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今後のポータブルオーディオ戦略も

CHORDのキーマンが語る “全てが新しくなった” 「Hugo2」、そして「Poly」開発秘話

2017/04/06 インタビュー/構成:佐々木喜洋
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アユートが先日開催したCHORD新製品発表会にて、DAC内蔵ポータブルヘッドホンアンプ「Hugo 2」(関連ニュース)と、Mojoをプレーヤー化する専用モジュール「Poly」(関連ニュース)が発表された。

この会場にて、CHORDのCEOであるジョン・フランクス氏、Hugo 2をはじめCHORDのDAC開発を一手に担うロバート・ワッツ氏、Poly設計担当のラジフ・ディブ氏にインタビューを実施。「Hugo 2」と「Poly」について、その詳細や開発秘話について話を聞くことができた。


左から佐々木喜洋氏、CHORD ElectronicsでDAC開発を手がけるロバート・ワッツ氏、同社CEO ジョン・フランクス氏、Poly開発を担当したラジフ・デイブ氏

ーー はじめにお聞きしたいのですが、「Hugo 2」について、初代Hugoユーザーからの評判はどういったものでしたか?

ジョン・フランクス氏(以下、フランクス氏) とても好評でした。まずすでに発表している海外では、初代Hugoを購入した人の多くはHugo 2もすでに注文したか、絶対に買うとフォーラムに書き込んでいます。初代のHugoにおいて否定的なコメントはほとんど見かけませんでした。

Hugo2(シルバー)

Hugo2(ブラック)

ーー 初代HugoからHugo 2の変更点はどういうものですか?

ロバート・ワッツ氏(以下、ワッツ氏) 端的にいうと、クロスフィードフィルター以外は全部変わったと言っても過言ではありません。細かく言うとクロスフィードのプログラムコード、Bluetooth回路とアナログ回路の一部は同じですが、ほかは変わっています。

ーー ほとんど変わったわけですね。

ワッツ氏 そうです。それとアナログ回路では「DAVE」から学んだことを投入しています。たとえば初段が16FSで二段目が256FSのWTAフィルター構成というのはそうですね。もちろんタップ長は異なりますが。特に二段目のプログラムコードはDAVEとまったく同一なのですよ。ここは開発にとても時間がかかるので、あえて同一のコードを使ったのです。

また、アナログノイズシェイパーもDAVEと似たものを使っています。使われている部品はDAVEのほうが良いものなんですが、設計的な観点からいうとトポロジーは同じものです。

ロバート・ワッツ氏

ーー Hugo 2ではデジタル領域だけではなく、アナログ領域でも改善が図られているのですね。

ワッツ氏 はい。測定結果を見てもアナログセクションは大幅に改良されています。

ーー FPGAは初代Hugoから変わったわけですね。

ワッツ氏 そう、Mojoと同じくザイリンクスのシリーズ7を採用しています。ただし、Hugo 2では電池がより強力になり、ケースも余裕があって熱問題にも余裕が出たことから、Mojoに比べるとその力をフルに発揮できるようになったのです。DSPも100%使えるようになったし、メモリーも100%使えるようになりました。チップの力を99%は引き出せたかなと思います。

それに比べるとMojoはだいたい50%程度くらいだったのです。MojoでHugo 2並にやっていたら熱が大変なことになったし、電池も持たなかったでしょうね。

ーー 電源周りではどうですか?

ワッツ氏 バッテリーは初代Hugoからさらに強力なものになっています。それはHugo 2の消費電力が上がったために強力な電池を使う必要があったからです。電源回路もさらに洗練されたものになっていますよ。

ーー USB部分はどうですか?

ワッツ氏 USBもさらに進化しています。RFノイズが重要だということに気が付いたので、RFノイズフィルターをUSBに取り付け、USB周りへの給電もより効率の良いものに見直しました。この結果はかなり顕著なもので、もしヘッドホンを使ってHugo 2を聴くならば、光入力との差がわからないくらいUSB関連のノイズは減少しています(筆者注:電気的な絶縁効果が光接続並に優れているということ)。


USB端子は2系統を搭載するが、片方はUSB入力用、片方は充電専用となっている

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