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公開日 2025/05/30 15:56
「FM放送の魅力を再発見できる製品」

アキュフェーズ、感度やSN比をさらに高めたFMチューナー「T-1300」

編集部:成藤正宣

アキュフェーズは、長年培ってきたアナログ高周波技術と先進のデジタル・テクノロジーを融合したFMステレオ・チューナー「T-1300」を6月より発売する。価格は495,000円(税込)。



「T-1300」


2018年に発売した「T-1200」の後継に位置づけられるFMチューナー。以前にも増して部品入手が困難という状況の中、7年の期間をかけて開発し、感度やSN比を約4dB向上、アナログフロントエンドの性能向上なども実現しており、FM放送の魅力を再発見できる製品に仕上げたとする。


アンテナで受信した電波を中間周波数(IF)信号へと変換するフロントエンドには、前モデルから引き続き「2段復同調回路」を採用。2つの同調回路を結合した副同調回路を高周波増幅器の前後に配置することで、混変調/ブロッキング現象などの原因となる妨害信号を徹底的に排除し、感度/選択度を高めた。


IF信号を作り出すミキサーも「ダブルバランスドミキサー」を採用し、妨害信号の発生を極力抑えてFM信号の純度を向上。また、第一IF周波数に9.216MHz、第二IF周波数に3.072MHzという独自の周波数を用いたダブルスーパーヘテロダイン方式を採用することで、D/Aコンバーターの能力を最大限に発揮させるという。



内部構造


IF変換に使用する局部発振器にはDDS(Direct Digital Synthesis)を採用。水晶発振器の出力を分周して作り出したデジタル信号で正弦波データを読み出し、D/Aコンバーターでアナログ波形を作り出すため周波数変調成分が発生せず、SN比の極めて高い純粋な信号を生成できる画期的な回路だとしている。


フロントエンドからのIF信号はA/Dコンバーターでデジタル化し、以降の処理をフルデジタル化することで性能/特性を大幅に向上。ビルや山などからの反射波の影響を抑えるマルチパス・リダクション(MPR)機能や、低歪/低雑音のデジタルFM復調方式も搭載した。混信やノイズの影響を回避するための、6段階の可変IF帯域フィルター機能も装備する。


ステレオ復調には、独自開発のDS-DC(Direct Synthesis-Double Cancellation)方式を採用。DSPを用いてパイロット信号の直接合成処理とクロストークの二重打ち消し処理を行い、優れたチャンネル・セパレーションを実現した。


DACチップにはAKM「AK4490REQ」を選定し、前モデルと同様の2個のDACを並列接続して特性を向上させるMDS変換方式を採用する。D/A変換に重要な特性を大幅に高めており、一般的なΔΣ型D/Aコンバーターでは解消が難しい出力信号にまとわりつく微小レベルの雑音も同時に低減できるとする。


これに加え、DAC出力部に新規設計のローパスフィルター「Direct Balanced Filter回路」を搭載。最適化したカットオフ周波数とフラットな通過域特性によって位相回転を最小限にとどめており、厳選した素子と相まって優れた音楽再生を実現するという。


アナログ出力はライン/バランスの2系統を装備。バランス出力はスイッチ操作で極性切り替えにも対応する。デジタル出力として同軸デジタル端子も1系統備える。



背面


マニュアル選局機構として、独自のパルス・チューニング方式を採用したチューニングノブを搭載。受信可能な周波数範囲は76 - 95MHzで、FM補完放送(ワイドFM)にも対応する。受信周波数や設定を20局分記憶できるステーションボタンも配置する。



パルス・チューニング方式では、ノブと共に回転するディスクのスリットが検出器を通過することでパルスを生み、そのパルスをカウントして同調周波数を制御する


電波の受信状態やマルチパス(反射波)の影響を確認できるメーター、選局時の耳障りなノイズを回避するミューティング回路、ステレオ/ブレンド/モノラルの3つの受信モード、過大なアンテナ入力を減衰させるアッテネーターなどを搭載。赤外線リモコン「RC-440」も付属する。



信号状態を示すメーターを配置


消費電力は20W。外形寸法は465W×151H×406Dmm、質量は13.1kg。上述のリモコンのほか、電源ケーブル(2m)とオーディオケーブル「AL-10(1m)」が同梱する。


 

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