公開日 2017/12/26 10:00

ラズパイ・オーディオにもぴったり! パナソニック「USBパワーコンディショナー」の効果、新旧の違い

海上忍のラズパイ・オーディオ通信(39)

かんたんで効果的なノイズ対策

USBパワーコンディショナーは、これまで本連載に何度か登場している。何の断りもなく筆者のシステムに写るその姿を見た記憶のある方も多いのではないだろうか。それは効果を実感しているからで、ビデオレコーダ「DMR-BZT9600」の同梱品(VEK0V15B)を入手して以来続いている。

筆者のシステムで利用しているUSBパワーコンディショナー(手前がSH-UPX01、右上がVEK0V15B、左上はOSコン搭載の特注品)

以前、VEK0V15Bを担当したパナソニックの開発者と話す機会があり、その構造について訊ねたところ、コンデンサーの材質によっても音が変わるとのこと。視聴室でマイカコンデンサーの容量違いなど試作機をあれこれ聴き比べたが、はっきりと聴感上の変化を覚えた。調子に乗ってOSコンを使った試作機をリクエストしたところ(筆者にとってOSコンは特別な思い出のあるデバイスなのだ)、後日OSコン換装版が送られてきて非常に嬉しかった。

それはさておき、USBパワーコンディショナーは“ラズパイ向き”だ。前述した通り、スイッチングレギュレータ由来のノイズがあるほか、ワイヤレスモジュールが発する電磁ノイズも少なくない。樹脂ケースすら装着しない状態で「DAC 01」を使い音楽を聴くと、オペアンプが影響を受けるのか、通信の有無によってノイズの増減を聴き取れるほど。USBパワーコンディショナーがそれら全てを解消できるわけではないが、いろいろ剥き出しなラズパイ・オーディオの方が立派な金属製シャーシで覆われたコンポより効果は分かりやすいはずだ。

USBパワーコンディショナーを装着すると気付くのは、空間表現の変化だ。装着していない時と比べると、音場がすっと広がり見通しが良くなる。音の輪郭も明確になり、ギターでいえば巻弦の金属的なツヤ、長いサスティーンの微細な変化がよく聴き取れる。面白いのは、出力先の接続方式(USB/I2S)が違っても音の変化する傾向が共通で、「USBパワーコンディショナー有り」のほうが音の表情が掴みやすくなることだ。

SH-UPX01の内部

新旧の比較でいえば、新製品(SH-UPX01)の方が明瞭感向上を認識しやすい。旧製品(VEK0V15B)を装着した時の一音一音の輪郭に比べると、SH-UPX01の方が力強いエッジ感を得られる。樹脂製ケースから金属製ケースに変更した時ほどの変化ではないにせよ、これだけ変わるのかと驚いている。

ただし、Raspberry PiはUSBポートの隙間がわずかなため、装着するポート選びに注意したい。特にSH-UPX1は幅広・肉厚で、他のUSBデバイス/プラグと干渉しやすいため、USBメモリ(USBブートの時に必須)やWi-Fiアダプタ(金属製ケースはオンボードのWi-Fi電波を通しにくいのであると便利)をどのポートに挿すか、十分に吟味する必要がある。この点さえ押さえておけば、USBパワーコンディショナーはラズパイ・オーディオに一種の"深み"を与えてくれることだろう。

USBメモリがあと2ミリ厚かったら取り付けられないところだった

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