公開日 2021/06/28 06:45

“音質重視派”に推薦! 最新版「Audirvana Studio」は再生ソフトの“核”を磨き上げた決定版

【特別企画】ヘッドホン&スピーカー再生でテスト

■TEACの「UD-701N」を中心に、スピーカーとヘッドホンで音質をチェック

Audirvana Studioの再生クオリティのチェックは、TEACのUSB-DAC/ネットワークプレーヤー/プリアンプ「UD-701N」とパワーアンプ「AP-701」に、B&Wのブックシェルフスピーカー「706S2」を組み合わせて行った。

今回の試聴システム。Audirvana StudioをインストールしたWindowsPCに、TEACの「701シリーズ」、B&Wの「706 S2」を組み合わせ

試聴ソースには、スティーヴィン・ウィルソンがリミックスしたYESの『Fragile(邦題:こわれもの)』から「Roundabout」(FLAC 96kHz/24bit)と、ギタリストジュリアン・レンジの『Arclight』から「Nocturne」(FLAC 96kHz/24bit)の音源を使用。いずれも現代的な曖昧さのない音作りが特徴だ。またTIDALからはボン・イヴェールの2019年発売の『i,i』を必要に応じて参照している。

なんてことのない普通のノートPCをUD-701NとUSB接続し、Audirvana Studioで音楽を聴くと、PCをオーディオシステムに組み込む懸念を吹き飛ばして余りある、充実した再生音が得られる。絶対値として、何かしら不満を覚えるようなところはない。

TEACの「UD-701N」はUSB-DACとしてもネットワークプレーヤーとしても利用できる

それでは、他の再生ソフトと比較してみるとどうだろうか。ということで、今日の再生ソフトの代表格として、JRiver Media CenterとRoonの再生音とも比較してみる。

明るい高域と量感のある低域による聴き応えの良さがあるJRiver Media Center、全体的に淡白ながら低域の躍動感が印象的なRoonに対し、Audirvana Studioは磨き込まれた一音一音の存在感と、空間の透明感が際立つ。高度な解像感、情報量、空間表現力、曖昧さのない引き締まった低音など、Audirvana Studioからは、三つの中で最もオーディオ的な素性の良さが感じられる。

PCオーディオの文脈ではヘッドホン再生も重要であることを踏まえ、UD-701NとPHONONのヘッドホン「SMB-01L」の組み合わせでも聴いてみた。

「UD-701N」をヘッドホンアンプとして使用。ヘッドホンにはPHONON「SMB-01L」を組み合わせ

SMB-01L自体は、厚みのある中低域とそこまで出しゃばらない高域によって、音楽鑑賞用として優れたヘッドホンという印象だが、Audirvana Studioとの組み合わせでは中低域が適度に引き締まって帯域バランスがフラットに近づき、元々優秀な解像感や緻密な空間描写にも磨きがかかる。Audirvana Studioのはっきりとした音質傾向はヘッドホン再生でも大きな効果を発揮するため、よりクリティカルなヘッドホンリスニングを求めるユーザーにおすすめしたい。

Audirvanaは元々音質面で高い評価を受けてきたソフトであり、最新版であるAudirvana Studioでも優れた再生クオリティを存分に味わうことができた。また、ソフト側でマニアックな設定を突き詰める必要なく優れた再生音が得られるのは、「PCを弄りたいのではなくいい音で音楽を聴きたい」多くのユーザーにとって実に喜ばしい点である。

なお、Audirvana Studioは出力先としてUPnP/DLNA対応のネットワークプレーヤーを使用することも可能(DLNAの「プッシュ再生」機能)。例えば今回のシステムでは、手元のPCでAudirvana Studioを使いつつ、ネットワークで繋がったUD-701Nから音楽を再生するということが可能になる。この機能の存在により、Audirvana Studioと組み合わせる機器は必ずしもUSB-DACに限定されず、上手に活用することでシステム構築の自由度は向上する。

Audirvana Studioの「プッシュ再生」機能を用いることで、UD-701NをUSB-DACではなく、ネットワークプレーヤーとして使用することもできる

「ネットワーク」に、UPnP/DLNAに対応するヤマハのAVアンプが表示されている

■再生ソフトの核となる部分を丹念に磨き上げ、高品位な再生を実現する

ローカルとクラウドの音源を真に統合し、「聴くだけにとどまらない音楽体験」をもたらすRoonが2015年に登場したことで、PCの再生ソフトに求められるハードルは一気に上がった。単に高機能・多機能というだけでは駄目で、Roonとの明確な差別化が求められるようになった、とも言い換えられる。

多種多様な設定を駆使して高音質再生を突き詰めるもの、ユーザーの志向に縦横無尽に応えるライブラリ構築に活路を見出すもの、いろいろな方向性があるなかで、Audirvana Studioのアプローチは、ある意味でいたってシンプル。「ローカルのライブラリやストリーミングサービスから聴きたい曲をスムーズに見つけ、高品位に再生する」というものだ。

再生ソフトの核となる部分を丹念に磨き上げ、ユーザーの手を煩わせない形で提示するAudirvana Studioは、再生ソフトの高機能路線やマニアック路線が進行するなかでこそ、その存在感が際立っている。



(提供:Audirvana Studio)

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