公開日 2020/01/17 06:40

ただでさえ高コスパなDAPがさらに進化! 使い方いろいろ、HiBy「R3Pro」レビュー

【特別企画】良好な操作性もポイント

イヤホンの持ち味をそのまま味わえるサウンド。駆動力も十分確保

それではまず、R3Pro単体の音質を実際に聴いていこう。バランス駆動での実力は、2.5mmバランスケーブル標準装備のハイエンドダイナミック型イヤホン、Astell&Kern「AK T9iE」との組み合わせで確認した。

バランス駆動は「AK T9iE」で確認。イヤホンが持つ適度な解像感と低域を、なるだけそのままの印象で出してくれる

なだらかにまとめられた帯域バランスに滑らかな音調で、イヤホン側の持ち味に沿った素直な音が再生される。例えばAK T9iEはシャープさに頼りすぎない、穏やかでいて豊かな解像感が美点のひとつ。R3Proとの組み合わせでは、その解像感が耳障りにならない、うるさくない程度にキープされる。

ローエンドも、特にバンドサウンドでのエレクトリックベースは、膨らまず、抑えも効いた力強い表現。クラブ系のさらに低い帯域のベースでも、膨らんだりぼやけたりということはない。

シングルエンドの実力は、RHA「CL750」で確認。メーカー自ら「ポータブルヘッドホンアンプの駆動力で鳴らすことが前提のハイインピーダンス設計」と公言するイヤホンだが、R3Proは余裕で音量を確保できる。CL750をここまで鳴らすことができるのであれば、一般的なイヤホン相手でも苦戦することはないだろう。

RHA「CL750」のような高インピーダンスのイヤホンでも、十分に音量を取ることができる

コンパクトさと操作性を活かせば、ポタアンとも無理なくマッチ

単体でもそれぞれのイヤホンの特長を十分に活かして鳴らしてくれる、といった印象のR3Proだが、もっとパワフルにイヤホンを鳴らしたいと思ったとき、ポータブルヘッドホンアンプ(ポタアン)と実に組み合わせやすいプレーヤーでもある。

まず何よりコンパクトなので、ポタアンと重ねて携帯性が損なわれるという、ポータブルオーディオとして本末転倒な事態を回避しやすい。システムの巨大化を抑えつつ、ヘッドホンアンプならではの強力なパワーを得ることが可能だ。

それだけではなく、プレーヤーとスマホをBluetooth接続し、スマホアプリからリモート操作ができる「HiBy Link」機能の存在も大きい。プレーヤー+ポタアンの多段システムでは、よくシリコンバンドなどで互いをひとまとめに固定するが、これではタッチパネルを隠してしまったり、そもそも片手で取り出して操作するのが難しくなる。「だったらスマホで操作すればいいじゃない!」と提案してくれるのがHiBy Linkなのだ。

スマホアプリ「HiBy Music」から、R3ProをBluetooth経由で遠隔操作できる「HiBy Link」。R3Pro本体とほとんど同じ感覚で操作できる

ポタアンとの接続にUSBケーブルを用いる場合、前述のように端子がUSB-Cなこともポイント。特に端子まわりがL字型のケーブルなら、表裏を気にせず自由に挿せるUSB-Cは取り回しの面で大きなアドバンテージになる。

今回は小型ポタアンの定番、CHORD「Mojo」との組み合わせを実際に試してみたのだが……R3 Proと縦横のサイズがほぼ一致してやたらとしっくりくる!そして、USB-CのおかげでMojoの表裏も自在。Mojoのゴム足をR3Proの方に向ければ排熱の隙間を確保でき、ひっくり返せばMojoの大きなボタンが内側に隠れ、誤操作の防止が狙える。

コンパクトなR3Proは、同じくコンパクトなCHORD「Mojo」のようなポタアンと重ねやすい。表裏を気にせず差し込めるUSB-Cのおかげで、ポタアンの重ね方を微調整できるのも、使い勝手の面では小さいながら重要なポイントだ

前述のRHA CL750も、パワー自慢のMojoと組み合わせれば一層余裕で鳴らしまくれる。高域のブライトさも中低域のバシッとしたキレも見事で、上質な輝きと荒々しい骨太さを併せ持つ、CL750らしい、RHAらしいサウンドを存分に叩き出してくれる。

Mojoの音質的メリットを受けつつ、選曲などをしたくなったらHiBy Linkでスマホからスマートに遠隔操作。もちろん、HiBy LinkはR3Pro単体で使うときにも便利で、本体はシャツや上着のポケットに入れっぱなしのまま、スマホから“ながら操作”ができる。



単体では現代的な性能と機能を備えたコンパクトプレーヤーとして活躍。特に、従来モデルからアップデートされた駆動時間と、バランス駆動時に発揮される力とのバランスはハイコストパフォーマンスだ。価格を含め、エントリーユーザー向けの製品としての完成度は極めて高い。一方、今回紹介したポタアンや、ネットワーク再生など他の機材と組み合わせていくスタイルへの適性も高く、マニアックな視点からも面白い製品でもあったりする。

とりあえずそのコスパとコンパクトさから入門機として、あるいはセカンド機として導入しておき、将来的に他のオーディオ機器と組み合わせてマニアックな楽しみ方を……と、長い目で見た活用も視野に入れておける。幅広いユーザー層にチェックしてみてほしいプレーヤーの登場だ。

(企画協力:飯田ピアノ)

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 BRAVIAが空飛ぶ時代? 動画コンテンツの楽しみ方に押し寄せた大きな変化を指摘するソニーショップ店長。超大画面はさらに身近に
2 ネットワークオーディオに、新たな扉を開く。オーディオ銘機賞の栄えある“金賞”、エソテリック「Grandioso N1」の実力に迫る
3 Nothing、最大40%オフのウィンターセール開催
4 LG、世界初のDolby Atmos FlexConnect対応サウンドバー「H7」。オーディオシステム「LG Sound Suite」をCESで発表へ
5 「ゴジラAR ゴジラ VS 東京ドーム」を体験。目の前に実物大で現れる“圧倒的ゴジラ”の臨場感
6 衝撃のハイコスパ、サンシャインの純マグネシウム製3重構造インシュレーター「T-SPENCER」を試す
7 AVIOT、“業界最小クラス”のANC完全ワイヤレス「TE-Q3R」。LDAC、立体音響にも対応
8 ソニー「WH-1000XM5」に“2.5.1”アップデート。Quick AccessがApple Music/YouTube Musicに対応
9 「HDR10+ ADVANCED」が正式発表。全体的な輝度向上、ローカルトーンマッピングなど新機能も
10 クリプトン、左右独立バイアンプ機構のハイレゾ対応アクティブスピーカー「KS-55HG」新色 “RED”
12/19 11:02 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX