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AKL スペシャル・ハイクラス・シリーズ

クリプトンHQM、“ハイレゾ音源のさらなる高音質化”を目指した赤坂工芸の2作品を配信

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編集部:小澤貴信
2016年07月27日
クリプトンは、同社のハイレゾ配信サイト「KRIPTON HQM」にて、赤坂工芸音研のハイレゾ音源2タイトルを、「AKL スペシャル・ハイクラス・シリーズ」として7月30日より配信する。

・『EAST OF THE SUN
 型番:AKL-032SHS
 配信フォーマット:5.6MHz DSD、96kHz/24bit WAV
 価格:DSD 7,500円(税込)、WAV 6,900円(税込)


・『STARDUST
 型番:AKL-022SHS
 配信フォーマット:5.6MHz DSD、96kHz/24bit WAV
 価格:DSD 7,500円(税込)、WAV 6,900円(税込)


上記2作品は、赤坂工芸音研の代表である石渡義夫プロデューサーが、ハイレゾ音源のさらなる高音質化を目指して、妥協を廃したマスタリングを実施。さらには音源のコピー回数を最小まで減らす、圧縮を廃すなどマスターのクオリティを維持することを徹底しておこなった。こうした取り組みを行った同レーベルの音源を「AKL スペシャル・ハイクラス・シリーズ」と名付け、今後も展開を行っていく。

赤坂工芸音研の代表である石渡義夫プロデューサー

また、今回の取り組みの結果として、上記2作品はKRIPTON HQMで初となる5.6MHz DSD(従来は2.8MHzまで)、および非圧縮のWAV(従来はロスレス圧縮のFLAC、ALACのみのの取り扱い)での配信となる。

今回配信される音源は、いずれも赤坂工芸音研にて石渡氏が録音を手がけた『EAST OF THE SUN』と『STARDUST』の2タイトルとなる。

『EAST OF THE SUN』は、ボサノバの名曲を、ベテランサックス奏者の杉原淳を中心にギター柳沢伸之、ピアノ吉田賢一、ベース山村隆一というメンバーによって円熟の演奏で聴かせる。『STARDUST』はすでにHQMでも配信されている同レーベルのベストセラー作品をリマスタリングしたもの。なお、FLACで配信中の従来バージョンは、このスペシャル・ハイクラス・シリーズへと更新される。

本日開催された発表会には、石渡プロデューサーが登場。AKL スペシャル・ハイクラス・シリーズにおける取り組みについて説明した。

今回の取り組みの発端となったのは、石渡氏が「オーディオはグレードアップしていくことが醍醐味だが、それは投資的にも限界がある。そしてオーディオファンがシステムをグレードアップしたいと思うのは、ソースの情報を最大限引き出したいと考えるからだ。それなら、ソース自体をアップグレードできないだろうか」と考えたことによるという。


石渡氏はハイレゾの可能性を感じていたが、さらに突き詰めて同社のハイレゾ音源を聴いていった結果、マスター音源に比べると情報量が落ちているのではと感じたという。ハイレゾ化したオリジナルマスター音源を、より原音に近づけた形でユーザーに届けるためにいったい何を行えばよいのか、徹底的なヒアリングを重ねた結果、情報量の欠落は、コピーを重ねたり圧縮を行ったりすることによるものであると結論づけた。

そこで今回のプロジェクトでは、いかにコピー回数を減らすかということをひとつのテーマとしたという。具体的な施策としては、マルチチャンネルのマスター音源から2chのマスター音源へミックスダウンを行う際に、直接WAVへ変換。これをそのままマスターのWAVファイルとして、納品のための一度のコピーだけを経て、配信を行うという方法をとった。

さらに、納品のための1度のコピーについても、その際のコピー先のUSBメモリーによって音質が変化してしまうことに注目。様々なUSBメモリーの聴き比べを行った結果、プラスチック製よりメタル製のUSBメモリーのほうが音が良いことがわかったという。結果、今回は音源の納品にメタル筐体のUSBメモリーを用いた。

そして圧縮を回避するために、原理的には情報量のロスがないロスレス圧縮方式であるFLACを使うことも避け、ミックスダウンを行った際のWAVのままで配信を行うことにした。

ここまで行ってもまだ不満を感じた石渡氏は、本来マスター音源が持っていた生演奏の雰囲気をなんとかハイレゾ配信にまで持ち込めないかと考えた。そして、マスター音源のマスタリングに改めて着目したという。

特に今回配信される『STARDUST』はすでにハイレゾ配信が行われている作品であり、改めてマルチチャンネルのマスター音源にまで遡り、生演奏らしさを感じさせる楽器本来の響きをさらに引き出せるようリマスタリングを行ったという。

クリプトン 渡邉勝氏

このリマスタリングは、例えばピアノならば12トラック中3チャンネルを用いているので、まずはその3トラックを取り出して吟味。各マイクのバランスやEQ、コンプレッションを詳細に追い込んで、より生音らしい雰囲気を引き出していったという。

発表会に登場したクリプトンのオーディオ事業部部長である渡邉勝氏も、このリマスタリングの効果を絶賛していた。

石渡氏は新録作品である『EAST OF THE SUN』の録音についても言及。本作は赤坂工芸音研のわずか9.5畳のスタジオで、あえてカルテットの演奏を一発取りした。これは、楽器どうしが共鳴することで本当にジャズらしいサウンドが生まれるという、ピアノを務めた吉田賢一氏の助言によるものだったという。

通常なら一発取りでも各パートでブースを設けるところを、仕切りのない9.5畳のスタジオに4人が入って演奏を行ったため、当然各マイクが他の楽器の音も拾ってしまう。従って、S/Nの確保には非常に苦労したとのこと。「しかし、演奏が非常によかったので、何とかものにしたいと試行錯誤しました」と石渡氏。

渡邉氏も「通常だったらあり得ない録音方法ですが、これを非常にHi-Fiなサウンドでまとめられています。これは石渡氏だからこそ可能な録音でしょう」とその感想を語っていた。

録音に用いた機材についても、ボリュームを通さずに位相差で音量を調整するというマイクプリを特注したり、オーディオグレードのケーブルを用いたりするなど、“スペシャル・ハイクラス”らしいこだわりで挑んだという。

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