ガジェット 公開日 2023/05/12 16:23

Googleがテキストから音楽をAI生成する「MusicLM」を公開

プロンプト制限でディープフェイク対策
Gadget Gate
Munenori Taniguchi
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
5月11日、Googleは文章による説明を解釈して音楽を生成する実験的なAIツール「MusicLM」を公開。デスクトップブラウザーおよび、Android/iOS版の「AI Test Kitchen」アプリから利用できる。

MusicLMでは、ユーザーが生成したい楽曲をイメージするための説明文を入力するだけで、AIシステムが音楽を2バージョン生成して提示する。より満足したバージョンの方にユーザーが “いいね” を付けることで、GoogleはそれをAIのパフォーマンス向上に役立てられる、という仕組みだ。なお楽曲は両方ともダウンロードして保存できる。

また、ユーザーは「エレクトロニック」や「クラシック」などといった言葉を指定することで、楽器や目指す雰囲気、ムード、感情を指定し、生成される作品をイメージに近づけることができる。

ただし、MusicLMはまだまだ学習が足りていないようで、出力される楽曲は良くて及第点、多くは素人がDAWを触っていたら “音楽みたいなものができた” というレベルのものが多い。たとえば、最初はうまく行っているように聴こえていても、どこかで何かが壊れ、イメージとして提示したテキストと方向性がずれていってしまうことが多い。

それでもまだ、たとえばOpenAIの音楽生成モデルJukeboxに比べれば、音楽としての体をなした出力が得られるようだ。TechCrunchは「この数ヵ月間、Googleはミュージシャンと協力し、ワークショップを開催してこの技術がいかに創造的なプロセスを後押しできるかを確認してきた」と伝えている。

その成果のひとつとして挙げられるのは、MusicLMで出力した楽曲が、学習に使用した特定のアーティスト(ヴォーカル)の声が入った楽曲を生成しないようになっているところだ。アーティストのボーカルや演奏をAIに学習させ、そのアーティストそっくりに異なる楽曲を演奏させる技術は、人々を驚かせはするものの、著作権やその他の問題が議論されている。

2020年にはラッパーのJay-Zが、YouTubeチャンネル「Vocal Synthesis」に対し、勝手にビリー・ジョエルの「ハートにファイア(We Didn’t Start the Fire)」を自身の声のAIでカバーさせたとして著作権侵害を申し立てていた。また本記事の執筆時点でも、フレディ・マーキュリーのAI音声でビートルズの「Yesterday」やエルトン・ジョンの「I’m Still Standing」をカバーしたバージョンがYouTubeに公開されて話題となっているが、これが著作権などの権利関係をクリアしているかは不明だ。ディープフェイク音楽は法的根拠が曖昧であり、今後解決されるべき問題がまだまだ残されている。

一方でMusicLMは、入力するプロンプトに制限を設けることにより、アーティストやボーカルをフィーチャーした音楽、特定のミュージシャンの特徴的なスタイルを持つ音楽が生成されないようにしており、ディープフェイクとして扱われる可能性は低そうだ。

Source: Google
via: TechCrunch

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 レコードの音楽を読み取って光るターンテーブル。オーディオテクニカ「Hotaru」一般販売スタート
2 ダイソンとPORTERがコラボした特別デザインのヘッドホンとショルダーバッグ。全世界380セット限定販売
3 LUMINの進化は終わらない。初のディスクリートDAC搭載「X2」の思想を開発担当者に訊く!
4 Spotif、2025年に最も聴かれた邦楽は「ライラック」。国内外で最も聴かれた楽曲・アーティストの年間ランキング発表
5 DUNU、7ドライバー/トライブリッド構成を採用したイヤホン「DN 142」
6 カセットテープとともに過ごすカフェ「CASSE」。12/17渋谷でグランドオープン
7 Vento、3次元特殊メッシュを採用したハイブリッド拡散パネル「DAP180 / DAP120」
8 AVIOT、最大120時間再生と小型軽量を両立したオンイヤー型Bluetoothヘッドホン「WA-G1」
9 サンワサプライ、省スペース設置できる木製キャビネットのサウンドバー「400-SP120」
10 アイレックス、ALBEDO/AUDIAブランド製品の価格改定を発表。2026年1月1日より
12/5 10:47 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX