公開日 2017/09/22 21:15

【レビュー】iPhone 8のAV機能をチェック! HDR/ドルビービジョン画質やカメラ性能を検証

動画再生能力が大幅強化

動画再生の対応フォーマットでは、新たにとHDR10とドルビービジョンの表示に対応した。ちなみにHDRでは、2017年発売のiPad Pro 10.5インチと12.9インチもiOS 11にアップデートすることでHDR10とドルビービジョンの表示に対応することも覚えておきたい。

HDR映像の実力をチェックする前に、iPhone 8から新搭載された自動ホワイトバランス調整機能「True Toneディスプレイ」の使い方を紹介しておこう。

本体設定のメニュー「画面表示と明るさ」からTrue Toneディスプレイのオン・オフが切り替えられる。オンにすると環境光に合わせて画面の輝度や色合いが素速く切り替わった。

ウェブページや電子書籍を閲覧するなどの用途ではナチュラルなホワイトが得られておすすめだが、動画視聴では色合いがかなりダイナミックにシフトするので、オフにした方が落ち着いて作品世界に没入できるかもしれない。なお、以降の画質テストの際にはTrue Toneはオフにしている。

左が新しいiPhone 8。フロント側はiPhone 7と比べてデザインに変更はない

ドルビービジョン&HDR10のコンテンツを見比べた

さて、ここからはいよいよHDRコンテンツの視聴について試していこう。

本稿を執筆している9月22日の時点で、iPhone 8で視聴できるHDR動画はiTunes Store、Netflix、そしてYouTubeにもいくつかのコンテンツがあるようだ。今回はiTunes StoreとNetflixのコンテンツでチェックしてみた。

記事執筆時点では、iTunes Store、Netflixのどちらも、HDRコンテンツを検索・確認するのは難しい。

iTunesストアは9月22日現在で、ワーナー・ブラザーズから『レゴバットマン・ザ・ムービー』『夜に生きる』『キングコング:髑髏島の巨神』の3作品がドルビービジョン方式でHDR配信されているようだ(ほかにもあるかもしれない)。

iTunesストアで4K/HDR配信がスタート。iPhone 8で見られる作品を探したところHDR10対応の『ローガン』が見つかった

『キングコング:髑髏島の巨神』はドルビービジョン方式のHDRに対応。レンタル作品を端末にダウンロードして「ビデオ」アプリで楽しむこともできた

20世紀フォックスは『ローガン』『オデッセイ』をHDR10方式で配信している。

ストアの作品リストからそれぞれのタイトル詳細に入ると、アイコン表示によって「HDR(=HDR10)」と「ドルビービジョン」が見分けられるのだが、「HDR」や「ドルビービジョン」といったワードで検索してもヒットしない。

解決策はSiriだ。Siriに「HDRムービーがみたい」と音声コマンドを入力したら、HDR対応コンテンツが紹介された。なお、HDRコンテンツも48時間のレンタル視聴は500円、買い切りの場合は2,500円で、これまでのHDコンテンツと変わりない。

Siriで4K、HDR、ドルビービジョンのムービーを音声で検索。まず音声コマンドが「4型」「HDアル」といった具合に誤認識されてしまうので、手入力で直して再検索すると、期待に近い結果をiTunesストアやNetflixから引っ張ってきてくれた

Netflixは検索キーワードに「HDR」と入力すればHDR対応作品のタイトルリストが出てくるのだが、スマートOSテレビでは作品詳細のショルダーに表示されるHDRやドルビービジョンのアイコンが出てこない。

Netflixは、テレビ向けにはHDR10とドルビービジョンの両方で配信を行っているが、再生を始めても、結局どちらの方式で収録されたコンテンツなのか判別できなかった。なお、NetflixのHDRコンテンツはダウンロードできないという噂があったが、『BLAME!』のようにHDR/SDRに関わりなくダウンロードできるコンテンツもあったことを報告しておこう。

4.7インチ画面に驚くほど鮮度の高い映像が再現される

続いてiTunes Storeで『キングコング:髑髏島の巨神』をレンタルし、iPhone 8のドルビービジョン映像と、iPhone 7のSDR映像でストリーミングしながら映像を見比べてみた。iTunes Storeのコンテンツは同時に複数端末で視聴できないので、それぞれの端末で交互に確認している。

「チャプター4」でヘリコプターの部隊がキングコングと遭遇するシーンをiPhone 8のドルビービジョン映像を見る。キングコングにたたき落とされるヘリコプターから巻き上がる炎のピーク輝度が高く、それでいてオレンジ色の彩度が失われることなく、自然な空気感を引き出せている。繊細な火の粉の粒も激しく煌めいて、息を呑むほど真に迫ってくる。

iPhone 7で見るSDR映像も解像度は十分に高く、色合いもバランスが取れているように思うが、光の明暗やコントラスト感の巧みな描き分けは、やはりHDR対応のiPhone 8が何枚も上手だ。コンパクトな4.7インチの画面の中で驚くほど鮮度の高い映像が再現される。

Netflixでは『マルコ・ポーロ シーズン1』から第1話「西洋からの旅人」をHDRでストリーミング視聴した。

Netflixにもスマホで見られるHDRがあるものの、HDR10なのかドルビービジョンなのか、ぱっと見でわからない。再生してみると画質はHDR感がしっかりと感じられる

iPhone 8の映像は明部・暗部の階調感を丁寧に引き出す。人物の肌や衣装は明らかに陰影による凹凸の表現力に富んでいて、テクスチャーがiPhone 7の映像より明瞭に現れる。砂漠の砂、空の青色などのトーンはiPhone 8の方が少し濃く、派手めに感じられた。

上がiPhone 7のSDR映像、下がiPhone 8のHDR映像。iPhone 8は暗部が沈み込みながら、光が当たっている場所の輝度が高く、ダイナミックレンジが広く立体感のある映像が体験できる

これもHDRの効果がわかりやすい例。上のiPhone 7では全体が薄暗くなってしまっているが、下のiPhone 8ではキャラクターの顔が光で引き立つ。背景の照明の力強さにも注目だ

次ページiPhone 8のカメラ性能は派手目の画作り

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