HOME > ニュース > AV&ホームシアターニュース
シーイヤー、スマホ1台で最大23台のスピーカーを一括制御できる音響プラットフォーム「Cear Connect」
シーイヤーは、同社の戦略発表イベント「Cear Technology Conference 2026」を開催。音響デバイスの制御と空間音響を統合するプラットフォーム「Cear Connect」をはじめとする新技術、ならびに中長期成長戦略が発表された。
同社は、デジタル音響信号処理、ビームフォーミング、ノイズキャンセリングなど音響用ソフトウェアの開発・実装を手掛け、リスニングだけでなく、補聴、収音、空間設計など、幅広い領域に向けて展開を行う音響ブランド。
特にコンシューマー向けにおいては、2024年にBluetoothスピーカー「Cear pave」を一般販売。ステレオ音源をリアルタイムで解析し、リアルな音場感を付与する独自の空間立体音響技術「Cear Field」を搭載するなど、独自の音響技術を活かした展開を行なっている。
再生から収音まで行う空間向け音響ソリューション
Cear paveは複数台を同期・再生することで、音場の密度を高め、解像度、移動感、広がりを感じられる立体的な音響表現を実現。また、波面合成とクロストークキャンセルの技術を用いて、出音を制御することで定位を任意に設定、高精度な指向性の制御が可能になる。
イベントでは導入事例として、ホテルのバーや病院の待合室など音楽によるリラックス効果が重要となる空間、指向性の制御を活かした「のれんをくぐったら音楽が聞こえる」屋台が紹介された。


これまでCear paveの同期・再生は、専用トランスミッター「Cear core」、Bluetooth接続によるAuracast、統合制御技術「Cear LINK」によって接続されていた。この場合、Cear paveの一括コントロールには非対応で音量やEQ設定も個々に行う必要があるほか、音場設計のため設置とセットアップには専門性が必要となる。
そこで、さまざまな機器の制御、設定配布、一括制御などに対応する共通基盤として開発されたのが、次世代オーディオ基盤「Cear Connect」である。
次世代音響制御プロトコル「Cear Connect」
Cear Connectは、トランスポートに依存しない共通プロトコル層として、一括制御/設定の再現/配布などの音響デバイスの制御と、ビットレート/遅延/音場設定などのパラメータ転送を統合する新しいプラットフォーム。
Cear Connectの採用によって、スマートフォン1台から、最大23台の音響デバイスに対し上述のすべての操作にリアルタイムでアクセスできるようになるほか、音場設計や設定変更は現場作業が不要となる。
システムは送信役のハブとしてCear Core、制御層であるCear Connect、受信するCear Connect対応デバイスで構成。
なお、制御はUSB HID/Bluetooth LE(GATT)/Bluetooth LE Audio Periodic Advertisement/Auracast/の4規格を統一したAPIで行われる。パラメータのスペックはAuracastに準じる。
現在、Cear Connectの対応デバイスはCear paveと、新たなアンプモジュール「Cear Connect Amp」の2種。シーイヤーはCear Connect/Auracast/Bluetooth Low Energyに対応するモジュールであるCear Connect AmpをOEM展開することで、導入の促進を図ると説明していた。
Cear Connect Ampは2026年4月頃から、まずは法人向けに試作モジュールのリリースを行い、早ければ同年5月にも提供を開始する予定だとしている。なお、音場の直感的な生成や多チャンネル化など、今後も制御の幅は拡張予定とのこと。
同時に、これまでのようにイベントや商業施設など、さまざまな事由から大規模な音響設備の導入が難しい空間に向けて、Cear paveをスピーカーとして用いたBGMシステムの展開も継続していくと説明していた。
またイベントでは、接続最大数である23台のCear paveを使ったデモンストレーションを実施された。カンファレンスの終了後、ステージ上にCear paveを並べ、ものの5分で再生開始。
PC 1台での一括コントロールによって、女性ボーカル(中音域)がより間近に感じられるよう音場を調整したり、スピーカーを左中右の3系統に区分して再生を切り替えたりと、一括制御およびパラメータ転送の効果や、接続の安定性を実演した。
技術交流の深いパートナー企業がゲスト登場
Cear Connectの展開に際して、シーイヤー代表取締役であり、エンジニアの一員でもある村山好孝氏は下記のように明かした。
「これからAIプラットフォームによって、場合によってはインターネットに繋がなくても、人が『こうできたら便利だな』と思うそのままの使用法が生まれてくることを予感しています。
私たちは一貫して『手元で動かせるデバイスが作れたらいいな』と考えて、開発を行ってきて、音場再生と収音の技術に長けているという自負を持っていますが、皆さんの手元で、適切に楽しく使っていただくために、より使いやすいものを用意していこうという思いで、Cear Connectを用意しました」(村山氏)
Cear Connectプラットフォームの戦略として、「耳を助ける」ヒアリング、「空間を彩る」スペシャル、「AIと繋がる」Edge AIの3つの土台を挙げて、それぞれに対するアプローチについて説明した。
またイベントに向けて、Bluetooth SIGならびにクアルコムジャバンの幹部陣からメッセージが寄せられた。
Bluetooth SIGのLori Lee氏は「シーイヤーをはじめ多くのメンバー企業との交流が、実際にAuracast導入へとつながっていることを非常に心強く感じています」とコメント。
特に日本のオーディオ分野での発展においては、GN Hearingオフィスへの導入、Movix川口(映画館)での補聴支援の提供、サントリーホールにおけるソニーの取り組みを事例として挙げ、「今後、普及が進むことで、ライブイベントや公共空間、さらには補聴支援など、より多様な活用が広がっていくでしょう」と述べた。
クアルコムジャバンの中山泰方氏は、製造業や公共機関、業務現場といった産業用途において音響の役割が大きく変化していると言及。
「今回のイベントで示されるQualcomm『Dragonwving』を軸としたEdge AI音響や、Bluetoothを活用した空間向けソリューションは、日本の産業構造や社会インフラと高い親和性を持つ取り組みだと私どもは考えております」とコメント。シーイヤーとのパートナーシップを好意的に捉えている旨を説明した。





































