公開日 2026/06/10 17:32

JEITA新会長に日本電気・新野 隆氏が就任。「製造現場のデータとAIの融合は日本のデジタル産業の大きな強み」

就任会見を開催
編集部:竹内 純
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日本のデジタル産業の競争力強化へJEITAは非常に重要な立場にある

一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、6月10日に開催した「第16回定時社員総会」をもって、漆間 啓氏(三菱電機株式会社 代表執行役 執行役社長 CEO)が任期満了で会長を退任。新たに、新野 隆氏(日本電気株式会社 取締役 会長)が会長に就任したことを発表した。任期は1年。

同日、新野会長の就任会見が行われ、これから1年の注目する課題とJEITAの取り組みについて説明した。

新たにJEITA会長に就任した新野 隆氏が会見を開いた

1つ目に取り上げたのは、我が国のデジタル産業の発展に向けた産業横断への取り組み。デジタル産業は成長産業であるのみならず、社会のあらゆるインフラに深く組み込まれている。新野会長は「その基盤システムを担う産業であり、最近のAIをめぐる動きに見られるような社会のあらゆる側面のSDx化(Software-Defined everything)に向き合うことが、JEITAとしての主要な課題のひとつになる」と訴える。

AIが実験的な活用から、社会実装へと移行していくなかで、「いま問われているのは、AIを導入したかどうかではなく、AIを前提として、産業や社会の仕組みそのものをどのように変革していくか。今後はAIを活用しながら、現実社会そのものを高度化していく取り組みが重要になる」と新たなフェーズへ移行しているとの認識を示した。

我が国のデジタル産業においては、製造や制御などの現実社会の領域でAIを活用する、いわゆるフィジカルAIを “強み” としなければならない分野であると指摘。そのために「リアルな現場データとデジタルを融合して実世界で価値を生み出せることこそ、日本の産業界の強み。競争力の源泉になると考えている」と力を込めた。

そのなかからSDV(Software-Defined Vehicle)について、「我が国の産業における重要性からしても、また現に激しい競争が行われていることからしても、特に重視しなければならない」と語り、秋のCEATECではJapan Mobility Show bizweekとの併催が決定している。また、さまざまな業種やスタートアップと電子情報産業における連携もさらに深化させていく。

2つ目に取り上げたのは、デジタルを活用した産業と社会の構造改革への貢献。官民で機運が高まる産業データスペースの社会実装を進めるため、JEITAでは今月6月に「デジタルエコシステム検討会」を設けて議論を進めている。

「産業データスペースの実装には、相互信頼や一体感の醸成が不可欠になる」との考えから、同検討会にはJEITA会員内外の幅広い産業界のプレイヤーが参加。そこでの議論を深めることで、産業データスペースの社会実装に貢献していきたいとしている。

そして3つ目に取り上げたのが、激しく変化する国際経済環境への対応だ。そのなかでも半導体や電子部品は、AI時代の産業や社会を支える重要な基盤として位置づけられ、「その安定供給と競争力強化はますます重要になっている」と指摘する。

新野会長は「AIの急速な進化、進歩が世の中を大きく変えている。特にこの一年間は、産業構造も雇用形態も大きく変化していくと認識している。そのようななかで、これからどうやって日本の競争力を上げていくのか、JEITAは非常に重要な立場にある。この一年間、皆さんとしっかり協力しながら頑張っていきたい」と気を引き締めた。

「世界が大きな転換点を迎えるいま、JEITAは会員企業の皆さまとともに、テクノロジーを社会価値へとつなぎ、日本の産業競争力の向上と社会課題解決の両立に貢献していく」とあいさつを締めくくった。

質疑応答では、日本のデジタル産業の現在地について問われ、「いわゆる基盤AI、汎用AIの分野で日本が戦うことは非常に難しいと思う。日本に一番強みがあるのはやはり製造の現場。これまで得たさまざまなデータやまだデータ化されていない知識があり、こうしたものをAIと融合しながら、特定の領域のなかで価値を出していく。また、それを扱ったフィジカルAIは、日本として強みとなる」と訴えた。

そのなかで、データ連携がなかなか進展しない課題に対しては、「データを提供する側が、それを何に使うのかをきちんと定義しながら進めていくことが必要。データを提供する人たちが恩恵を得られる仕組みや仕掛けも作っていかなくてはいけない」とした。

「まだ使われていないデータをいかにAIの中で可視化していくかは、多分この一年間でものすごく大きく進展するだろうし、進展しなければいけないタイミングにある。会長として特に力を入れて取り組んでいきたい」と述べた。

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