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11.2MHz対応も視野? キーマンたちが語るDSDストリーミング配信「PrimeSeat」実現の背景と今後の展望

2016/03/25 山本 敦
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国内ではハイレゾの認知が徐々に拡大する中、昨年はApple MusicやGoogle Play Music、AWAなど定額制の音楽配信が相次ぎスタートして、ストリーミング型の音楽配信サービスに対する注目も日増しに高まりつつある。今回はDSD形式によるハイレゾの音楽ストリーミングをいち早く実現した「PrimeSeat(プライムシート)」のサービスに迫ってみようと思う。

PrimeSeatの公式ページ。DSDでのハイレゾストリーミング配信を無料で聴くことができる

■世界初、DSD形式によるストリーミング型のハイレゾ配信が誕生した理由とは

「PrimeSeat」は昨年の12月23日からスタートした、最高DSD5.6MHzのハイレゾ音源を生放送のライブやオンデマンド、インターネットラジオの形で無料提供するストリーミング型の音声配信サービスだ。

PrimeSeatのサービス形態

運営元のインターネットイニシアティブ(IIJ)が、ソニー、コルグ、サイデラ・パラディソの4社とともに構想を立ち上げ、2015年に公開実験を含むトライアルを積み重ねながら、いよいよ昨年末から商用サービスとして正式にローンチした。DSD形式で生放送を含むストリーミング型のハイレゾ音楽配信が商用化された機会はこれが世界初になる。

PrimeSeatの配信コンテンツを楽しむためには固定インターネット回線、およびIIJのホームページからダウンロードできるプレーヤーソフト「PrimeSeat」をMac、またはWindowsのパソコンにインストールする必要がある。

インターネット環境は下り12Mbps以上の実効通信速度が確保できることが条件とされているが、あとはパソコンさえあれば音楽ストリーミングの聴取は楽しめる。より高品位なサウンドを味わいたい場合は、これにハイレゾ対応のUSB-DACやヘッドホン・イヤホン、スピーカーなどを加えて聴くのがおすすめだ。

今回はIIJでPrimeSeatのサービスを担当する、サービスオペレーション本部 サービス企画推進室長の冨米野(フメノ)孝徳氏、プロダクト本部 アプリケーション開発部 運用技術課 シニアエンジニアの西尾文孝氏に、サービス誕生の背景や配信まわりのテクニカルな運用面について話をうかがった。

IIJでPrimeSeatのサービスを担当する冨米野氏

西尾氏。以前はソニーに在籍しSACD起ち上げにも深く関わってきた人物だ

■DSDライブ配信サービスが実現した要因とは?

はじめにPrimeSeatのアイデアが芽吹いたきっかけからIIJの冨米野氏に聞いた。「IIJでは2010年から、協賛しているクラシックコンサートのイベント『東京・春・音楽祭』の模様を映像で配信するサービスを行ってきました。2014年にはH.265/HEVC形式による高画質ライブ中継を世界に向けて配信できたことで一つの目標を達成して、次は何をやろうかと考えた時にふと、『クラシックのコンサートなのだから、これはぜひ“いい音”で多くの方々に聴いてもらいたい』と考えたことから、音声単体での高音質配信のアイデアが生まれました」

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