公開日 2017/11/28 10:00

ベストパートナーはどれ? AKG「N40」「N30」「N25」× 旬の最新ハイレゾDAP相性テスト

潜在能力を引き出すプレーヤーを探す!

今回のテストに登場するハイレゾプレーヤーは、音質に定評のあるフラグシップモデルの技術を継承しながら10万円を切るリーズナブルな価格を実現した、いま最も「旬」なスタンダードモデル3機種だ。Astell&Kernの「AK70MKII」、COWONの「PLENUE R」、SONYのウォークマン「NW-ZX300」である。

左から「NW-ZX300」「PLENUE R」「AK70MKII」。ほぼ間を置かずに発売された新進気鋭のハイレゾプレーヤーだ

音源はボーカルのチェックにMay J.の『ふたりのまほう』、ミロシュ・カルダグリッチのクラシックギターアルバム「Latino Gold」から『Barrios Mangore: Un Sueno en la Floresta』、ダンスミュージックとしてダフト・パンクの「Random Access Memories」から『Lose Yourself to Dance』をリファレンスにして聴き比べた。

なお、比較の際にはアンバランス接続でのサウンドを基準としている。ただ、せっかくバランス端子搭載のポータブルプレーヤーが出揃っているので、N40とN30についてはバランスケーブル「CN120-2.5」に交換して聴いた音も参考にした。NW-ZX300についてはバランス接続の端子が4.4mm/5極となるため、純正バランスケーブルに加えて4.4mm/5極変換プラグを間に挟んでいる。

参考として、純正バランスケーブル「CN120-2.5」も使用

■「N25」+「AK70MKII」 = 音源の特徴がリアルに現れる

最初は「AK70MKII」の登場だ。どのイヤホンを接続しても一定以上の音質を発揮してくれるのだが、あえて言えばイヤホンのパフォーマンスを最も素直に、最良の状態で引き出せると感じたのが「N25」との組み合わせだった。

N25のポテンシャルを最も引き出してくれるのはAK70MKIIだった

ミロシュの演奏はギターの音色がとても素直でリアルだ。トレモロの音符は粒立ちがきれいに整っていて、乾いた音符の余韻が静かに広がる。しっとりとしたメロディを抑揚感も鮮やかにうたい上げる。低い音は彫りが深く、奥行きの見通しも鮮明だ。May J.のボーカルは雑味がなくクリアで、艶っぽい表情が自然に表れる。ダフト・パンクはリズムのインパクトが鋭く、打楽器や打ち込み音源によるビートの音色の違いを巧みに描き分けた。起伏に富んだ刺激的なサウンドがAK70MKIIと組み合わせることによって楽しめた。

AK70MKIIと他のイヤホンとの組み合わせだと、例えばN40とのコンビでは、解像度が高くクリアで上品なサウンドが楽しめた。AK70MKIIの精緻な再現性が前面に現れてくる。中低域がやや大人しくなるが、長く聴きこむと最も心地よく感じられるバランスであることがわかった。ケーブルを交換すると高域の輝きが増して、全体の艶っぽさに磨きがかかる。バランス駆動では低音の輪郭が引き締まってタイトで力強いビートが炸裂する。

N40とAK70MKIIを組み合わせれば、上品なサウンドが楽しめる

N30で聴くと、今度はAK70MKIIの切れ味とスピード感が引き立った。ボーカルの肉付きが良くなって明るく張りがある。クラシックギターは低音の余韻をゆったりと響かせる。バランスケーブルに交換すると中低域の充実ぶりが際立ってきた。骨太なロックやEDMを聴く時に相性の良い組み合わせだと思う。

■「N40」+「PLENUE R」 = S/Nの高いピュアな空間

続いては「PLENUE R」。このプレーヤーが最も特徴を引き出すと感じたのは「N40」だった。ピュアで濁りのない音を互いに高めあいながら再現してみせている。May J.のボーカルは濃厚できめ細かい。柔らかくしっとりとした声のイメージを間近に感じ、ワイドに広がる空間の中に微小な音まで忠実に再現している。リニアリティの高さにも息を呑んだ。鋭く透明な低音の打ち込みが演奏に張り詰めた緊張感を与える。ミロシュのクラシックギターも表情が活き活きとしている。フレットの上を指が滑って弦がしなり、静けさの中に音楽がゆっくり溶け込んでいく様子が目に浮かぶ。N40の高い解像力と、高S/Nで歪みのないプレーヤーのサウンドが高い次元でマッチする。

バランス・アンバランス共に透明感が際立ったN40とPLENUE Rの組み合わせ

バランスケーブルに換えてみると、低音がしっかりと肉付けされて全体にメリハリが出てくる。空気の透明度が一段と上がって、横の広がりだけでなく、奥行き方向の深みも増してきた。ダフト・パンクはリズムのスピード感が冴え渡る。タイトで弾力のある低音が色んなジャンルの音楽再生に良い効果をもたらしてくれそうだ。

次ページ個性の引き出し方は組み合わせによってさまざま

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