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「ストリーミング配信の最高峰」

IIJ、世界初DSD 11.2MHzストリーミング配信に手応え。「ベルリン・フィルの熱気が伝わる」

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編集部:押野 由宇
2017年09月28日
インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は、DSD 11.2MHzでのライブストリーミング配信を日本時間9月17日2時に開始した。9月27日に、その仕組みや技術的な取り組みを解説する記者説明会が行われた。

IIJでは、ハイレゾ音源のなかで最も自然な音(アナログ音)に近い音とされる「DSD 11.2MHz」フォーマットで収録されたベルリン・フィルハーモニーホールでの演奏会を、ベルリンから東京までライブストリーミングで配信。公演は現地時間9月16日19時に開演され、日本時間9月17日2時よりライブ配信された。

この世界初の取り組みについて、IIJ配信事業推進部 担当部長の冨米野孝徳氏は「IIJでは幅広い活動を行っているが、インターネット事業やIoTといった取り組みの一環としてライブストリーミング配信に着手している」と説明。

冨米野孝徳氏

配信にはKORGが開発した専用ソフト『PrimeSeat』が使用されているが、同社の執行役員 技術開発部部長、大石耕史氏が「PrimeSeatではロスレスの高音質音源をストリーミング配信しているという点が最大の特徴」と解説すると、冨米野氏もPrimeSeatの品質の高さを強調。「桁違いの音の品質を届けている。制作された音楽、より生に近いライブ音源が楽しめる」とアピールした。

大石耕史氏

今回の配信においては、KORGがエンコーダーである『PrimeSeat Broadcaster』を新開発している。従来は同社の『LimeLight』で試験的に配信をしてきたというが、このソフトがDSD 2.8/5.6MHzの対応だったのに対し、PrimeSeat BroadcasterではDSD 11.2MHzまで、PCM 384kHz/24bitまで、そしてWindows/Macに両対応するという。

ベルリン・フィルハーモニーホールで録音された音源を、PrimeSeat Broadcasterで変換し、ロンドンのIIJサーバにアップ。ロンドンを経由することで長距離・高スループットを安定的に実現するとともに、配信サーバのチューニングを行い、通常通信の倍程度のスループットを確保。日本への11.2MHz×2ch、つまり22.4Mbps以上のスループットを実現したという。

ストリーミング配信の構成イメージ

またDSD 11.2MHzの配信から、システム内でDSD 5.6MHzおよびPCM 96kHz/24bitの2つのストリームを生成。ロンドンの配信サーバーからは計3つのストリームが提供されている。これは「低帯域の通信環境でも受信可能なストリーミングを設けることで、より多くの方にハイレゾを楽しんでいただけるようにした」ため、と冨米野氏は説明する。

ハイレゾストリーミング再生アプリ「PrimeSeat」のバージョンは1.6で、このバージョンからオーディオエンジンを刷新している。信号処理ブロックの高速化や、各社のDACとの互換性を向上させており、大石氏は「音が良くなっている」と紹介した。

ベルリン・フィルの熱気までが伝わる

DSD 11.2MHzでの配信について、IIJ配信事業推進部 西尾文孝氏は「現在のストリーミング配信の最高峰」と解説。会場ではAACフォーマットとの聴き比べが行われ、「AACに対してホールの広がり、ライブの生っぽい雰囲気が感じられると思う。こうしたライブの空気感を伝えるにはハイレゾでの配信が重要なポイントになる」と、フォーマットでの聴こえ方の違いについて説明した。

西尾文孝氏

また、説明会にはクラシック専門のインターネットラジオ局を運営するOTTAVAの取締役ゼネラルマネージャー斎藤 茂氏も登壇。ベルリン・フィルの演奏について「気持ちの強いオーケストラ。世界最高のオーケストラでもミスすることはあるが、そこからの巻き返し、熱量がすごい。ハイレゾだとこの“熱気“が伝わる」と印象を述べた。

斎藤 茂氏

ベルリン・フィルでは『デジタル・コンサートホール』というコンサート映像を配信するサービスを実施しているが、そこでは収録に60本程度のマイクが使用されているという。それに対し、今回のDSD 11.2MHzで使用されたマイクは2本だけとなる。ステージと観客席1列目との間、5〜6mの高さに配置されたマイクは、ホールを知り尽くしたマイスターがセッティング。「10cmもズレれば音が変わってしまう」と西尾氏は難しさを語る。

試聴にはOPPO「Sonica DAC」、SONY「TA-A1ES」を用意

スピーカーはSONY「SS-AR1」

今後の配信は、日本時間で12月4日4時からベルナルド・ハイティンク指揮『マーラー:交響曲第9番ニ長調』、2018年2月25日3時からサー・サイモン・ラトル指揮『ドヴォルザーク:スラブ舞曲op.72』ほか、4月14日3時からキリル・ペトレンコ指揮『リャードフ:魔法にかけられた湖』ほか、6月21日3時からサー・サイモン・ラトル指揮『マーラー:交響曲第6番』を予定している。

すべて今回のDSD 11.2MHz配信と同様、マイク2本のワンポイントステレオで収録。ベルリン・フィルが配信を前提とした組んだプログラムとなっている。

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