【レビュー】密閉型を再定義、オーディオテクニカの“ウッドヘッドホン”「ATH-AWX7000」を聴く。『TCbA』思想の実力とは?
オーディオテクニカが開放型の再定義として発売したフラグシップ『トゥルーオープンエアー(True Open Air:TOA)』に続き、今度は密閉型の再定義を謳う『トゥルークローズドバックアコースティック(TCbA)』を落とし込んだ「ATH-AWX7000」が登場。評論家の岩井 喬氏が『TCbA』の思想・実力を、さっそくチェックした。
「ATH-AWX7000」の密閉型ヘッドホンを再定義する『TCbA』とは
国産ブランドの中でもヘッドホン開発に力を注いできたオーディオテクニカでは、ヘッドホンの理想的な在り様を模索する中、まず開放型の再定義として『トゥルーオープンエアー(True Open Air:TOA)』を掲げ、その最高峰たる「ATH-ADX7000」を2025年に発売した。
開放型の理想が具現化したのであれば、ヘッドホンのもう一つの主要な方式となる密閉型の理想形がどういったものになるかも気になるところである。
その密閉型の理想を追求する中で、この秋、密閉型を再定義する『トゥルークローズドバックアコースティック(True Closed-back Acoustic:TCbA)』を掲げた密閉型フラグシップ「ATH-AWX7000」が登場する。
ATH-AWX7000は1996年から30年に渡って技術を磨いてきたウッドヘッドホンの最新モデルでもあり、越前漆で仕上げられた木曾檜ハウジングを採用。
またイヤーパッドには肌当たりの良い和鹿革を用いており、成瀬工場でのメイド・イン・ジャパンという体制を含め、“究極の和風モデル”ともいえる、日本でしか作り得ないプロダクトとして仕上げられている。


また製品化へのベース技術としては、60周年記念の限定密閉型モデル「ATH-W2022」で採用された、高密閉筐体や異種素材振動板、鹿革イヤーパッドといったノウハウも生かされているという。
こうした製品概要を説明する前に、まず『TCbA』の概念から紐解いていこう。
オーディオテクニカの理想とする音再生の世界。それは音源に込められた音情報をありのまま再生する、“原音再生” である。
密閉型ヘッドホンであれば「入力を損なわずに振幅」「音圧を逃がさない」「情報を保つ」という3点を同時に満たし、入力100%を限りなく出力100%で鼓膜へ届けることを理想としているという。
まず入力を損なわずに振幅という点は、密閉された空間の中で働く強い空気バネの中でも変形せず、入力通りに最後まで動き切る強さ、正しい動きを実現する振動板を用いること。
二つめの音圧を逃がさないという点においては、音響的に密閉された筐体を用意し、振動板が生んだ圧力を逃がさず、低音とダイナミクスを鼓膜まで伝えること。そして三つめは分割振動を抑制し、低音から高音まで、入力された情報に色付けなくそのまま届けることである。

