箱根ロープウェイの早雲山駅から大涌谷駅間を運行

箱根の絶景を、ドルビーアトモスサウンドとともに独り占め。「立体音響ゴンドラ」を体験!

公開日 2026/04/09 06:35 筑井真奈
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

好奇心をかきたてる壮大なサウンドとともに、雄大なる箱根の景観を一望する。箱根ロープウェイにて、立体音響システムを組み込んだゴンドラ「音箱(OTOBACO)」の運行が4月13日よりスタートする。その「ゴンドラ」の音を一足早くに体験させてもらった。

箱根ロープウェイにて運行が開始される「立体音響ゴンドラ」

「音箱(OTOBACO)」は、箱根ロープウェイの早雲山駅から大涌谷駅の間、約10分間を運行するゴンドラのひとつとして運用される。この区間、通常は18台のゴンドラがループになって運行しているが、そのうちの何台か(混雑状況などによって異なる)が立体音響を楽しめる特別仕様となっている。

ちなみに外観は通常のゴンドラとまったく共通。内部に立体音響を再生するためのスピーカーなどが設置されている点が異なっている。

箱根ロープウェイ早雲山駅の乗り場。左の赤い車両が音箱、右の青い車両は通常のゴンドラとなる

今回の「立体音響ゴンドラ」の企画背景として、小田急箱根 運輸本部 索道部長の相川貴之さんは、ゴンドラを「単なる移動手段に留まらず、移動そのものに新たな価値をもたらしたい」と力を込める。これまで箱根ロープウェイは、箱根の雄大な自然を視覚体験として楽しめるように設計されてきたが、ここに「音」という体験価値を付与することで、観光の新たな可能性にチャレンジしたい、という思いが込められているという。

音箱の車内には、天井に4基、四隅に4基の合計8基のスピーカー、さらに天井に2基のサブウーファーが取り付けられる。このゴンドラのために、映画音楽などでも知られるKOSEN氏がオリジナル楽曲を2曲、晴天時用と雨天時用に書き下ろした。ドルビーアトモスミックスは“ヒゲダン”などのアトモスミックスなどで知られる古賀健一さんが担当している。

音箱の天井に設置されたスピーカーとサブウーファー

ちなみにゴンドラの内部に電源はないので、オーディオシステムはポータブルバッテリーから給電されている(ちなみに通常のゴンドラでは、アナウンスや緊急放送のための業務用スピーカーしか搭載されていないそうだ)。ゴンドラの車内にバッテリーを持ち込むという取り組みも世界初だそうで、国土交通省の認可にも1年近く時間を要したという。

音箱の車内。定員16名で座席も用意される

全面ガラス張りのゴンドラがガタンと動き出すと、それはまさに冒険への第一歩。まるでゲームのオープニングシーンのように、音楽が空の旅への期待をかきたててくれる。10分間、外の景色は目まぐるしく変わり、シーンに合わせた音楽が次々に繰り出される。

ワクワクする空の旅の始まり!

ゴンドラには座席が用意されているので、座って体験することもできるが、立って周囲を見回すと、音楽と景色のダイナミックな移り変わりがより迫力満点に迫ってくる。若干揺れるため、しっかり吊り革などに捕まっていた方が安全だが、360度開けた空の旅を、音楽がさらに盛り立ててくれる。

空の旅の終盤には富士山の雄大な姿も臨む

ゴンドラの終盤、大涌谷の谷底と富士山が一望できるシーンはまさに絶景。来し方を振り返れば下りのゴンドラが小さく離れていくのが見える。まるで映画のワンシーンのよう、自分が映画の主人公になったかのようなワクワク感に胸が躍る。

大涌谷の底を眼下に臨む

通常ステレオ再生というのは、コンサートの擬似的な再現、つまり前方にいるアーティストを「客席から見る」という体験に寄せられているが、後ろや上方など全方位から音が来るドルビーアトモスは、それと全く異なる音楽体験である。広大な空と大地を独り占めしたかのようなゴンドラ体験に、ステレオとはまた違った、音楽表現の可能性にも思いを巡らせる。

雨の日にはまた別の音楽が用意される。取材日は幸運にも好天で富士山も綺麗に拝むことができたが、雨、もしくは霧で白く曇り、周りの景色がまったく見えない日も多いそうだ。そういう日には、雨音とともにイマジネーションを膨らませてくれる、しっとりとした音楽が再生される。

背後を振り返れば遠く小さくなっていく街並みも見える

小田急電鉄としても、「音」を活用した新しい観光の価値の提案というのは初めての試みだそうで、「ぜひ多くの皆さまにこの没入感のある世界を体験していただきたい」と期待を語る。現在は晴れの日と雨の日の2パターンだが、例えば今後は春夏秋冬、季節に合わせた音楽を用意することで、何度でも箱根に来訪したくなる楽しみも広がりそうだ。

ゴンドラの乗車料金は、通常運賃の2,000円(片道)あるいは3,000円(往復)に加えて、ゴンドラの貸切料金として2,500円(1台、16人まで同時乗車可能)が必要となる。

音箱の運行日程は、同社ホームページにて公開される。混雑時には販売が中止される可能性などもあるそうだが、箱根の息遣いを五感で感じる「音箱」、ぜひ箱根散策とともに体験して欲しい。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク