dCS「LINA DAC X」も注目

【HIGH END】dCS「Varese」用CDトラポ発表/タイコのエミール氏に直撃!/aurender15周年モデル他

公開日 2025/05/26 06:35 筑井真奈
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dCSよりVarese用トランスポートが登場!

ミュンヘン・ハイエンドにて、dCSは同社の弩級DAコンバーター「Varese」に組み合わせるためのCDトランスポート「Varese Transport」を発表した。

dCSの「Varese」用CDトランスポートが初お披露目!

Vareseは5筐体式のDAコンバーターで、コアとなる頭脳の部分(メイン写真一番下)と、左右独立のRing DACが搭載されるDAコンバーター部、クロック、そしてディスプレイ部によって構成されるシステム。昨年8月の香港でのお披露目時より、「今後追加モジュールなどを展開していく」と発表されていたが、その第一弾モデルが「CDトランスポート」ということになる。

5筐体でDAコンバーター機能を果たす「Varese」

Vareseと共通した、曲線が盛り上がったフロントパネルのデザインとなっており、積み重ねて使うことも想定されている。ハイエンドオーディオユーザーは、これまで購入してきたライブラリを所有しており、意外と(?)CD再生需要も根強くあるのだろう。

背面端子を見ると、dCSがVareseのために開発した独自デジタルインターフェース「ACTUS」(デジタル信号とクロックを独立して送信できる)1系統のみというシンプルな仕様。今回音出しはされていなかったが、CDからどこまでの音質を引き出せるのか、今後の展開に期待。

「Varese Transport」の背面端子。ACTUS端子1系統のみというシンプルな構成

dCSのブースでメインで再生に供されていたのは、「LINA DAC X」。2022年に発売されて国内でも注目の高いヘッドホン再生システム「LINA Network DAC」の、いわばステレオ(スピーカー再生)向けシステムである。

上にあるのが「LINA DAC X」。「LINA Master Clock」のほぼ倍のサイズとなる

写真下に設置されているのがLINA Master Clockであり、横幅のサイズがおおよそ倍になっていることがわかる。dCSのアンドリューさんによると、「回路はLINA Network DACとほとんど同じで、向かって左側に搭載されています。折りたたんで箱のようなかたちになっているものです。右側が電源トランスで、左右は特別なシールドで分割することで音質を高めています」とのこと。こちらは国内展開がすでに決定している模様。

 

dCSの再生ブース。スピーカーはウィルソン・オーディオを使用

タイコオーディオ創業者のエミール氏に直撃!

また、最“狂”roon serverとして大いに話題を集めたTAIKO Audioの創業者、エミール・ボックさんにもインタビューすることができた。今回ブースは出していないが、いくつかのオーディオブースで活用されておりその視察や商談もかねて来場していたそうだ。

TAIKO AUDIOの創業者エミールさん(中央)と、営業、開発メンバー

ブランドの創立背景について尋ねると、「以前はITエンジニアとして働いていました。もちろんオーディオが大好きでしたので、ブランドを立ち上げる前は、友人たちのためにスピーカーやアンプなどを使っていたりしたんだすね。そうこうしていたらモナコのあるハイエンドショップから、“roon serverを作ってくれないか?”とリクエストがあり、実際にやってみたところ非常に大きな手応えがあったのです。そこで、これはしっかりビジネスになるんじゃないかと考えて、いまのタイコオーディオを作りました」。

そして、現在のスタッフはソフトウェアエンジニアを中心に11人で、「あまり会社を大きくしすぎないようにしたいと考えています」と語ってくれた。「全部目に見える範囲内でやりたい、という気持ちでいます。ソフトウェアエンジニアはそれぞれプロジェクトリーダーとなっており、外部スタッフと協力しながら製品開発を行っています」とのこと。

TAIKO AUDIOのRoon Server

今後の展開については、「基本はコンピューターですから、すぐに陳腐化する、と言われがちですが、私たちはコンピューターの信号伝送回路をいかにピュアにするか、ということに大きな自信をもっています。XDMIという新しいインターフェースもそのひとつです。ですから、モジュール的にアップデートしていける、常に最新の機能を使える、そんな機器を目指しています」と力強く語ってくれた。

TAIKO AUDIOの「Olympus Server」が設置されていたブース

aurenderからは期待の新製品続々登場

ネットワークオーディオの古株ブランドのひとつ、aurenderからは、15周年記念となるネットワークプレーヤー「A1 15th anniversary」、初のネットワークハブ「NH10」、クロックジェネレーター「MC10」、3筐体式のオーディオサーバー「N50」が登場。

aurenderのブース。スピーカーにはマジコを使用

「A1 15th anniversary」は300台限定モデルとなり、旭化成のトップモデル「AK4499EX」を4基で構成するネットワークプレーヤー。中央下にゴールドの特別プレートが配置されることに加え、オリジナルのリモコンも装備。独自のネットワーク技術でストリーミング再生にも対応しており(UPnPには対応しない、というのが彼らの独自なところ)、Qobuz Connectにもいち早く対応している。

「A1 15th anniversary」。フロントのゴールドパネルのほか、独自のリモコンも特徴

「N50」はフラグシップとなるオーディオサーバー/トランスポートで、電源部、デジタルボード、メイン基板(CPU等)が独立した構成となっている。背面をみると、オプションでストレージを追加できる模様。機能的にはaurenderのネットワークトランスポートを役割ごとに別の筐体としてわけることで、さらなる音質の向上を狙っているものと推測される。

3筐体式のネットワークトランスポート「N50」

「N50」の背面端子。中央が電源部、上がサーバー、下がオーディオボードとなっている

ネットワークハブには、RJ-45のほかSFPポートも搭載。クロックは10MHz出力を、50Ωと75Ωでそれぞれ2系統ずつ搭載する。デジタルオーディオの最先端をゆくブランドの提案も楽しみである。

上がマスタークロック「MC10」、下がネットワークハブの「NH10」の背面端子

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