11.2MHz DSDなどハイレゾ最新スペックに対応

マランツ、クラスDアンプ採用のUSB-DAC/プリメイン「HD-AMP1」 。ESS製DAC初採用

公開日 2015/11/04 14:00 編集部:小澤貴信
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ちなみに、同グループのブランドであるデノンが「DRA-100」(関連ニュース)などで採用したDDFAも検討したのだという。しかし「HD-AMP1のテーマはスイッチングアンプを開発することでなく、ハイエンドHi-Fiと同等のアンプをコンパクトな筐体で実現することでした」と澤田氏は話す。結果として、DDFAにおけるフルデジタル構成の利点も認めつつも、本機ではプリとパワー部の大部分をアナログ・ディスクリート構成としつつ、小筐体でパワーを獲得するために終段のみスイッチングアンプという構成が採用された。また、フルデジタル構成におけるデジタルボリュームのビット落ちの問題も念頭にあったとのこと。

試聴室に設置されたHD-AMP1

澤田氏はHD-AMP1のアンプ構成について、「いわゆるアナログのプリメインアンプの、最後の部分だけスイッチングアンプを採用した」と説明。「パワーアンプがスイッチングアンプ・モジュール」というよりは、「パワーアンプアンプの終段だけスイッチングアンプ・モジュール」という構成なのだという。このような構成が採用された背景には、前述のような開発思想と共に、Hypexのスイッチングアンプ・モジュールならではの特徴もあった。

HD-AMP1とM-CR611の回路構成の比較図

「今回採用したHypexのスイッチングアンプ・モジュールは、ゲインをほとんど持っていないのです。ですから、プリアンプとパワーアンプの電圧増幅段を併せ持つくらいのゲインをその前段に持っていないと、ドライブできないのです。これは逆に言うと、マランツが1番得意なところをたくさん活かせるということでもあります」(澤田氏)。

プレゼンでは、マランツのDAC内蔵アナログアンプ「PM7005」と構成を比較。PM7005のDACはシーラス・ロジック製で、I/V変換は必要ない。そして、プリ部もパワー部もアナログアンプで構成されている。

HD-AMP1とPM7005の回路構成の比較図

一方でHD-AMP1は、実際にはパワーアンプの前段部までがアナログで、最終段のパワーデバイスのみがスイッチングアンプとなる。基本的な考え方としてアナログアンプと同様とのこと。

そしてパワーアンプ終段に至るまでのアナログ回路については、マランツの根幹技術であるHDAM回路が使える限り採用された。HDAM回路はご存じの通り、ハイスピード・ローノイズ・ローディストーションを持ち味とするマランツ伝統のディスクリート回路。HD-AMP1では「I/V変換回路」「ポストフィルター」「フルディスクリート・プリアンプ」にHDAMが、アナログ・インプットバッファーにHDAM-SA2が用いられている。澤田氏は「HDAMはディスクリート回路ですから、ケース・バイ・ケースで様々な構成が取れ、最適なチューニングもできます。この点も強みです」と述べた。

アナログオーディオ部には独自の高速ディスクリート回路「HDAM」を随所に採用

しかしディスクリート回路であれば、部品点数も多くなる。よってコンパクトな筐体のHD-AMP1の中でアンプ回路を全てディスクリート化するのは難しく、ある程度はオペアンプを使っているとのこと。しかし「メインストリームはHDAM回路」と澤田氏は胸を張る。

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  • ジャンルプリメインアンプ
  • ブランドMARANTZ
  • 型番HD-AMP1
  • 発売日2015年12月上旬
  • 価格140,000円(税抜)