ヴィンテージスピーカーと現代のアナログが溶け合うカフェ。Fender Cafe下北沢店が本日オープン
2026年7月3日、数々の音楽カルチャーを紡いできた街・下北沢に、新たな注目のカフェスポット「Fender Cafe Shimokitazawa(フェンダー カフェ シモキタザワ)」がオープンする。
その名の通り、世界的ギターブランドのFender(フェンダー)が手がける店舗で、同ブランド初の独立型カフェとなる。オープンに先駆け、プレス&関係者向けのイベントが開催されたので、そこで公開された店内の模様をレポートしていこう。
フェンダーの豊かな世界観をカフェに
店のコンセプトは、フェンダーが持つ音楽の豊かな世界観と、カリフォルニアのコーヒーカルチャー・スピリットの融合。さらに店内音響システムを、銀座のセレクトオーディオショップ「サウンドクリエイト」が監修しているのも、PHILE WEB的に見逃せないポイントだ。音楽やカフェ文化へのリスペクトだけでなく、“オーディオ愛”も溢れる空間となっている。
なお、プレスイベントが開催された6月30日という日付は、3年前に原宿に誕生した世界初のフェンダー旗艦店「Fender Flagship Tokyo(フェンダー フラッグシップ トウキョウ)」のオープン日でもあった。両店舗の運営を担当する株式会社ZENSEの代表取締役・高橋一平氏は、「原宿で最初の種を蒔いてからちょうど3年経った今、下北沢で再び新しい種を蒔くことができて感慨深い」と語った。
サウンドが日常に溶け込む場所を
フェンダーの名を冠したカフェは、原宿の「Fender Flagship Tokyo」内に併設オープンしている1号店があり、今回の「Fender Cafe Shimokitazawa」は2号店となる。しかし、カフェだけで独立した路面店として展開するのはこれが初めてだ。
ギターの世界トップブランドであるフェンダーが、なぜ今、下北沢に新たなカフェを開いたのか。「決して単なる思いつきや、一時的なブランディングというわけではありません」と、高橋氏は切り出した。そこには「現在の音楽業界に強力な追い風が吹いている」という背景がある。
高橋氏は「今は人類史上、最も音楽と共に生きている時代」とし、国際レコード産業連盟(IFPI)が発表した「Global Music Report 2026」(2026年3月)のデータについて説明。それによると、世界の音楽売上げは2014年に131億ドルに落ち込んだものの、そこから11年連続で成長を続け、2025年には317億ドルと過去最高を更新し続けている。
さらに、有料ストリーミングの利用者数は世界で8億3,700万人を突破し、同時に2025年のライブ年間動員数は1億9,500万人と過去最高を記録。「オンラインでの手軽なリスニング」と「現場でのリアルな音楽体験」が同時に伸びているのだ。
また、同IFPIが2023年に26カ国・43000人を調査したデータによれば、1人あたりが音楽に費やす平均時間は週に20.7時間、さらに約7割の人たちが『音楽は心の健康に重要だ』とも回答している。
「もはや音楽は一部の熱狂的な愛好家だけのものではなく、8億人の人たちがいつでもどこでもアクセスできる『地球規模のインフラ』へ転換したと言えるのではないか。これにより、CDのような物理メディアを所有していた時代と比べ、はるかに多くの人がはるかに長く、音楽と暮らしている。ならば、そんな音楽がもっと日常に溶け込む場所を作りたい。それがこのカフェをオープンする理由です」(高橋氏)
さらに同氏は、フェンダー創業者のレオ・フェンダーが遺した「アーティストは天使であり、私たちの仕事は彼らに飛び立つための翼を与えること」という信念を引用し、「下北沢は日本の多くの“天使たち”が巣立った街。そんな音楽と関わりの深いこの地にカフェをオープンできることを、嬉しく思います」と語った。
伝説的スピーカー「RCA LC-1」とLINN「LP12」が融合
「Fender Cafe Shimokitazawa」のコンセプトは、「Good Coffee, Good Vibes」。「音楽文化を日常のライフスタイルに取り入れることで、より充実したミュージックライフスタイルを楽しむ場所になること」を目指している。
その思想を実現するために高橋氏がまずこだわったのが、店内の「音響システム」だった。この重要なクオリティコントロールを担ったのが、オーディオファンにはお馴染み、銀座のセレクトオーディオショップ「サウンドクリエイト」だ。
カフェというオープンスペースでありながら、ここにマウントされているのは、一般的な店舗向けPAシステムではない。店内の主役に据えられたのは、伝説のスタジオモニター「RCA LC-1」。L/Rの各チャンネルが、オープンキッチンを左右から囲うように、堂々と鎮座している。
そう、米RCA社のLC-1といえば、フェンダー創業と同時代の1940年代に誕生し、かのエルヴィス・プレスリーと縁が深いスピーカー。エルヴィスが1956年のRCA初期セッションで、自らの録音のプレイバックを聴くために使用したという銘機である。「Fender Cafe Shimokitazawa」には、そんな圧倒的な存在感を放つスタジオモニターが、現代のカフェ空間に贅沢にインストールされているのだ。
そして、このスピーカーと繋がるソース機器側もまた一流。一般的にこういった飲食店舗で使うアナログプレーヤーというと、DJモデルが選ばれることが多いが、ここにあるのはLINNの銘機「LP12」。さらにネットワークオーディオプレーヤーも、同じくLINNの「MAJIK DSM/5」を採用し、アナログからデジタルまで幅広いソースに対応する構成だ。
店内は、これらのシステムが鳴らす古今東西の様々な音楽で満ちている。高橋氏はそのサウンドについて、「ヴィンテージの濃密な温かみと、現代のハイエンドオーディオが誇る緻密な解像度が溶け合う空間を実現できた」と、自信満々の表情を見せた。
なお、このこだわりの構成が実現した背景には、ちょっとしたストーリーがある。実は、高橋氏自身が大のオーディオ愛好家であり、以前からサウンドクリエイトを訪れるユーザーのひとりだったのだ。かねてよりLINNを愛し、「いつかLP12を使いたい」と憧れを抱き続けてきた同氏の熱意が、この音響空間を生み出した。
ジョージ・ハリスンのテレキャスに着想を得たモダンな店内
もちろん、店内の注目ポイントは音響だけでない。視覚的な空間デザインにも、フェンダーの歴史は息づいている。
その内装レイアウトは、フェンダーの数あるギターの中でも「1969年製Rosewood Telecaster」から着想を得てデザインされた。かつてジョージ・ハリスンにプロトタイプが手渡され、ルーフトップ・コンサートで使用された有名なテレキャスターだ。
店内はこのローズウッドの色合いを基調とした家具や、存在感のある木製カウンターを配置し、木の温もりと奥深い立体感を表現している。
同時に、コンクリート打ちっぱなしの床や壁、そして自然光をたっぷりと取り入れる大きなガラス面といった現代的な建築要素も融合。テレキャスターを軸とした音楽史のヘリテージと、モダンなデザインが美しく調和した、開放感あふれる空間に仕上がっている。
下北沢限定ブレンド「First Set」に込められたメッセージ
そして、カフェメニューの開発にも気合いが感じられる。「シックス・ストリングス・バーガー」や「チキン・オーバードライブ・ライス」など、ギターにまつわるネーミングのフードに加え、目玉は下北沢店限定のコーヒーブレンド「First Set(ファーストセット)」を味わえることだ。
この「First Set」という名称は、数多くのミュージシャンたちが下北沢のライブハウスで初めてステージに立ち、演奏を披露した「最初のセット(First Set)」に由来する。コク深く心地よいその一杯は、下北沢で音楽を愛する人の日常に寄り添うような味わいだ。
「世界は今、音楽を日常に置きたがっている」と高橋氏は語る。美味しいコーヒーを飲んで一休みするときや、誰かと熱く語らうとき、周囲ではごく当たり前に最高峰のサウンドが鳴っている……そんな日常空間を叶えているのが、「Fender Cafe Shimokitazawa」だ。その音響を体験しに、ぜひ下北沢へ足を運んでみてほしい。
Fender Cafe Shimokitazawa 店舗概要
オープン日:2026年7月3日(金)
住所:東京都世田谷区北沢1-40-11 1F
営業時間:09:00〜22:00
定休日:年中無休(年末年始を除く)
トピック












































