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ベストパートナーはどれ? AKG「N40」「N30」「N25」× 旬の最新ハイレゾDAP相性テスト

公開日 2017/11/28 10:00 山本 敦
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N30と組み合わせると、空間の見晴らしが鮮明になった。PLENUE Rで聴くとN40に近いシルキーで滑らかな質感が立ってきて、姉妹機としてDNAを共有していることをあらためて思い出す。クラシックギターの甘いトーンが心地よい。May J.のきらっとしたボーカルに艶っぽい色気も加わってくる。バランスケーブルに変えて、フィルターをBASS BOOSTに変えてみるとダフト・パンクのリズムの打ち込み、ボーカルのハイトーンに幅のゆとりと、階調のきめ細かさが生まれた。

N25との組み合わせでは、PLENUE Rの上品さが前面に出てくる。プレーヤーの持ち味をストレートに引き出すイヤホンだ。細かい音の粒立ちが鮮明で音場も広い。低音は量感こそ控えめだが、輪郭線が太めに描かれるので十分に聴き応えがあった。クラシックギターの音色は少し硬くて乾いた印象だ。

N25とではPLENUE R側の上品さが前に出る

■「N30」+「NW-ZX300」 = 解像感のあるフレッシュなサウンド

最後に「NW-ZX300」だ。こちらは「N30」との相性の良さに目を見張るものがあった。イヤホンの特長であるカラッとした抜け味のよいサウンドの個性が引き立ってくる。ダフト・パンクは足場が安定していて、深く沈み込む。クールなエレキのメロディーと温かみのあるボーカルの対比感が描き分けられて面白い。体の芯にバイタリティを満たしてくれるフレッシュなサウンドだ。

N30の音調が最も際立つのがNW-ZX300に繋げたときだ

ミロシュのクラシックギターも若々しさがあふれ出す。弦の張りがみずみずしく、余韻もしっとりとして伸びやかだ。解像度が高く、弦をつま弾くセクシーな指先の動きを逃さず捉える。May J.の歌声も広がりに限界を感じさせない。ブレスの吐息の暖かさも伝わってきそうなほど、距離が近くリアルに感じられた。細かい音の粒立ちと立体感も鮮やか。編曲に凝ったJ-POPやアニソンとの相性も良さそうだ。

バランス接続では、ダフト・パンクは冒頭のギターのカッティングが鮮明度を増してくる。エレキベースの低いリズムは暴れることなく、1音ずつスッと力まずに伸びる。クールで爽やかな低音だ。ミロシュのクラシックギターはフォーカスがより鮮明になる。音色は晴れやかで明るい。ただ、アンバランス接続のウェットな質感も捨てがたく思う。N40のケーブル交換よりも印象ががらりと変化するレベルはN30の方がより大きく感じた。

N40は、NW-ZX300の元々の品の良さを強く引き出す組み合わせだった。N30で聴くサウンドに比べると、やや音の輪郭が繊細に感じられるところは、イヤホンの特性やコンセプトがそのままストレートに反映されているのだろう。歌声のしなやかさはN40で聴くとさらに熟成される手応えがあった。フィルターをBASS BOOSTに換えてみると、低音が幾層にも重なり合って響くような深みと温かみがのってくる。クラシックのオーケストラの演奏にもよく合った。

N25との組み合わせでは明るくて濃厚な中高域を気持ち良く響かせる。May J.の楽曲はボーカルやバンドの楽器の音像がとてもシャープで、輪郭がくっきりと立体的に描写される。その解像度の高さを目の当たりにして、N25がハイレゾ対応イヤホンとして優れたパフォーマンスを備えるイヤホンであることをさらに強く実感した。

NW-ZX300とN25では濃厚な中高域が楽しめる



旬の最新ポータブルハイレゾプレーヤーと組み合わせながら、Nシリーズの個性にあらためて触れることができた。どのモデルもプレーヤーの実力をとても素直に引き出せるイヤホンであることもよくわかった。

またイヤホンのパフォーマンスを最大限まで引き出すためには、今回紹介した単体のオーディオプレーヤーを組み合わせる方法が近道だが、Nシリーズはスマートフォンとの組み合わせでも十分気持ち良く鳴ってくれるイヤホンだ。そして使い込むほどに新しい発見を与えてくれるだろう。ユーザーをいつまでも飽きさせない最高のパートナーだ。


(山本 敦)

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