公開日 2015/06/11 12:23

【レビュー】液晶と異なる“圧倒的な黒”。LGの4K有機ELテレビは使いこなしがカギ

<連載:折原一也の“いまシュン!”ビジュアルプロダクト>

■BDプレイヤーによる2K画質も検証

続いて筆者の持参した地上デジタル放送録画したディスクの試聴を試みる。再生機に用いたのはLGのBDプレイヤー「LG BP540」だ。

操作感などを確認する折原氏

テレビ放送を見る際には部屋の明るさを考えてモードを選ぶことになるが(「55EG9600」は明るさセンサーを採用していない)、基本的にはある程度明るい部屋には「あざやか」、暗めの部屋では「シネマ1」「シネマ2」のいずれかのモードがお薦めとのこと。

各種映像モードの選択メニュー

主に試聴したのは『NHK連続テレビ小説 「まれ」』をDRモードで録画したディスクだが……率直に言ってしまうと、内蔵チューナーではなくHDMIの外部入力による視聴というハンデがあるとは言え、精細感がだいぶ甘く感じてしまった。

BDソースによる2K再生は『ゼログラビティ』でチェック。こちらでは特に情報量の多い高域情報部に、ザラつくような繰り返しのノイズが現れた。一時停止するとノイズは消えるほか、超解像の設定(切/弱/中/強の4段階)設定を切り替えてみたりしても消えなかったので、有機ELのパネルとの相性があるのかもしれない。

超解像の強度切り替えメニュー

同じクセはBD映画『ゴーン・ガール』でも現れ、特に冒頭のチャプターの女性の顔に映像が乱れるようなノイズが現れた。チャプター18の夜の屋外のシーンでも暗部の色階調をストンと落としていて、暗部階調のリニアな情報よりも、積極的なコントラスト表現に振る傾向があるようだ。それでも画面内に点在する蝋燭の光のピークの明るさは、眩しくないレベルで印象的に表れた。

なお、「55EG9600」の映画向けのモードは「シネマ1」「シネマ2」と2パターンあるが(今回は両方を切り替えて試聴)、どちらも「超解像」のデフォルトの設定は「弱」で、この強度を引き上げると精細感は上がるが若干遠近感の表現にクセが表れる。両モードの大きな違いは色調で、「シネマ1」が通常の薄型テレビに近い色温度に対して、「シネマ2」ではフィルムライクな志向となる。

実は、これら2Kソースの4Kアップコンバートについては「55EG9600は本国の4K OLEDのラインナップとしてはミドルクラスなので、最上位の9700シリーズとは4Kアップコンバートの回路が異なる」(朴氏)という事情がある。「最上位のEG9700シリーズは65インチ以上の大型機しかなく、日本には市場に合うサイズ展開を考えて55インチがあるEG9600シリーズを導入した」とのことなので、最上位の画質エンジンを搭載したモデルの日本市場への投入にも期待したいところだ。

もちろん各メニューの値をユーザー自身で細かく調整することも可能

「55EG9600」で4Kの画質を見ると、有機ELパネルの画質面でのメリットをよりハッキリと確認できた。4Kアップコンバートにはあと一歩作り込みの余地があるが、4Kネイティブコンテンツの表現力からは本機のポテンシャルを充分に感じることができた。

もしくは、現状でも4K/60pの映像入力が可能なため、パナソニックのDIGA、パイオニアやOPPOのBDプレイヤーなど画質に定評のある再生機と組み合わせる手も有効かもしれない。

「55EG9600」のパネルが液晶にはない画質の特性とポテンシャルを持つのは確かなだけに、その性能をどう引き出すかは日本のAVファンの腕次第といったところだろう。

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