トランスポートではクロックの精度が重要

“ディスクプレーヤー”の救世主、MAGNETARの目指すもの。フラグシップトランスポート「ULTIMA」の狙いを訊く

公開日 2026/07/22 06:30 編集部:筑井真奈
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インターネットによる映像コンテンツの配信が主流になる中で、ディスクプレーヤーの存在感というのは、年々下がってきている。これは時代の趨勢からやむを得ない面もあるのだが、それでも“オーディオビジュアルの趣味性”、作品の世界観を深く味わい尽くすためには、フィジカルディスクの重要性は決して潰えることはない。

オーディオビジュアルファンの救世主とも言える存在が、中国・深圳に拠点を置くMAGNETAR(マグネター)ブランドである。2021年に立ち上がったばかりの新興ブランドだが、Ultra HD Blu-rayやSACD/CDなど、さまざまなディスクメディアを再生できるユニバーサルプレーヤーを主軸に製品展開を行なっている。

OTOTENのエミライブースにて披露されたMAGNETARのフラグシップ・トランスポート「ULTIMA」

同社の事業責任者であるショーン氏と開発担当のティエン氏がOTOTENに合わせて来日。MAGNETARブランドの目指すもの、そして先だって開催されたウィーン・ハイエンド、そしてOTOTENでも披露されたフラグシップ・トランスポート「ULTIMA」の開発背景について語っていただいた。

左から、MAGNETARのプロダクトマネージャーのティエンさん、事業部長のショーンさん、営業担当のジョイさん

OPPOなき時代の救世主

MAGNETARブランドが日本に導入されたのは2024年のこと。約50万円のトップライン「UDP900」、約27万円のセカンドライン「UDP800」の2モデルから展開がスタートした。いずれもUHDBDやSACD再生に対応するマルチメディアプレーヤーで、OPPOなき時代の救世主として、日本でも期待をもって受け入れられた。

音質面でもこだわり尽くした内容が特徴で、「UDP900」には強力なリニア電源を搭載、ステレオ2chにはESSのDACチップ「ES9038PRO」を採用、クロックには高精度・超低位相ノイズの温度補償TCXO水晶発振器を投入するなど、ハイエンドオーディオ並みの音質設計がなされている。

直感的に操作できるユーザーインターフェースもポイントで、輸入商社であるエミライがサポートして日本語対応も実現している。

MAGNETAR登場の世界的な反響はどうだったのだろうか?ショーンさんによると、「日本はもちろんですが、特にドイツのユーザーから、SACDプレーヤーの音質が良いと想定以上の反響をいただきました」とのこと。

日本とドイツは今も“ディスク天国”と言われるほどにディスクメディアへの信頼は厚い。やはり世界的にもユニバーサルプレーヤーを待望する声は根強くあるようだ。

2025年にはそれぞれの進化バージョンとなるMK2モデル、「UDP900 MKII」「UDP800 MII」を市場投入。

これらの進化点についてティエン氏に尋ねると、「DACチップのES9038の実装方法を再検討し、さらに音質を追求しました。他にもHDMI出力部の強化、コネクタや内部配線、電源などのグレードも強化しています。またRoon Readyにも対応しています」。ストリーミングサービス等には対応しないが、ローカルファイル再生をさらに強化し、使用シーンの幅を広げている。

究極のディスク再生を目指して開発

そして2026年、ついに最上位のトランスポートとなる「ULTIMA」が発表された。正式な価格や発売日はまだ公表されていないが、1万ドル以上にはなるだろうと言われている。

電源別筐体となる2筐体システムで、DAコンバーター部は持たない究極のデジタルトランスポート。ウィーン・ハイエンドの会場でも多くの来場者がその仕様に驚きの視線を向けていた。

ウィーン・ハイエンドにて展示されていた「ULTIMA」

ティエンさんによると、「ULTIMA」の開発は2年ほど前にスタートしたという。その背景には、ドルビーアトモスを含むイマーシブオーディオが世界的に普及し、さらなるクオリティを求めるユーザーの声が高まってきたことがあるという。

まず2筐体式とした理由について尋ねると、「ハイエンドのオーディオプレーヤーでも言えることですが、やはり電源ノイズが影響を与えないようにすることが大切です」とのコメント。

ULTIMAの電源部は2基のバッテリーを搭載、そのうちひとつがプレーヤーへ給電し、もう片方がコンセントから充電する、という設計となっている。

片方のバッテリー残量が低下すると、もう片方に自動的に切り替わり、常にバッテリーからプレーヤー側に電源が供給される。そのことで、ACラインからのノイズや干渉を遮断することができる。

切り替えにはオムロン製リレーを採用、物理的なリレーによる切り替えを行っている点も音質上のこだわりだという。

DAC非搭載とした理由について、ティエン氏は「ユーザーの好みでDACを選んで欲しい」という思いがあったという。

このクラスのDAコンバーターには、dCSやCH Precision、MSB technologyなどハイエンド・オーディオブランドがさまざまな製品をラインナップしている。MAGNETARとしては自社の強みとなるディスク再生部に特化することで、ユーザーの選択の余地を広げたい、という思いがあるようだ。

ティエンさんはトランスポートの音質において最も重要な点はどこにあると考えているだろうか?「それはクロックです」と力を込める。

ティエンさんによると、ULTIMAには25MHzと27MHzの2系統のクロックを搭載。電源以上に精度の高いクロックがトランスポート性能に大きく関わっており、ULTIMAではその精度向上に大きな開発リソースを投入したそうだ。

ティエンさんも、「UDP900 MKIIとは、音のディテールやダイナミックレンジが全く違います」と胸を張る。ウィーン・ハイエンドの会場は騒がしく、じっくりと音質を体験することはできなかったが、それでもダイナミックレンジの広さと鮮血迸るような切れ味の良さは体感できた。

ULTIMAのデモンストレーションブース

日本市場への導入時期や価格等も現時点では未定だが、“究極のホームシアターシステム”の目指すところ、その可能性に期待は尽きない。

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