹介する。



ゼネラルモーターズ/キャデラック・エスカレード(1640万円から)


キャデラック・エスカレードは、米国ゼネラルモーターズの高級ブランド「キャデラック」の最上位モデルだ。全長5400mm、全幅2065mm、全高1930mm、車重約2.75トン(!)という立派な躯体は、アメリカの豊かさと夢の大きさそのもの。



全幅2065mm、全高1930mm




全長5400mm、長い!


「島国の駐車場に、そんなクルマは入らない」と思われるが、きちんと入ったのでご安心頂きたい。だが場所によってはドアが隣のクルマに当たり開かない可能性がある。



コインパーキングに停めたところ。枠線を踏む感じでギリギリ停車可能だ


エンジンは6,156cc V型8気筒OHV。アメリカ産の高級車はV8 OHVを搭載するのがお約束だ。ちなみにキャデラックが初めてV8エンジンを搭載したのは、ディズニー初の長編アニメ「白雪姫」よりも古い112年前の1914年にまで遡る。



アメリカの魂、6,156cc V型8気筒OHVエンジン


アメ車といえば燃費が気になるところ。実際に走らせてみると下道で6〜7?/リットル、高速で10?/リットル程度と思ったよりは良好で、欧州の高級セダンとあまり変わらなかったりする。ガソリンは無鉛プレミアム推奨だが、レギュラーガソリンも使えるという。ガソリンタンク容量は90リットル。ちなみに毎年5月に徴収される自動車税は11万円……。


価格は1640万円から1800万円。7人乗りと8人乗りが用意されている。絶対的価格は高いが、欧州のショーファードリブンは2000万円以上が当たり前なので、少しだけお買い得といえるかもしれない。


数こそ力、36基のスピーカーを各所に配置


さて、そのようなキャデラック・エスカレードが搭載するカーオーディオシステムは、マイクやヘッドホンで知られるオーストリアのAKG。ご存じのとおりAKGは現在、サムスン電子傘下のハーマン・インターナショナルに属している。そのハーマン・インターナショナルは現在、カーオーディオの一大勢力で、ノウハウは十分。AKGのサウンドエンジニアがどのようにキャデラック・エスカレードに彩りを添えるかだ。



AKGスタジオリファレンスサラウンドシステムを標準搭載する


車内を見て驚いた。あちらこちらにスピーカーが配置されているのだ。ドアやピラーは言うに及ばず、ラゲッジスペースに天井に、さらにはヘッドレストにまでスピーカーが取り付けられ、その数なんと36基! 数こそ力、実にアメリカ的だ。



運転席の様子


このスピーカーをもってAKG Studio Referenceサラウンドサウンドシステムを構築したのだ。AKGは大きなキャデラックをひとつのヘッドホン空間と見立てたのかもしれない。



ピラーに取り付けられたトゥイーター




ドアに取り付けられたスピーカー




ダッシュボードのセンタースピーカー




天井面に取り付けられたサラウンドスピーカー


まずは機能面をチェックしてみる。項目は3バンドのイコライジングとフェーダー/バランス機能、そして3Dサラウンド機能の調整のみ。


 



フェーダーコントロール


3Dサラウンドは前席側または後席側の排他利用で、変化量を12段階に調整可能。このグラフィックはわかりやすいと感じた。


エンターテインメントとしては、2列目シートにそれぞれ12.6インチタッチパネルディスプレイが用意されており、HDMIおよびUSB接続を介して映像や音楽が楽しめる。



2列目シートには大型ディスプレイを搭載





2列目シート下にはUSB端子等を搭載


さらにシボレーのロゴ入りブルートゥースヘッドホンまで用意され、2列目シートの専用ディスプレイの映像を愉しむことができた。クルマを買うと専用ヘッドホンがついてくるとは、誰も思わないだろう。



シボレーのロゴ入りブルートゥースヘッドホン


フラットバランスで知性を感じさせるサウンド


運転席に座り試聴を始めた。3Dサラウンド効果をオフにし、USBメモリを差し込んだものの、上手く認識することができず。試しにスマートフォンと車両をUSB接続すると、カープレイが起動したので壊れてはいない様子だ。何かしらの相性が悪かったのだろうと諦め、手持ちのハイレゾウォークマンとBluetooth接続をして試聴することにした。おそらく多くのユーザーは、そのようにして使われることだろう。



試聴はNW-A300シリーズとブルートゥース接続で行った


クリーンで爽やか。やや低域レベルを薄めたフラットバランスで知性を感じさせるサウンドと聴いた。高域がとても綺麗で、かつ情報量が多い。どこかAKGのオープンイヤー型ヘッドホンを想起させるのが面白い。


2021年、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」にて代表曲「サウダージ」のアコースティックアレンジを披露したポルノグラフィティ。この時ヴォーカル岡野昭仁の歌声をAKGのC12 VRが捉えていた。くっきりとした芯に適度な厚みのある、真っ直ぐな声に一瞬にして耳が奪われた。音楽鑑賞において不要な耳障りな音を出さず、それでいて聴き込めば細かな音を出すオーディオ的な楽しみもある。実に高度な音だ。


オーストリア国籍の指揮者であるカルロス・クライバーの名盤であるヴェルディの歌劇「椿姫」は、ダイナミックな演奏をスポイルすることなく、音の機微を丁寧に描くのが印象的。なによりコルトバスの名唱に圧巻されっぱなしだ。サラウンド効果は最大レベルではやりすぎだが、半分位の量にすると、運転席がアリーナ席へと変化。自然な残響感が心地よい。



ヴェルディの「椿姫」を試聴


そのまま2列目シートへ移動。サラウンドも2列目モードに変更して再度試聴。こちらもサラウンド効果はやや弱めに設定してみると、没入(イマーシヴ)という言葉がピッタリの音世界。



2列目のドアウーファー




2列目のトゥイーター







解放感抜群のウルトラビューパノラミック電動サンルーフのシェードを開けてセミアニリンフルレザーのシートを少し倒しAKGサウンドに耳を傾ける。なんと幸せな時間なのだろう。ラグジュアリーの極点を体験した気がした。



ウルトラビューパノラミック電動サンルーフ


ゼネラルモーターズでは今後、キャデラックの各車種にAKGのオーディオシステムを展開していく。事実マイナーチェンジしたばかりのコンパクトSUV「XT4」(790万円)には、「AKG14スピーカーオーディオシステム」を搭載している。キャデラックとAKGの共演に注目していきたい。



キャデラックのエンブレム

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