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公開日 2019/09/18 09:38

<世界のアンプブランド>AUDIO NOTE:「まず音楽ありき」を基本姿勢に製品開発に取り組んできた名門

「銀」を用いた製品群で世界の愛好家の耳目を集める
石原 俊
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写真左がプリアンプG-1000(¥7,538,400/8%税込)。写真右がモノラルパワーアンプKagura(¥14,536,800、ペア/8%税込)
●ブランドの成り立ちと歴史
「銀」を用いた製品群で世界の愛好家の耳目を集めた

オーディオ・ノートは近藤公康が1976年に創業したブランドである。当初製造したのは4N純銀線巻昇圧トランスで、主に海外の市場で大きく評価された。それ以来、銀は同社のトレードマークのような存在となり、コイルが銀線のMCカートリッジや、線材が銀のケーブルなどを発売して世界のオーディオ愛好家の耳目を集めた。

AUDIO NOTEブランドの歴史

現在の同社の製品群の礎となったのが、1989年に発表した「ONGAKU」というステレオパワーアンプである(セレクターとボリュームを有しているが、利得が高くないことから同社ではパワーアンプに分類している)。

このモデルは外洋クルーザーに取りつけるために制作した特注品を一般化したもので、極めて贅沢な作りになっていた。終段は大型直熱三極管211のシングル。銀素材が随所に投入されているのが凄い。純銀巻線出力トランスや純銀配線材SSW(Silk Silver Wire)や純銀箔コンデンサーといったパーツは全て自社製で、回路はひとつひとつ丁寧に手配線されていた。

近藤公康は2006年にラスベガスで行われたCESで客死してしまったが、社業は残されたスタッフが引き継ぎ、現在でもその遺志を引き継いでいる。

●ブランドの技術背景
銀や直熱三極管をより安全かつ高度に用いる

近藤の死後、残されたスタッフが行ったのはカリスマを失ったことによるイメージダウンを最小限に抑えることだった。そのためにはサウンドの傾向を変えずに、さらなるクオリティアップを図らなければならない。彼らは銀という素材や、直熱三極管へのこだわりを捨てることなく、より安全で安心して使うことのできる製品作りを行う一方で、さらなる高みにまで登りつめることを目指した。

最高級真空管式プリアンプG-1000に搭載されている自社製のアッテネーターは新体制の成功を雄弁に物語っている。これは人工衛星にも搭載される超精密抵抗器をローターリースイッチに実装し、銅製のケースに収めたもので、筆者がこれまでに目にしたものの中でも突出したスグレモノだ。銀へのこだわりはより深化しており、最高級パワーアンプ「Kagura」は配線材が全て銀製である。しかも銀線を撚って、シルクの絶縁体を被せ、それをジャケットで覆うという念の入れようである。段間コンデンサーは自社製の電極に銀箔を使用したもので、制振処理がなされている。出力トランスの線材も銀で、ひとつひとつ丁寧に自社生産を行っている。高価格だが、納得のいく製品作りである

●代表モデルのサウンド
名演奏の真相を明らかにしてくれるアンプ

オーディオ・ノートの試聴室でKaguraの音に接したのは鮮烈なオーディオ/音楽体験だった。

その時はB&Wの801Dでメータ/ウィーン・フィルによるマーラー2番のLPの冒頭を聴いたのだが、通常のエレクトロニクスでは表現できない精妙なダイナミクス表現がなされた。低弦の恐ろしげな動きがリスニングポジションに襲い掛かってくるかのようだった。

名演奏の真相をここまで明らかにしてくれるアンプを、私は寡聞にして知らない。月並みな言い方だが、究極の真空管アンプだ。

Departureのサウンドも衝撃的だった。あの時はYGアコースティックのSonja2でパーヴォ・ヤルヴィ/N響による『展覧会の絵』を聴いたのだが、通常の再生では聴き取ることができないディテールを連発したのには心底驚いた。また、解像度は極めて高く、管打楽器奏者の顔が見えるようなイリュージョンすら感じた。何度も言うが、高いが凄い。




●開発者からのメッセージ
(株)オーディオ・ノート チーフデザイナー
廣川嘉行 氏

(株)オーディオ・ノート チーフデザイナー 廣川嘉行 氏

オーディオ・ノートの「美しく生き生きとした音世界」の根底にあるのは、音楽への深い愛情と敬意です。音楽が持つ美しさや楽しさ、崇高さや切なさ、その魅力を十全に引き出したい。製品づくりにおける探求心や想いは、ここから始まります。

そのためには私たち自身が回路理論はもちろん、音楽に対する見識や深い愛情を持つことが非常に重要と考えます。様々な音楽ジャンルの魅力を引き出すため、数カ月から1年にもおよぶ慎重なリスニングテストを経て生み出される製品は、真に音楽家が表現したかった事を忠実に再生します。

また、工業製品としての高い品質を確立することで、「MADE IN JAPAN」という信頼性を伴った製品を世界中に届け続けています。


(石原 俊)
本記事は季刊・オーディオアクセサリー 174号からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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