公開日 2017/03/30 13:38
【開発者に聞く】マランツ「PM-10」は、“録音現場の音”を目指してスイッチングアンプを選んだ
音質担当が新旗艦プリメインを語り尽くす
マランツの旗艦プリメインアンプ「PM-10」(関連ニュース)は、なぜスイッチングアンプを採用するに至ったのか。セパレートアンプを妥協なく1筐体に納めるという取り組みはいかにして実現したのか。その開発秘話をマランツの開発チームに伺った。
■PM-10がスイッチングアンプを採用した理由
ーー 最初に、PM-10が誕生するまでの経緯について伺いたいと思います。スイッチングアンプを搭載するというコンセプトは、どのタイミングで現実のものとなったのでしょうか
澤田氏 従来の旗艦プリメインアンプ「PM-11S3」が2012年夏に完成して、その翌年にはすでにに次期モデルのアイデアを探っていました。当時はまだスイッチングアンプを採用する構想はなく、これまでの延長線上での進化を考えていました。
この時点で次期フラグシップとして検討していたのは、終段無帰還アンプでした。マランツはアンプ開発のテーマのひとつに、スピーカーからの逆起電力の影響を最小化することを掲げて、パワーアンプ最終段のゲインをなるべく小さくすることに取り組んできました。逆起電力に動じない巨大な電源と出力部があれば言うことはないですが、限られたサイズのアンプにおいて、逆起電力への対策は重要です。
通常、パワーアンプのゲインは29dBが必要ですが、1段で29dBを確保するのではなく、2分割してスピーカーを直接ドライブする最終段のゲインをできるだけ低くする。こうすることで、スピーカーからの逆起電力の影響を抑えられます。マランツはパワーアンプ最終段のゲインを徐々に小さくしていきましたが、次期フラグシップでは最終段のゲインを0dBとすること、言い換えれば無帰還バッファーアンプを、目指す考えでした。
ーー はい。
澤田氏 2013年頃からこうしたアプローチに取り組んで、実験も始めていました。何の対策もなしに後段を無帰還にすれば、問題が生じます。無帰還アンプですから、NFB(ネガティブフィードバック)によるいわゆる“お化粧”ができず、聴感上は問題がなくとも、スペック上の歪み率が悪くなります。これらの問題をクリアするためのテストの一環として開発されたのが「HD-DAC1」(関連ニュース)でした。
ーー HD-DAC1は無帰還アンプを搭載したヘッドホンアンプですね。
澤田氏 はい。そしてHD-DAC1で、歪みの問題もある程度クリアできる見通しが立ちました。これが2014年の初めの頃ですね。日本サイドとしては、次期フラグシップはこの方向で行くつもりでした。
しかし、ちょうどこの頃、マランツヨーロッパが、これから先はトラディショナルスタイルのアンプが難しくなってくるだろうから、スイッチングアンプも検討したらどうかという要望を出してきたのです。
これまでのアプローチを転換することになりますが、それならばトラディショナルオーディオを多少なりと改善するというレベルではなく、大きく飛躍させる取り組みを行いたいと思うに至りました。そして、マランツの理想を考えたとき、それに最も近いのは、リファレンスとなっているプリアンプ「SC-7」とモノラルパワーアンプ「MA-9」でした。
当然、これらをそのままプリメインアンプの筐体に納めることはできません。それなら、SC-7とMA-9の内容をプリメインアンプに納めるための手段として、スイッチングアンプを使おうということに至ったのです。
たまたまそのときにM-CR611の企画が進行していて、それが「HD-AMP1」(関連ニュース)へと繋がっていきました。結果的にこれが、PM-10にスイッチングアンプを導入する上でのテストケースになりました。同じグループ内ではデノンがフルデジタルアンプである「DDFA」を搭載したPMA-50を手がけていたこともあり、様々なソリューションを試すこともできました。
ーー 様々なソリューションを検証する中で、Hypexのスイッチングアンプ・モジュールを採用するに至ったということですね。
■PM-10がスイッチングアンプを採用した理由
ーー 最初に、PM-10が誕生するまでの経緯について伺いたいと思います。スイッチングアンプを搭載するというコンセプトは、どのタイミングで現実のものとなったのでしょうか
澤田氏 従来の旗艦プリメインアンプ「PM-11S3」が2012年夏に完成して、その翌年にはすでにに次期モデルのアイデアを探っていました。当時はまだスイッチングアンプを採用する構想はなく、これまでの延長線上での進化を考えていました。
この時点で次期フラグシップとして検討していたのは、終段無帰還アンプでした。マランツはアンプ開発のテーマのひとつに、スピーカーからの逆起電力の影響を最小化することを掲げて、パワーアンプ最終段のゲインをなるべく小さくすることに取り組んできました。逆起電力に動じない巨大な電源と出力部があれば言うことはないですが、限られたサイズのアンプにおいて、逆起電力への対策は重要です。
通常、パワーアンプのゲインは29dBが必要ですが、1段で29dBを確保するのではなく、2分割してスピーカーを直接ドライブする最終段のゲインをできるだけ低くする。こうすることで、スピーカーからの逆起電力の影響を抑えられます。マランツはパワーアンプ最終段のゲインを徐々に小さくしていきましたが、次期フラグシップでは最終段のゲインを0dBとすること、言い換えれば無帰還バッファーアンプを、目指す考えでした。
ーー はい。
澤田氏 2013年頃からこうしたアプローチに取り組んで、実験も始めていました。何の対策もなしに後段を無帰還にすれば、問題が生じます。無帰還アンプですから、NFB(ネガティブフィードバック)によるいわゆる“お化粧”ができず、聴感上は問題がなくとも、スペック上の歪み率が悪くなります。これらの問題をクリアするためのテストの一環として開発されたのが「HD-DAC1」(関連ニュース)でした。
ーー HD-DAC1は無帰還アンプを搭載したヘッドホンアンプですね。
澤田氏 はい。そしてHD-DAC1で、歪みの問題もある程度クリアできる見通しが立ちました。これが2014年の初めの頃ですね。日本サイドとしては、次期フラグシップはこの方向で行くつもりでした。
しかし、ちょうどこの頃、マランツヨーロッパが、これから先はトラディショナルスタイルのアンプが難しくなってくるだろうから、スイッチングアンプも検討したらどうかという要望を出してきたのです。
これまでのアプローチを転換することになりますが、それならばトラディショナルオーディオを多少なりと改善するというレベルではなく、大きく飛躍させる取り組みを行いたいと思うに至りました。そして、マランツの理想を考えたとき、それに最も近いのは、リファレンスとなっているプリアンプ「SC-7」とモノラルパワーアンプ「MA-9」でした。
当然、これらをそのままプリメインアンプの筐体に納めることはできません。それなら、SC-7とMA-9の内容をプリメインアンプに納めるための手段として、スイッチングアンプを使おうということに至ったのです。
たまたまそのときにM-CR611の企画が進行していて、それが「HD-AMP1」(関連ニュース)へと繋がっていきました。結果的にこれが、PM-10にスイッチングアンプを導入する上でのテストケースになりました。同じグループ内ではデノンがフルデジタルアンプである「DDFA」を搭載したPMA-50を手がけていたこともあり、様々なソリューションを試すこともできました。
ーー 様々なソリューションを検証する中で、Hypexのスイッチングアンプ・モジュールを採用するに至ったということですね。
関連リンク
トピック
-
【レビュー】密閉型を再定義、オーディオテクニカの“ウッドヘッドホン”「ATH-AWX7000」を聴く。『TCbA』思想の実力とは? -
JBLの新サウンドバー「Cinema SB580MK2」は“映画館”に迫るサウンド! 末尾に「SB510MK2」のレビューも -
オーディオテクニカの“ド定番”ヘッドホンにマイクが生えた!配信者&ゲーマー向け「ATH-M20xSTS/M50xSTS-WL」実機レビュー -
オーディオテクニカ特設ページ『Audio-Technica Station』リニューアルオープン! -
【割引クーポン有】QCYから「高コスパ」全部入りフラグシップヘッドホン誕生!「H6 Ultra」徹底レビュー -
ソニー新ウォークマン「NW-WM1ZM3 / WM1AM3 / ZX900」速攻レビュー! -
Earfun「Wave Pro X」徹底レビュー! “全部入り”高コスパヘッドホンの実力は?
クローズアップCLOSEUP
-
【レビュー】密閉型を再定義、オーディオテクニカの“ウッドヘッドホン”「ATH-AWX7000」を聴く。『TCbA』思想の実力とは? -
JBLの新サウンドバー「Cinema SB580MK2」は“映画館”に迫るサウンド! 末尾に「SB510MK2」のレビューも -
オーディオテクニカの“ド定番”ヘッドホンにマイクが生えた!配信者&ゲーマー向け「ATH-M20xSTS/M50xSTS-WL」実機レビュー -
オーディオテクニカ特設ページ『Audio-Technica Station』リニューアルオープン! -
【割引クーポン有】QCYから「高コスパ」全部入りフラグシップヘッドホン誕生!「H6 Ultra」徹底レビュー -
ソニー新ウォークマン「NW-WM1ZM3 / WM1AM3 / ZX900」速攻レビュー! -
Earfun「Wave Pro X」徹底レビュー! “全部入り”高コスパヘッドホンの実力は? -
AVIOT初のBluetoothスピーカー「WS-Q1PNK」の“生活を彩るサウンド”を自宅でレビュー -
ヘッドホン加水分解の悩みにサヨナラ! オーディオテクニカの交換用ヘッドバンド「HP-HBM50x」を試してみた -
築23年マンションをリノベ、140型/5.1chの本格ホームシアターに!65型テレビとの2ウェイシアター -
AVIOT完全ワイヤレスイヤホン「TE-W2」&最新ピヤホン「TE-W2-PNK」徹底レビュー! -
スピーカーやアナログプレーヤーの音質アップの方法とは?お金をかけずにスグできる4選 -
オーディオテクニカ「ATH-AL5NC」速攻レビュー!「開放型なのにノイキャン」な新提案に評論家も「これはいい」 -
Astell&Kernの第3世代真空管DAP「A&ultima SP4000T」。最大54通りの音質カスタマイズの使いこなしを探る -
【10%オフクーポン配布中】SOUNDPEATSの“音質重視” 完全ワイヤレス「Air6 Pro」を徹底チェック! -
ゼンハイザー「MOMENTUM True Wireless 5」レビュー。さらに進化した音質&ノイキャンを徹底解剖! -
散歩でも家事でも!ビクター「nearphones」は“ながら聴き”生活の理想的なパートナー -
【動画&レビュー】「こいつは別格!」TCL最新テレビが凄すぎる! 評論家がX11L/C8L/C7Lを本気で見比べた -
Bowers & Wilkins「Px8 S2」を歴戦の評論家たちが高評価する理由とは? -
名エンジニアが思い描いた“自然な音”がそこにある。Grell Audioのヘッドホン「OAE2」を聴く -
ガラス振動板の立役者、GAIT自社製イヤホン/ネックスピーカー「GlaXfi-N01」が高コスパ!実力をチェック -
電流モードアンプ搭載の“弩級ポタアン”Questyle「M18i Max」を聴く -
TCL「SQD-Mini LED」VGP審査員特別賞受賞記念座談会。審査員が語り尽くす「液晶テレビの進化」と、X11L/C8L/C7Lの実力 -
ゼンハイザー「ACCENTUM Clip」は『らしさ』全開の実力機!同社初イヤーカフ型イヤホンを徹底レビュー -
これ7,980円で合ってる? QCY「MeloBuds N65」は現代人のニーズに応える高コスパイヤホン -
“Music First”のスピリッツ息づく。イギリス名門・ARCAMの最新プリメインが秘めるスマートな音楽性を聴く
アクセスランキング
RANKING
10/29 13:22 更新


















