公開日 2018/12/30 07:00

REGAアナログプレーヤー「Planar8」が鳴らす極上ナチュラルサウンド。ほぼ全て刷新の人気モデル後継機

“Made in England”にこだわる英国ブランド


さらに、フラグシップモデルRP10同様のジェネレーター機能を搭載する電源ユニット「Neo PSU」も新たに開発。より正確な電源供給を実現し、回転ムラやモーターの鳴りを抑える精確な電源供給が追求されている。

別筐体の電源ユニット「Neo PSU」を新開発

トーンアームには、同社の名機「RB808」をベースに、「RB330」の開発から始まった新RBシリーズの開発で得られた知見を盛り込んだ「RB880」を搭載。高精度な動作を実現するベアリングを有し、アルミとステンレスを組み合わせるとともにパイプがスリム化され、剛性と柔軟性に優れた高性能なアームとなっている。

ほかにも、フォノケーブルも新たに開発され、ケーブルの高音質化とターミナルの接続性向上が図られるなど、プレーヤーを構成するほぼすべての主要要素が新規に開発された内容となっている。なお、カートリッジ付属モデルはそれぞれ、MMカートリッジが「Exact」、MCが「Ania」または「Apheta 2」が付属する、合計3モデルがラインナップされている。

音楽を伸びやかに、自然体に楽しませてくれることが最大の持ち味

今回は、MCカートリッジの「Apheta 2」が付属するモデルを試聴した。メインスピーカーにはB&W「802D3」を据えラックスマン「L-509X」でドライブするとともに、L-509Xに内蔵のフォノイコライザーアンプを使用した。


ポップスの女性ボーカルを再生すると、一聴して、爽快感のある、スカッと軽快な音が耳に飛び込んで来る。ボーカルは明快にシェイプされて、歌声の輪郭が明瞭な、涼しげな表情でリスナーへと迫ってくる。

シンバルのストロークも一打一打が軽やかに浮かび上がるとともに、スネアドラムやコンガなどパーカッションのアタックが粒立ちよくフロントに表出。ボーカルの背景に展開するストリングスも、旋律表現が明瞭に浮かび上がる。ベースやバスドラムなどの低域表現は、音切れがタイトで不要な余韻を残さず決して重くならず、それが先述の爽快感を一層高めている。

続いて、サックスやトランペットが入るジャズコンボでは、サックスがキレよくドライな質感で歌い上げられる。付帯感が無く、こちらも実に爽快な切れ味だ。テナーからアルトへとソロが受け渡された時の質感の変化など、音楽の主役である旋律の存在感が明確だ。

トランペットのミュート奏法も、その爽快な持ち味が活かされ、フワリと軽やかに展開される姿が清々しい。ウッドベースも余韻がタイトで、足取りが重たくならずに、音楽の進行を妨げない。ドラムスのシンバルレガートも軽快な粒立ちで描き上げられる。ピアノの音色も実にカラッとしており、陰鬱さとは正反対な、明朗な表情で音楽を楽しませてくれた。

クラシックのピアノソロでは、楽器の音色がクリアな明るさを持つとともに、高域弦にほのかな色香を帯びて中高域のプレゼンスが高く、ブレスやタッチのアタック感などが心地良い明瞭さで耳に届く。S/N感がよく、ピアニストが紡ぐタッチの妙がよくよく伝わってくるのだ。

オーケストラソースも、軽やかかつ伸びやかな筆致で描かれる。弦楽セクションの高音域は余韻が軽やかに舞い上がる。ピッコロやフルートなどの積み重なる木管高音域のユニゾンなどが、明瞭に前へと出てくる。解像感が良好で、弦楽、木管、金管、打楽器など、各楽器セクションの配置や和声の構成が明瞭に描き出されるのだ。

最後に、フォノイコライザーアンプを据え置きタイプのものへと変更して試聴してみたが、プレーヤー自体やカートリッジが持つ音の方向性が明確なので、個性の強いフォノイコライザーアンプと組み合わせるよりも、L-509Xの内蔵フォノイコライザーアンプのように、忠実な増幅に徹するタイプ、もしくは低域方向の厚みのみを積極的に付加するような機器と組み合わせる方が、このプレーヤーの個性を十二分に活かせると感じられた。

以上のようにPlanar8は、Regaらしい魅力が十二分に味わい尽くせるプレーヤーである。アナログならではの滑らかな連続性を持ち、良好なS/N感で音楽を丁寧かつ高品位に再生してくれるプレーヤーなのだ。

音質効果も綿密に考慮されて構築されたスタイリッシュな “スケレタル・デザイン” によって、実に躍動感あるサウンドが実現されている。同時に、優れた音質やデザイン性だけで無く、軽量さや小型性を活かしたハンドリングの良さも特筆に値する。方向的には、アナログソースを濃厚、重厚に再生するというよりも、キビキビと明朗軽快な筆致で音楽を伸びやかに、自然体に楽しませてくれることが最大の持ち味のプロダクトだ。

シンプルで美しい外観、そしてそれを体現するナチュラルサウンドを楽しみたい方にオススメしたいモデルである。

(生形三郎)

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