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公開日 2007/02/07 12:38

米Appleのジョブズ氏、レコード会社にダウンロード楽曲のDRM廃止を呼びかけ

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米Apple CEOのスティーブ・ジョブズ氏
米Apple CEOのスティーブ・ジョブズ氏は、同社サイトで、「Thoughts on Music」という書簡を公開した。その中で同氏は、レコード会社に対し、音楽ダウンロードサイトでのDRM(デジタル著作権管理)採用の中止を訴えた。

ジョブズ氏は書簡の中で、ユニバーサル、ソニーBMG、ワーナー、EMIの4社を特に名指しし、アップルの音楽ダウンロードサイト「iTunes Store」でこれらの会社の楽曲を配信するにあたり、DRMシステムの採用を求められた経緯を説明。さらに、DRMが破られてしまった場合、アップルはシステムの改善に数週間しか猶予を与えられず、レコード会社は全楽曲をiTunes Storeから引き上げることができるという契約内容についても語った。

さらにジョブズ氏は、DRMの根本的な問題についても指摘。「誰かが最も洗練した暗号化を楽曲に施したとしても、その人間はポータブルデバイスで再生するためのカギをどこかに隠す必要がある。さらに、どこかに多くの利口な者がいて、そのカギを発見し、無料で音楽を楽しむことになる。これを解決するため、DRMを絶えず更新しなければならない」。

また、DRMはマイクロソフトやソニー、アップルのものなど複数が存在し、それぞれのダウンロードストアで購入した楽曲は、それぞれに対応したプレーヤーでしか再生できないことも、問題点として挙げている。

この上で同氏は、将来考えられる3つの選択肢を提示した。

一つめは、現在の状況をそのまま継続するというもの。これについて同氏は、「ある特定のサイトから楽曲を買ったユーザー、またはある会社のプレーヤーを買った人間は、永遠にその一つの会社に縛られてしまうと主張する声もある」とした上で、「我々の調査では、1台あたりのiPodには平均1,000曲の楽曲が記録されているが、そのうちダウンロードで購入したものは22曲、3%以下に過ぎない」とし、「3%の楽曲が、ユーザーを将来的にiPodへ縛り付ける拘束力があるとは思えない」と否定した。

二つめは、アップルが同社のDRM「FairPlay」を他社にライセンス供与し、異なる会社のプレーヤーと音楽配信サイトのあいだのコンパチビリティーを確立するというものだ。ジョブズ氏はこれについて、「ユーザーに多くの選択を提供し、さらにアップルもライセンス料を受け取れることから一見良い考えのように見える」としながらも、「少し深く考えてみると、問題が出てくることがわかる。ライセンス供与することでDRMの技術上の秘密が漏れ出てしまうことが考えられ、いったん漏れ出てしまえば、瞬く間に世界中に広まってしまう」と問題点を指摘した。

そしてジョブズ氏は、第三の選択肢として、「完全にDRMを廃止する」ことを提案。「様々なダウンロードサイトで購入したすべての楽曲が、すべてのプレーヤーで再生できる。これが明らかにユーザーにとってベストの選択肢だ」とした。

さらにジョブズ氏は、「4大レコード会社は、オンライン販売する楽曲はDRMで保護しているが、その一方でまったくコピー保護を行っていないCDソフトを年間数十億枚販売している」とも指摘し、「2006年に、DRM保護されていない200億曲がCDで販売されたのに対し、DRM保護されたダウンロード楽曲の販売数は2億曲以下。保護されていない楽曲が大多数を占める」とした。

最後にジョブズ氏は、「DRM保護していない楽曲が彼らの売り上げの90%を占めるならば、残りの少ないパーセンテージの楽曲にDRMを課すことでどんな利益が得られるのか? 何もないように思える」とも主張。レコード会社に対してDRM保護していない楽曲の提供を求めていく。

(Phile-web編集部)

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