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聴き比べやトークなど

角田健一をゲストに迎えた『アナログレコードコンサート』、ゾノトーン「アナログ庵」イベントレポート

季刊・アナログ編集部
2018年10月01日
ゾノトーンブランドを展開する株式会社前園サウンドラボが、都内にある研究所兼試聴室「アナログ庵」で不定期にて実施している「アナログレコードコンサートinアナログ庵」が、2018年9月22日(土)に実施された。

アナログプレーヤーは、「アナログ庵」に常設のトーレンス設立100周年記念の最高峰モデルのPrestige

来場者はほとんど満席となる16名が参加

ゲストは「角田健一ビッグバンド」のバンドリーダーで、作・編曲家、トロンボーン奏者である角田健一さん。「角田健一ビッグバンド」は今年28周年を迎え、多数のCD、SACD、LP作品を世に送り出すとともに、精力的なライブ演奏活動を続けている。

企画進行は、ジャズマンをゲストに迎えたコミュニティーFM「エフエムえどがわ」の番組「日本のJAZZが好き!!」を企画構成した南條廣介さんが務めた。

ゾノトーン「アナログ庵」は、オーディオケーブルなど製品開発のための音決め・開発拠点として設けられ、マルチウェイからフルレンジまで、国内外のさまざまなオーディオシステムが揃えられている。今回は、手間と時間をかけて聴感で入念に調整された、JBLを中心としたマルチウェイシステムで再生が実施された。

ゲストの角田健一さん(右)と、『ファースト・タイム/デューク・エリントン&カウント・ベイシー』を掲げる南條廣介さん(左)

日本のビッグバンドの第一人者である角田健一さんだからこそ語れる、ビッグバンドの変遷といまがたいへん興味深い

オープニングはジャズ・ビッグ・バンド界の2大王者、デューク・エリントン・オーケストラとカウント・ベイシー・オーケストラによるビッグ・バンドの聖典というべき作品と、角田健一ビッグバンド作品の聴き比べ。

空前絶後の交歓セッションを収めたアルバム『ファースト・タイム/デューク・エリントン&カウント・ベイシー』のアナログレコードA面4曲目と、『BIG BAND SCALE/角田健一ビッグバンド』の3曲目にともに収録されている、「コーナー・ポケット」から始まった。今回は、会場の近隣に大きな音を出す特別な許可がもらえたということで、いずれも十分な音量で聴き比べることができた。

楽曲にまつわる背景と音の解説と、音楽鑑賞を交えながら進行

CD/SACDソフトとアナログレコードとを対比させながら、それぞれの魅力を味わった

ジャズバトルの名盤は左右チャンネルに分けられた総勢33名というが、対する角田健一ビッグバンドはレギュラーメンバー17人とリーダーの角田さん。しかし、現代のハイクオリティな録音とナマに肉薄した分厚い音、熱くシャープな演奏を聴かせて、決して名盤に引けを取らなかった。


『BIG BAND SCALE/角田健一ビッグバンド』WQCQ-633

『フォー・ジェイ・ジー〜ジャズジャイアンツに捧ぐ/角田健一ビッグバンド』KTBB-004
続く聴き比べは、『ブルー・トロンボーン/J.G.ジョンソン』と『フォー・ジェイ・ジー〜ジャズジャイアンツに捧ぐ/角田健一ビッグバンド』にともに収録されている「ビー・バップ」で実施。角田さんならではのトークを織り交ぜながら、それぞれの時代背景、録音の方式、さらに演奏を、来場者はワクワクしながら対比して楽しんだ。

角田さんのトークでは、「なかなか全部を聴き直すということはやらないですが、あえてデューク・エリントンを改めて全て聴き直すことで、モダンからスイングへの切り替えのきっかけになりました」とエリントンについて語る。

楽器を始めた頃や、“内助の功” があって米国バークリー音楽大学を卒業できたこと、 “ツノケンバンド” を立ち上げた頃、そして多人数で構成するバンドならではのエピソードとして、コンサート・ツアーで “駅にみんなが揃ったら半分終わったのも同じ” というのも興味深かった。

「角田健一ビッグバンド」の作品や、そのゆかりのアーティストやオリジナル楽曲について、時間の許す限り、CDやアナログソフトを次々とかけていった。


『サバンナ/角田健一ビッグバンド』KTBB-001

『もうひとつの武満徹/角田健一ビッグバンド』KTBB-006
なかでも『もうひとつの武満徹/角田健一ビッグバンド』は、定期公演が平成19年度文化庁芸術祭の優秀賞を受賞したのを記念した作品で、武満徹の映画音楽、うたが、ビッグバンド・ジャズとして奏でられることで、魅惑的かつ斬新な世界を構築しており、ここでかかった「ミ・ヨ・タ」では、ゾクゾクするような感動的な音と演奏を味わった。

『スイング・エクスプレス Vol.1/角田健一ビッグバンド』KTBB-008

『スイング・エクスプレス Vol.2/角田健一ビッグバンド』KTBB-009

『スイング・エクスプレス Vol.1とVol.2/角田健一ビッグバンド』(ライブat紀尾井ホール、バンド結成25周年記念アルバム)では、ライブ録音ということで、スタジオ録音との違い、音のカブリについて、収録環境によって印象が大きく変わることも説明がなされた。来場者は、カブリは気にならず、ライブの方が一体的な雰囲気があってこちらの方が好きという人もいて、好き好きであることが改めて認識された。

新譜アナログレコード『MIXER'S LAB SOUND SERIES vol.3』 SSAR-0036〜37(10,800円、税込)は、角田さんの手元に届いたばかりの出来たてほやほや。販売用が未着だったので購入予約の申し込みをして帰途につく来場者も

和やかかつ感動の印象深さをかみしめながら、ビッグバンドの魅力を堪能しているうち、あっという間に2時間が経過。年末に向けたライブも紹介されたが、すでにほとんど完売に近いそうだ

このほか、角田さんが奥様に捧げた曲「ワルツ・フォー・エリコ」が収録されたアルバム『サバンナ/角田健一ビッグバンド』や、LP『THE GLENN MILLER STORY/グレン・ミラー』から「タキシード・ジャンクション」、LP『AMBASSADOR SATCH/ルイ・アーム・ストロング』から「ローヤル・ガーデン・ブルース」、そして『ビッグ・バンド・サウンド/角田健一ビッグバンド』とかけていった。

コンサート終了の挨拶を行う(株)前園サウンドラボの代表取締役社長、前園 力氏(左から2番目)

角田健一さん(右)と固い握手を交わす、(株)前園サウンドラボの創業者であり代表取締役会長の前園俊彦 氏(中央)

最後に新譜のアナログレコード『MIXER'S LAB SOUND SERIES vol.3/角田健一ビッグバンド』をかける。SACDの『BIG BAND SPECIAL』と同じ内容だが、マルチトラックマスターからのミックスダウンを全曲やり直した33回転・2枚組・180g重量盤LPレコードで、たいへん鮮度が高く、演奏者との距離感がさらに縮まった感覚で楽しむことができた。

終了後には、その場で購入したCD/SACDにサインを入れてもらえて大好評

「ビッグバンドよ永遠に!」をモットーとして積極的に活動するツノケンバンド、角田健一さんのサイン色紙を受け取る前園俊彦氏。「アナログ庵」の室内に掲げられる

●角田さんが率いる「角田健一ビッグバンド」は、日本の伝説のビッグバンド「東京ユニオン」が1989年に解散した時のメンバーを中心に結成され、1990年の4月に新宿のライブハウス「ピットイン」でのライブから活動をスタート。年2回の定期公演を開催し、自身の作、編曲で人気を博している。

現在そして今後のライブ活動や、CDおよびアナログディスクのディスコグラフィーなどは、角田健一ビッグバンドのウェブサイトに紹介(購入も可能)されているので、ぜひ参照されたい。

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