プロジェクト、大阪万博にて“日の丸仕様”のアナログプレーヤーを発表。良質なアナログ製品開発をアピール
オーストリアのアナログブランドPro-Ject(プロジェクト)は、現在大阪・夢洲にて開催中の大阪・関西万博2025の「オーストリアパビリオン」にて、万博特別仕様コラボのアナログプレーヤーを含む製品プレゼンテーションイベントを開催した。
会期も終了が近づく9月24日(水)の大阪は、あいにくの曇り空ではあったが、最高気温も30度程度と、真夏に比べれば大幅に過ごしやすい気候。だが、来場者は20万人超えと、大きな盛り上がりを見せていた。オーストリアパビリオンは、「Compose the future」(未来を作曲する)というテーマを掲げ、五線譜をイメージした螺旋の木造建築で来場者を迎え入れる。
Pro-Jectのプレゼンテーションは、3Fにあるレストランにて開催された。Pro-Jectは1991年にハインツ・リヒテネガー氏が創業したブランドで、アナログプレーヤーを中心に、カートリッジやフォノイコライザーなどの開発を手掛けている。1991年と言えば、音楽リスニングのメインストリームがCDに移り変わった頃。しかし、ハインツさんは良質で安価なアナログプレーヤーに大きな価値を見出し、積極的に製品展開を行ってきた。
ミュンヘン・ハイエンドでも毎年トップクラスの大型ブースを展開しており、600ドル程度の「ファーストチョイス」のアナログプレーヤー「Debut」から、1万ドルクラスのハイエンドターンテーブル「Signature」までラインナップは幅広い。「Debut」シリーズは全世界で累計1億台以上の販売を実現している大ヒットモデルだそうだ。
また近年では世界的なアナログプレーヤーの盛り上がりを受け、アナログプレーヤー(アンプ、フォノイコ内蔵)+スピーカーがひとつのパッケージとなったスターターセット「Colorful Audio System」なども用意している。残念ながら現時点で国内展開はされていないが、「新しいハイファイオーディオファンを増やすこと」、そして「ステップアップのルートを用意すること」にも注力する、グローバルに見ても非常に重要性の高いブランドである。
また彼らはアーティストとのコラボレーションモデルも積極的に展開している。ビートルズの「WHITE ALBUM」からインスパイアを受けた真っ白なアナログプレーヤー、ピンク・フロイドの「狂気」モデル、ローリング・ストーンズ、メタリカ、AC/DC、エルヴィス・プレスリーモデルなど、ロックファンが狂喜するさまざまなコラボを実現。
毎年ミュンヘン・ハイエンドに取材に行く際は、「今年はどんなコラボモデルが登場するのだろう?」とワクワクさせてくれるPro-Ject。今回の万博で初披露されたのは、日本の国旗・日の丸からインスパイアされたであろう大阪万博の記念モデル「Expo Special Edition」である。
ベースとなる「Debut PRO」はベルトドライブ方式で、真っ赤に塗り上げられたプラッターが目を惹く。トーンアームは、オリジナルと違ってS字のユニバーサル型であることも特徴で、“カートリッジを交換して遊びたい”日本のユーザーに向けた特別仕様となっているそうだ。左下にはトグルスイッチで、33と45回転を切り替え可能。カートリッジまでセットとなっており、出力はシンプルなRCA1系統。
Pro-Jectは、「メイド・イン・ヨーロッパ」にこだわっていることも大きな特徴で、熟練した職人による手作業で生み出される。開発拠点はウィーンにおき、金属加工や仕上げのポリッシュなどを含む製造工場は隣国・チェコにあり、徹底したクオリティコントロールにこだわっているそうだ。パーツもウィーンやチェコ近郊で入手できるものを使用し、修理部品なども25年間保持するなど、長く愛用される製品作りにこだわっている。
今回の万博では、Pro-Jectはザルツブルクにある室内楽団「カメラータ・ザルツブルク」の公演もサポートしている。ザルツブルク生まれの作曲家・モーツァルトの楽曲を中心に、約1時間のコンサートを披露。『サウンド・オブ・ミュージック』のマリアが着用していたことでも知られる同地の民族衣装「ディアンドル」のファッションショーも交え、緑と自然豊かなザルツブルクの豊かな文化を紹介した。
トルコ風のメロディを採用した「ヴァイオリン協奏曲第5番」では、今回の万博と同様に、モーツァルトがグローバルな文化からインスパイアを受けて作曲したことを解説。また、『魔笛』の「女王のアリア」をソプラノパートをオーボエに変更して披露するなど、室内楽ならではの親密なコンサートで会場を沸かせていた。
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