公開日 2018/08/23 20:23

ニコン、Zマウントシステム採用のフルサイズ・ミラーレスカメラ「Z7/Z6」

像面位相差AF画素搭載CMOSを搭載
永井光晴
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株式会社ニコンイメージングジャパンは、大口径の新マウント「ニコンZマウントシステム」を採用したフルサイズ(ニコンFXフォーマット)のミラーレスカメラ、「ニコンZ7」を9月下旬に、「ニコンZ6」を11月下旬に発売する。またNIKKOR Z レンズ3モデルとマウントアダプター FTZを発売する。価格はオープンだが、Z7が44万円前後、Z6が27万円前後となる見込み。NIKKOR Z レンズについては別途レポートする。

「Z7」

「Z6」

同社は以前、ミラーレスカメラ「Nikon 1」シリーズを展開していたが、現在は開発を終了して一眼レフのみとなっていた。35mm相当のフルサイズセンサーモデルは、ソニーとライカが先行していたが、これでさらに中高級機ユーザーの選択肢が増えることとなる。

新しいニコンのZマウントシステムは、新次元の光学性能を追求し開発されたとのこと。同社デジタル一眼レフカメラ「D」シリーズで培ってきた画作りや優れた操作性、高い信頼性などの“ニコン・クオリティ"を継承したとする。

「マウントアダプター FTZ」

大口径の新マウントの採用によって、レンズ設計の自由度が格段に上がり、光学性能の向上を実現。ニコン史上最高の開放F値0.95の極めて明るいレンズなど、多彩な高性能レンズを提供できる。また、同時発売の「マウントアダプター FTZ」を介して、既存のニコン一眼レフカメラ用NIKKOR F レンズが使用可能となっている。

(株)ニコンの牛田一雄社長は、「技術の結晶であるNIKKORレンズは、さまざまな収差をコントロールし、光をありのままに、かつ最大限、カメラへと導くことで、臨場感のある素晴らしい映像表現を可能にしていた。そして次の100年に向けNIKKORレンズの光学可能性を新たな次元に引き上げるため、新マウントを搭載した新ミラーレスカメラだ」と述べた。

株式会社ニコン 代表取締役 兼 社長執行役員 牛田一雄氏(中央)、常務執行役員 映像事業部長 御給伸好氏(左)、執行役員 映像事業部開発統括部長 池上博敬氏(右)

「Z」シリーズのネーミングについて牛田社長は、「究極の性能を追求していくニコンの姿勢、それを通してお客様に最高の満足感を得ていただきたいという想いを込め、究極・最高を意味し、アルファベット最後の文字として、未来への“架け橋"を想起させる“Z”を採用した」と説明した。

「自信をもってお届けするこのZは、ニコンの姿勢、未来の映像表現を見据え、最高の光学技術を注ぎ込んだもの。ニコンはこの新たな光で未来を切り開く。このカメラでニコンは新たな価値をミラーレスカメラ市場に提供していく。まさに“Unlock the future with the power of light"だ。すべてのフォトグラファーのために、光学を追求したニコンらしいカメラを提供しつづけることが我々の使命」と続けた。

像面位相差AF画素を搭載した裏面照射型ニコンFXフォーマットCMOSセンサー

さて、新製品の「Z7」「Z6」は、像面位相差AF画素搭載の新開発裏面照射型ニコンFXフォーマットCMOSセンサー(いわゆる35mm判相当フルサイズ)と、新画像処理エンジン「EXPEED 6」を搭載している。

「Z7」は、有効画素数4,575万画素と常用感度ISO 64-25600を達成した高解像度モデル。「Z6」は、有効画素数2,450万画素、ISO 100-51200のオールラウンドモデルとなる。優れた高感度性能や全画素読み出しのフルフレーム4K UHD動画対応により、暗所での撮影や動画撮影などさまざまなニーズに応える。

新画像処理エンジン「EXPEED 6」は、NIKKOR Z レンズやNIKKOR Fレンズが持つ高い解像力を最大限に活用し、被写体をシャープに描写。高感度でも効果的にノイズを低減する。

さらに、ピクチャーコントロールのシャープネス調整には既存の「輪郭強調」「明瞭度」に加えて、画面内のテクスチャーをきめ細かくシャープに見せたりソフトに見せたりできる「ミドルレンジシャープ」を新たに搭載。いずれも静止画、動画ともに有効である。また、全20種類の「Creative Picture Control」で効果の度合いも調整可能となっている。

フォーカスポイントは「Z7」が493点、「Z6」は273点で、撮像範囲の水平・垂直約90%という広い範囲をカバーする。FXフォーマットセンサーに最適化したアルゴリズムで、像面位相差AFとコントラストAFを自動的に切り替えるハイブリッドシステム。NIKKOR Zレンズ使用時には、静止画・動画ともより高いAF精度を発揮する。

そして両機種とも、ニコン初のカメラ内手ブレ補正(VR)を搭載した。手ブレ補正ユニットを5軸に駆動させて補正し、シャッタースピード最大5.0段分の高い補正効果が得られる。さらに「マウントアダプター FTZ」を介して、VR非搭載レンズを含むNIKKOR Fレンズ使用時にも使用できる。

記録媒体には大容量画像ファイルも高速で書き込み、読み出しが行えるXQDカードが採用されている。高い堅牢性も兼ね備えており、安心して使用できる。「Z7」「Z6」ともにシングルスロットで、SDカードには非対応。将来的にはCFexpressカード(Type B)にもファームアップで対応予定である。

優れた光学技術と画像処理プロセスによる電子ビューファインダー

EVF(電子ビューファインダー)は、「Z7」「Z6」ともに、約369万ドット、有機ELパネルを採用した電子ビューファインダーを搭載。視野率約100%、ファインダー倍率約0.8倍、対角視野角約37.0°となっている。ニコンの高い光学技術を活かした光学系と、画像処理プロセスにより、歪みが少なく隅々までクリアで自然な見えを実現。接眼保護窓にはフッ素コートを施し、汚れの付着やフレア、ゴーストを防いでくれる。また、ファインダー内にもiメニューが表示され、覗いたままの状態で、ISO感度やAFエリアモード、ピクチャーコントロールなどの設定を確認・変更できる。

直感的な操作を可能にするエルゴノミクスデザイン

両機種ともボディカラーはブラックのみ。デザインは、小型ボディを実現しながらもグリップはしっかりと握りやすく、サブセレクターやAF-ONボタン、ISOボタン、露出補正ボタンなどが素早く操作しやすい位置に配置。また、カメラ上部には表示パネルを設置し、デジタル一眼レフカメラ上位機種と同じように設定情報が確認できるようになっている。ニコンが長年のカメラ開発で培ってきた優れた操作性を継承した。

4K UHD動画撮影にもプロニーズに応える機能を搭載

動画撮影は、フルフレームでの4K UHD(3840×2160)/30pだけでなく、フルHD/120pの動画撮影も可能。4K UHD動画撮影時には、全画素読み出しにより解像感の高い映像が得られる。また、4K UHD、フルHDともに「アクティブD-ライティング」、「電子手ブレ補正」、「フォーカスピーキング」が使用可能。

さらに、10 bitでのHDMI出力時には、ニコン独自の「N-Log」が使用できる。12段、1300%の広いダイナミックレンジを活かし、暗部とハイライト部の豊かな階調情報が得られるため、より効果的なカラーグレーディングが可能。

また、他の動画素材との同期や、映像と音声の同期を容易にする「タイムコード」を、動画データに記録できる。NIKKOR Zレンズに搭載したコントロールリングを使えば、絞りや露出補正などの静かでスムーズな操作も可能となっている。

レンズキット、マウントアダプターキットも同時発売

なお「Z7」「Z6」とレンズやマウントアダプターを組み合わせた以下のキットも同時発売される。「Z7」のキットはいずれも2018年9月下旬予定。「Z6」のキットは2018年11月下旬予定。

(1)「Z7」+「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」レンズキット:オープンプライス(51万3,000円前後)
(2)「Z7」+「FTZマウントアダプター」キット:オープンプライス(45万9,000円前後)
(3)「Z7」+「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」+「FTZマウントアダプター」キット:オープンプライス(53万4,600円前後)
(4)「Z6」+「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」レンズキット:オープンプライス(34万8,300円前後)
(5)「Z6」+「FTZマウントアダプター」キット:オープンプライス(29万4,300円前後)
(6)「Z6」+「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」+「FTZマウントアダプター」キット:オープンプライス(36万9,900円前後)

「バッテリーパックMB-N10」を開発中

発売時期・発売価格などの詳細は未定だが、同社では大容量のバッテリーパック「MB-N10」を開発している。「MB-N10」は、「Li-ionリチャージャブルバッテリー EN-EL15b」を2個装填でき、撮影可能コマ数および動画撮影可能時間を約1.8倍に拡張できる。「Z 7」「Z 6」と同等の防塵・防滴性能を確保し、グリップ性能も向上。「本体充電ACアダプター EH-7P」を使用してUSB充電もできるという。

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