HOME > ニュース > AV&ホームシアターニュース
NTTソノリティ、“聞こえ”の新ブランド「cocoe」。世界初の“ながら聴き”集音器「cocoe Ear」発売
NTTソノリティは、独自の音響技術を活用して人間の"聞こえ”をサポートする新ブランド「cocoe(ココエ)」を起ち上げると発表。
第一弾の製品として、オープンイヤー型集音器「cocoe Ear(ココエイヤー)」、およびテレビ用トランスミッター「cocoe Link(ココエリンク)」のクラウドファンディングを12月23日10時から開始する。
2026年春の一般販売を目指すとしており、その際の販売予定価格はcocoe Earが39,600円、cocoe Linkが10,500円(ともに税込)。
クラウドファンディングは「GREEN FUNDING」で実施。一般販売時の予定価格から30〜35%オフの支援メニューを用意する。
“世界初”、耳を塞がないオープンイヤー型集音器cocoe Ear
同社は、cocoeについて「加齢や生活環境による“聞こえづらさ”に寄り添い、誰もが自分らしく会話や音を楽しめる社会の実現」を目指すブランドだと説明。通信事業を主とする同社が、長年の音響研究で培った特許技術と、オープンイヤー型イヤホンの開発ノウハウを融合させたブランドになっているという。
cocoe Earは、従来の耳穴を塞ぐ集音器とは異なる、世界初の耳を塞がないオープンイヤー型集音器として開発された。
閉塞感や圧迫による不快感、自身の声のこもりなどを軽減し、本来聞こえる音を取り入れつつ、加齢とともに聞こえづらくなる高音などの不足分をデバイスが補完するシステムになっているという。
耳をふさがないオープンイヤー構造の実現には、NTTの特許技術「PSZ(パーソナライズドサウンドゾーン)」を活用。同技術を搭載した音響設計によって音の“打ち消し距離”を精密に制御することで、耳元だけに音を閉じ込め、オープンイヤー型でも音漏れを抑えている。
さらに、ハウリング(音の周回共鳴)対策についても、ソフト/ハード両面から開発を進め、構造的な遮音とチューニングによる補正を組み合わせて対策を施しているという。
高性能なチップを採用することで、0.00025秒という低遅延音声処理を実現。耳に直接届く音と本機によって増幅される音とのズレを抑えることで、違和感が少なく自然な音質を実現したとしている。
集音機能をオフにすることで通常のワイヤレスイヤホンとしての使用も可能。Bluetoothのバージョンは5.4で、コーデックはSBC、AAC、LC3、CVSD、mSBCに対応している。
また、Auracast(オーラキャスト)にも対応。トランスミッターcocoe Linkに、本機を複数台同時に接続して複数人でテレビ音声を聴くなどといったことができる。
Bluetoothイヤホンとしてはそのほかマルチペアリングおよびマルチポイント接続機能も装備。マルチペアリングは最大8台、マルチポイントは2台まで対応している。なお、本体はIP54相当の防水防塵性能を備えている。
装着性の向上にも注力。イヤホンは10gと軽量で、フック形状やスピーカー位置は多様な耳形状で検証し、「思わず装着していることを忘れる」装着感を実現したとする。
耳にかけるだけで電源が自動オンになる機能を備えるほか、物理ボタンでも専用アプリ「cocoe Conect」でも各種操作が可能。また、開発中のモニタリングテストへの参加者からは「ワイヤレスイヤホンは落としそうで不安」という声が多く上がった事から、取り外し可能なネックストラップも付属している。
また、より自然な聞こえを追求し、難聴者からのフィードバックを収集しながら現在も開発を継続中とのこと。アプリについても、ユーザーが迷わず操作できるよう機能をあえてシンプルにし、“最短距離で聞こえる”体験を目指したという。
cocoe Linkは、テレビの音声をcocoe Earにワイワレス送信できるトランスミッター。前述のようにAuracastへ対応し、複数のcocoe Earで同じ音声を共有できる。
3.5mmジャックを採用し、テレビのヘッドホン端子に接続すればテレビの音声をそのままcocoe Earに送信できる。
また、トランスミッターにも集音マイクを内蔵。有線接続をしない場合でもテレビの近くにおいて、有線時同様に使うことができる。
関係者が語るcocoe設立の背景
12月3日に開催された記者発表会では、NTTの大西佐知子常務取締役、NTTソノリティの坂井博代表取締役社長、同社cocoeプロダクトマネージャーの中野達也氏が登壇し、製品紹介や開発の背景について説明した。
大西常務取締役は、同ブランドについて、「音で人と心を繋ぐことへのチャレンジであり、NTTグループにとって重要な社会課題への取り組み」と話し、日本では推定1,430万人が難聴を抱える現状にあると紹介。
50代以降で聞こえの不安を抱える人が急増している点にも触れ、難聴を「誰にでも訪れるライフステージの変化」だと説明。聞こえづらさは会話の減少や社会的孤立を招き、認知症リスクなど生活の質へ深刻な影響を与えると訴えた。
大西氏は「私自身、聴覚検査などでも問題は見つかっていないが、テレビの音量が大きいと娘から指摘されたことがある」といった自身の体験も紹介。“つながりを守る技術”である同ブランドの重要性を語った。
坂井社長は、「nwm(ヌーム)」ブランドで展開しているオープンイヤー型イヤホン/ヘッドホンや、デスクレスワーカー用のコミュニケーションツール「BONX」などのノウハウが同ブランド開発に生かされている点を述べた。
60代以上のSNS利用率が8割を超えている現状にも触れ、コミュニケーション需要が増加していると分析。「聞こえづらさが社会参加を妨げる状況こそ、解決すべき課題」と述べた。
市場動向については、オープンイヤー型イヤホン市場が23年から24年にかけて154%成長した点を引用し、今後も拡大を見込む。今後2年で累計10万台、売上高30億円を目標に掲げ、ドコモショップなどでの店頭体験機会の提供を進めていく方針を示した。
cocoe Ear開発担当の中野氏は、同製品の性能などをデモを交えて紹介。低レイテンシー性能を実際に音を流して再現したり「開発時期に、付けていることに気づかず帰宅した」など快適な装着感をアピールするエピソードも披露した。
また、ユーザーの声を聞き取る中で「若者がつけても違和感のないデザイン」というニーズが明確になったと説明。“ワイヤレスイヤホンとして自然に見える”点を重視したデザインになったと話した。
東京・札幌・福岡のドコモショップで店頭体験
今後の展開として、東京の丸の内店・北海道の札幌店・福岡の六本松店の3店舗でドコモショップでcocoe Earを使用した店頭応対トライアルを実施、ブランドの知名度向上を目指す。
販路については、通販、ECサイトでの販売を中心としつつ「量販店が取り扱うような環境」作りも目指し、店頭での販売も視野に入れるという。
同ブランドの更なる製品展開についても、商品開発と同様にユーザーからのフィードバックを活かしつつ、ニーズのある場面などを研究しながら企画していく考えを示した。































