ほしい機能をすべて備えたコスパ最強のイヤーカフ型TWS、SOUNDPEATS「Clip1」
オープンイヤータイプの完全ワイヤレスが活況だ。なかでもイヤーカフ型は大豊作!SOUNDPEATS「Clip1」は、数あるモデルの中でも優れた機能性だけではなく、迫力の低音再生を実現するなどし、VGP2025夏でコスパ大賞に輝いた優秀機だ。買って間違いのないClip1の魅力をVGP審査員の折原一也氏が解説する。(編集部)
耳を優しくホールドするイヤーカフ型の新定番
オーディオ・ビジュアル機器の魅力を熟知したプロが選ぶ国内最大級のアワード「VGP」。2025 SUMMERで「コスパ大賞」に輝いたモデルが、イヤーカフ型の完全ワイヤレスイヤホン、SOUNDPEATSの「Clip1」だ。その理由をストレートに語るなら、9,980円という価格を踏まえれば、「イヤーカフ型完全ワイヤレスイヤホンの新スタンダード間違いなし」と断言したくなる高音質を備えている点にある。詳しく解説していこう。
耳を塞がずに音楽と周囲の音の両方が聞こえるオープンイヤー型。耳掛け型など様々な装着スタイルが選べるが、中でも耳に挟んで装着するイヤーカフ型は、メガネやマスクと干渉しないデザインということもあり、長時間の利用の際に最も疲れにくい形状だろう。そのため2025年現在、様々なブランドから新製品が発売しているトレンド最前線のスタイルといえる。
装着するには、言葉通りに耳の外側をクリップすることになるので、挟む力が強いと痛みが出てしまう。Clip1はその快適性を独自の技術で追求。耳の内外を繋ぐブリッジ部分内部に0.6mmの超極細ニッケルチタン合金を用いた「N-Flex Arch」構造を採用するのだ。耳の軟骨を優しく適度にホールドすることで、イヤーカフ型にありがちな挟まれる感覚は少なく、それでいて安定感もある絶妙なバランスを実現。片耳わずか5gという軽量さもあり、装着時の快適さがまず高く評価すべきポイントとなった。
AACでも驚きの低音再生今後の指標になる傑作
そしてSOUNDPEATS「Clip1」がコスパ大賞を受賞した最大の理由は、冒頭に書いた通り「音質のよさ」にある。具体的にいうと、イヤーカフ型の音響的な弱点を、独自の技術で見事に克服した所にある。
オープンイヤー型は耳を密閉しない構造上、低音域の再現が課題とされてきた。SOUNDPEATS「Clip1」は、これを「チタンPVDコーティングを施した12mmデュアルマグネットドライバー」と、さらにアプリから有効にできる独自の音響アルゴリズム「DynamicEQ Pro」によって覆したのだ。
実際にSOUNDPEATS「Clip1」のサウンドを聴き込んでみた。まずはデフォルト状態で宇多田ヒカル『BADモード』を聴くと、まるで耳の外の空間まで広がるような丁寧かつ細部まで伝わるサウンドが好印象。特にアプリから「適応型イコライザー」を有効にすると、歌声のニュアンスを描きわける解像度の高さを感じさせる。ROSE & Bruno Mars『APT.』を聴いても2人のボーカルの歌声が耳元でリアルに浮かび、音質を重視した設計のイヤーカフ型というキャラクターがよくわかる。
そしてSOUNDPEATS「Clip1」の真骨頂は、アプリから有効にできる「DynamicEQ Pro」を有効にした状態の重低音だ。同じく宇多田ヒカル『BADモード』を聴くと、空間を満たす豊かなベースの重低音が耳の周りに広がるし、ROSE & Bruno Marsの『APT.』ではファンキーなドラムのアタックも深く沈む。これらの楽曲の表現力を体験して、イヤーカフ型の限界を突破したサウンドだと、VGPでも推奨したのだ。
今回の音質チェックはiPhoneと組み合わせたAACコーデックで実施しているが、LDACおよびHi-Res Audio Wireless認証にも対応。対応Androidスマホ等を所有するユーザーにとっては、さらに繊細なディテール表現を楽しめるというメリットも得られる。
SOUNDPEATS「Clip1」が「VGP2025 SUMMER」でコスパ大賞に輝いたのは、単に安価だからではない。装着性、そして独自技術を盛り込んだ音質、それはつまり多くのユーザーが「いい音だ」と実感できるサウンドをつくり上げたことにある。SOUNDPEATS「Clip1」は、ながら聴きのカテゴリーで高音質とコスパを両立させた今後の指標となる存在だ。
[SPEC]
●通信方式:Bluetooth Ver.5.4 ●対応コーデック:SBC、AAC、LDAC ●ドライバー口径:12mm ●連続再生時間:約8時間(ケース込み最大40時間) ●質量:約5g(イヤホン片耳)、約55.5g(ケース含む) ●付属品:USB Type-C 充電ケーブル×1
(協力:SOUNDPEATS)
※本記事は、『プレミアムヘッドホンガイドマガジン Vol.23』所収記事を再編集/転載したものです


































