公開日 2015/03/23 10:34

“免震”から誕生したオーディオボード兼インシュレーター「Sonic Improvement for MUSIC」の実力を探る

【特別企画】カットできるユニークなDIY性、AV機器でも免震性能発揮
貝山知弘
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■回転系メカ内蔵のプレーヤーでの試聴

Sonic Improvement for MUSICの効果が最も顕著に現れ、それが音質の改善に向かったのは、アキュフェーズのトランスポートDP-900と、OPPOのユニバーサルプレーヤーBDP-105DJPであった。共に回転メカを内蔵しているプレーヤーである。

このパッドをプレーヤーで使うことの利点は、うすうす想像していた。プレーヤーでは回転メカの振動防止策を施しているのが常で、高級機になればなるほどその対策は完全に近くなっている。しかし振動が皆無かと言えばそんなことはなく、微小でも振動は残っていると考えていい。パッドを脚下に置けば、この微弱な振動が吸収できると考えたのだ。この試聴では、スピーカーの脚は原型に戻している。今回の試聴は、システム全体の音質改善効果を探るのではなく、スピーカー、プレーヤーなど機器ごとにSonic Improvement for MUSICの効果を探りたいからだ。

289ダンパーブロックを手にする貝山氏

プレーヤーの振動吸収に関しては私の考えが的中した。DP-900にパッドを加えた時の効果は、今回の試聴で最も印象的であった。低音の締まりや力感はそのままで高音域の音の突っ張りだけがしなやかに変身し、高音の刺激音は全く感じ取れなくなったのだ。これは機器の性能の問題ではなく設置の問題だと思う。DP-900の設置は輸入品の軽量ラックの最も下のボードに乗せていた。ラックの板にはスリットがありそこにプレーヤーを乗せると高音域が突っ張る傾向があったのだ。

試しに代わりの頑強なボードに乗せてみると、その突っ張りはかなり弱くなる。しかし、現状の設置のままでもDP-900とラックの棚板の間にパッドを敷いてみるとその突っ張りは全く聞こえなくなる。最終的には元のラックに戻し脚下にパッドを敷くことにした。ボードの差は全く現れていないからだ。低音域の締まりに関しては、ピリスがソロを弾いたベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番第2楽章(ONYX盤ONYX4125)でチェックしている。中低音域から低音域にかけてのエネルギーが強く、締まりのよさが最も簡単に判るからだ。

■OPPOのBDP-105DJPの下に敷くことで、プロジェクションの映像が安定

パッドの効能は、試聴位置の背後にあるラックにセットされたOPPOのBDP-105DJPの場合にも現れた。ここで使用しているはカーボンが主体のラックである。てっぺんにはソニーの4KプロジェクターVPL-VW1100ESが頑丈なプラスティック製のボードを介して乗っており、1段下の棚板にBD再生用のOPPOのプレーヤーを乗せ、映像ケーブルの最短化を実現している。

本当なら、このクラスのプロジェクターなら床に直置きにするか、天井から吊るす方法が選ばれる。その自重は数十kgと重く、ラックに乗せたりすれば、地震の時落下する可能性もある。一つには私の家の地下には強固な岩盤があり、地震の時の揺れはかなり少ないのでこんな方法を採っているのだが、できるだけそんな危険は避けた方がいい。プロジェクターとラックの天板の間に免震効果をもつバッドを入れることは、好ましい方法であると考えた。このテスト時にはOPPOのプレーヤーの脚下にプロジェクターの脚下にもパッドを挿入してテストを行なった。

音質に関してはステレオシステムと同様とはいかなかったが、これは製品の性能差であることは明らかだ。しかし、高音が突っ張ったり低音がだらしなくなったりせず、適度の音の締まりと力感は保てるようになった。パッドの効果はDP-900より上にあると思っていい。

面白いと思ったのはプロジェクションの映像がより安定したということだ。フォーカスが合わせやすくなり、映像の解像度も少しだが向上している。プロジェクションもこれだけ大型の製品となるとやはり振動が発生しているようだ。パッドの使用でそれが軽減されたと考えたが、当たらずといえども遠からずといっていいのではないかと思う。危険を避ける意味で使ったパッドが画質にも影響を及ぼすというのだから面白い。特にプリアンプやパワーアンプなどで使用するよりも、パッドを挿入する効果がはっきり現れた。ラック内に設置したDACで使用した場合も多少音質向上が得られたと感じたが、プレーヤーの時ほどクリアには判らない。

Sonic Improvement for MUSICの効果は、機器の種類と設置方法によって大きく変わる。貝山氏の試聴室環境ではパッドのみを敷くことでより効果が高まったが、環境にあわせて色々な設置方法を探るのが良いだろう(写真は、スピーカーの下にパッド&ボードを両方挿入したところ)

今回の試聴はかなり長時間にわたった。トータルでわかったことはSonic Improvement for MUSICの効果は、機器の種類と設置方法によって大きく変るということだった。ユーザーにはこれを参考に、ご自分でその効果を試されることを望んでおく。

(貝山知弘)

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