公開日 2018/06/30 08:00

アイ・オー・データ「Soundgenic」を純正アプリと組み合わせて検証 ー 実売3.5万円で充実のネットワーク再生

【特別企画】USB-DAC接続にもこの価格で対応

アプリで音楽情報までを閲覧。一歩踏み込んだ音楽体験が可能

fidata Music Appで音楽を再生する醍醐味のひとつが、アプリ上で再生している音楽に関する様々な情報を表示できることだ。これは「CDジャーナル」誌のデータベースと連携して実現する機能で、楽曲のアルバム情報、アーティストのプロフィール、ディスコグラフィー、関連ニュースまで表示できる。しかも、いずれの情報も日本語で表示される。

楽曲一覧の「i」マークをタップすると、楽曲情報のリンクが現れる

リンクをクリックすると、アルバム情報、アーティストプロフィール、ディスコグラフィー、ニュースが表示


こちらはアーティストプロフィールの一例

ディスコグラフィーの一例。アルバムアートまで表示

音楽愛好家にとって、膨大な音楽をネットワーク再生ならではの操作性で縦横無尽に聴き漁りつつ、アーティストや音源の情報までを逐一、しかも日本語で得られるとは、これほど楽しいことはないだろう。さらに今夏に予定されているアップデートでは、fidata Music App上から、e-onkyo musicやmoraで販売されているハイレゾ音源の試聴曲の再生、音源の購入にまで対応する(これら機能の詳細はOTOTEN 2018のブースレポートで紹介している)。

fidata Music Appは、直感的な快適性を追求する一方で、ネットワーク再生の音楽体験の質もこれまで以上に高めてくれるのだ。


SoundgenicでPCレス音楽管理を実際に試す

Soundgenicはfidata Music Appと組み合わせることで、CDリッピングやファイルのコピー、ハイレゾ音源のダウンロード、メタデータの編集なども、PCレスで行える。そこで今回は、これらの使い勝手も試してみた

まずはCDリッピングから試そう。USB接続タイプの外付けDVD/Blu-rayドライブをSoundgenicに接続して、CDをセットする。次に本体背面の電源ボタンを押せばリッピングがスタート。これは簡単だ。楽曲情報やアルバムアートは、定評ある音楽データベース「Gracenote Music ID」からインターネット経由で自動取得される。

光ディスクドライブをUSB接続して、CDリッピングをチェック

手軽にリッピングできる一方で、取り込み形式はWAV/FLACが選択でき、FLACは非圧縮を含む3段階の圧縮レベルを選べるなど詳細設定も可能。ほかにもドライブのオフセット値を設定したり、リトライ処理や読み込み速度(標準/高速)なども選べる。楽曲データを比較できるデータベース「AccurateRip」を利用したビットパーフェクト判定にも対応するなども凝った仕様だ。

USB端子に光ディスクドライブを選択すると、Soundgenicの機能切替ウィンドウに「CD」が加わる

CDのメタデータは「Gracenote Music ID」から自動取得される


CDリッピングの設定画面

また、次のアップデートではCDリッピングのUIがfidata Music Appに搭載され、アプリからリッピング時のフォーマットを選択したり、メタデータの編集を事前に行ったりすることが可能になるという(関連ニュース)。

さらには接続した光ディスクドライブを利用して、SoudgenicをCDトランスポートとして使うこともできる。リッピング同様にGracenote Music IDから自動取得された楽曲データをアプリ上に表示させ、音楽CDをネットワークオーディオと同じ操作感で再生できる。

CDをドライブでリアルタイム再生することも可能。タグ情報も取得してfidata Music Appに表示できる

なお、fidataのHFAS1/HFAS1-Xシリーズでは背面にUSB-A端子が1系統しかなかったので、USB-DACと接続しつつCDドライブも接続したいと言う場合はUSBハブが必要だが、Soundgenicは2系統のUSB端子を備えている。


fidata Music App上から楽曲のタグ情報も編集できる

fidata Music Appからは楽曲ファイルのタグ情報も編集できる。アプリのファイル移動の画面から楽曲ファイルやアルバムを選択すると、タグ情報の変更やアートワークの追加が行える。さらには、iPhoneやiPadのカメラで写真を撮影してそれをアートワークにすることも可能だ。

楽曲やアルバム一覧の「i」マークをクリックすると、楽曲情報へのリンクが現れる

fidata Music Appを使うと、USBメモリーやUSBストレージからのデータ読み込みも簡単だ。Soundgenic背面のUSB端子にドライブを接続すれば、あとはアプリからの操作で楽曲の取り込みが行える。

接続したUSBストレージに対して実行する操作をアプリ上から選択

fidata「HFAS1/HFAS1-X」やSoundgenicの間でのファイル移動も行える。まるでWindows PCのエクスプローラー(MacならFinder)を2つ並べたようなアプリの画面で、ファイルやフォルダをドラックすればコピーができる。

取材ではfidataからSoundgenicへデータをコピーしてみた。フォルダやファイルをドラッグ&ドロップすることでコピーができる

ハイレゾ音源配信サイトのe-onkyo musicやmoraからの直接ダウンロードにも対応。各サイトで購入した音源を、Soundgenicに自動的にダウンロードすることが可能だ。

音楽再生に集中するためにパソコンの使用を極力避けたいという要望だけでなく、そもそもパソコンを操作しての音楽ファイルの取り扱いに対してハードルの高さを感じているユーザーにとっても、一通りの動作をアプリ上でシンプルに行えるのは朗報だろう。



デジタルファイル楽曲の優位性と将来性に気がついた筆者がネットワークオーディオを始めた2010年代前半、その当時のネットワーク再生事情は、今とは比べものにならないほど洗練されていなかった。

現在は完成度の高い操作アプリを持つプレーヤーも増えており、国産メーカーが発売するミュージックサーバーも人気が出ているが、そのような中においても、この価格でfidata「HFAS1/HFAS1-X」と同様の機能を実現した製品が出てきたことに驚いた。Soundgenicのコストパフォーマンスはあまりに高い。そして、ネットワークオーディオの新しい在り方を提案した製品として、Soundgenicはその歴史におけるマイルストーンとして名を残すだろう。

6月末には3TB HDD内蔵のハイグレードモデル「HDL-RA3HG」もラインナップに加わる

6月には、fidata HFAS1と同じHDDを搭載するなどその仕様をさらに強化したハイグレードモデル「HDL-RA3HG」もラインナップに加わった。音質面のさらなる向上も期待でき、オーディオファンにとっては本機も気になるところだろう。

最後に1つだけ追記したい。もしSoundgenicの能力に満足したのであれば、同じ機能を持ちながら音質を徹底的に追求したfidataの各モデルにもぜひ注目してみてほしい。

(土方久明)


協力:(株)アイ・オー・データ機器

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